研究者とWebデザイナーがエイズワクチン開発のためのデータ共有プラットフォーム「DataSpace」を構築

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DataSpace

新規感染者数および死亡者数は少しづつ減っているものの、 世界では今なお1500万人を超えるエイズ患者が抗HIV治療を受けている。感染のさらなる拡大を阻止しようと、世界中の研究者らがワクチンの研究開発に取り組んでいる。

Collaboration for AIDS Vaccine Discovery (CAVD)はエイズワクチン研究者のデータ共有・コラボレーションを目的としたグローバルネットワークだ。しかし、これまで同組織におけるデータ共有はメンバー同士のファイルのやり取りにとどまりがちで、システム化されていなかった。

統計分析会社SCHARPは、研究者が必要なデータにより簡単にアクセスし利用できるようにと、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金援助を受け、Webデザイン会社Artefact と共同でエイズワクチン研究のデータ共有プラットフォーム「DataSpace」を構築した。

DataSpaceは同一のワクチン候補に関する様々な研究結果を一つの仮想研究としてまとめ、異なるデータを簡単に比較できるように可視化している。登録データはすべて互いにリンクされており、特定のトピックについてウィキペディアのハイパーリンクを辿るようにより深いレベルへ検索できる仕組みとなっている。

Artefactは、どのようなデータポイントがワクチン開発に最も重要かを研究者らから学び、これらをSCHARPおよび研究者向けのオープンソース・ソフトウェアサーバーを運営するLabKey と共同でDataSpaceのバックエンドにプログラミングした。研究者のニーズを重視したシステムデザインにより、データの関連性がわかりやすく、比較しやすくなっている。

DataSpaceの目的は、膨大な研究結果の中に埋もれているデータを掘り起こしてアクセスしやすくすることだ。しかし、すべての論文が科学ジャーナルに掲載されるわけではない。インパクトに欠けるという理由で公表されないデータも多くある。そうしたデータもプラットフォームで共有できれば、 研究開発の促進に一層大きく貢献できるだろう。

システムの開発に関わったワシントン大学グローバルヘルス学部Nicole Frahm准教授は、こう説明する。

論文はサイエンスにおける通貨のようなもので、研究結果は発表されなければ意味がありません。しかし、ジャーナルに論文が受理されるためには、ワクチン候補にウィルスの蔓延を防ぐ効果があることを証明する必要があります。論文が発表されなければ、特定のワクチン候補には効果がないという多くの時間と費用を費やして得られた知見が共有されず、別のラボが同じ失敗をする可能性があります。

科学研究において否定的な研究結果は公表されにくいという「パブリケーションバイアス」は、分析結果の正確さに影響を及ぼす。また、否定的な結果が共有されないことにより、研究開発のスピードが遅くなりがちだ。

DataSpaceは論文の供給プラットフォームではなく、データそのものの共有プラットフォームであるため、こうしたバイアスの解消に繋がるかもしれない。

現在のところ、DataSpaceはエイズワクチン研究のみを対象としているが、今後はその他の疾患にも範囲を広げ、医学データ全般のプラットフォームを目指す。

via. CO.DESIGN

 

 

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