北京で開催中の #GMIC 2016から、ピッチコンテスト「G-Startup」で選ばれたスタートアップ10社をご紹介

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G-Startup の司会を務める、GWC 共同設立者の Barrett Parkman 氏

本稿は GMIC Beijing 2016 の取材の一部である。

4月28日〜30日、中国・北京の国家会議中心では、恒例の GMIC(全球互連網大会)が開催されている。2009年に北京ではじまった GMIC も今年で10回目を迎え、世界中で開催される地方大会も9都市に拡大。GMIC の規模は拡大しているのだが、例年に比べると、日本のスタートアップや企業の存在感は薄れているようだ。しかしながら、主催者である GWC(長城会)からの28日現在の発表では、招待VIPが1,000人、一般参加者は6,000人となっており、中国のみならず、アジア全域でもその規模の大きさには揺るぎがない。

<これまでの GMIC に関する記事はこちら

この GMIC の中で、スタートアップが最も脚光を浴びるのが、スタートアップ・コンペティションの G-Startup だ。今年は36カ国250チームから応募があり、その中から投資家10人が審査員となってトップ10を選び、最終的に優勝〜3位までのチームが発表された。ファイナリスト10チームの顔ぶれを紹介したい。

今年の G-Startup の審査員を務めたのは次の方々だ。

  • David Tang(鄧元鋆)氏, Managing Director, Nokia Growth Partners
  • Rui Ma(馬睿)氏, Partner, 500 Startups
  • 鈴木亮一氏, VP, Recruit Strategic Partners
  • James Shen(沈勁)氏, Managing Director, Qualcomm Ventures
  • Hans Tung(童士豪)氏, Managing Director, GGV Capital(紀源資本)
  • Xiong Zhen(熊振)氏, GM, Baidu(百度)
  • Richard Wang(王岳華)氏, Partner, DFJ Dragon Fund(徳豊杰龍脈中基金)
  • 田中章雄氏, Managing Partner, Infinity Venture Partners
  • Anna Fang(方愛之)氏, Partner and CEO, ZhenFund(真格基金)
  • Alex Yao 氏, SVP, Cheetah Mobile(猟豹移動)

司会は GWC の Ryan Baird が務めた。

【優勝】Anyoutian.com/俺有田(中国)

副賞:GWC Innovation Fund から5万ドルの出資、シリコンバレーで開催される G-Startup Worldwide Global Finals への招待など。

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俺有田」は、農民と消費者を直接結ぶことで、農産物の直接販売を可能とするプラットフォーム。農家の経験不足や技量不足をオンライン指導で支援する一方、育った農産物をモバイルアプリで消費者に紹介し、流通網を通さず食品配送会社を通じて消費者宅に直送するほか、大手スーパーのKA売場(重要顧客対応売場)でピックアップすることができる。

2014年8月に創業、2015年には GMIC Beijing 2015 でのピッチを機に Infinity Venture Partners から数百万人民元(数千万円相当)のエンジェル投資を受ける。2015年9月にプラットフォームをローンチ。現在、上海を中心とするカルフール30店舗、Century Mart(世紀連華)40店舗、Auchan 7店舗、Yonghui(永輝)7店舗などと提携しており、店頭で農家直送農産物を購入可能。

【2位】Yihu365/医護到家(中国)

副賞:GWC Innovation Fund から2.5万ドルの出資、シリコンバレーで開催される G-Startup Worldwide Global Finals への招待など。

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医護到家」は、中国の三甲医院(甲乙丙の三等級の中で、最上位に位置づけられる病院)に勤務する医者1,000人から、1日あたり10元(約170円程度)を支払うことで、慢性病の相談に回答を受けられるモバイルアプリ。アプリ上から、近隣の病院の医者に注射や点滴の予約をすることもできる。この分野は非常に競争が激しく、以前に紹介した康大預診なども競合となるが、やはり、中国の都市部とへき地での医療サービスのレベルの差が大きいことに、この種のサービスの需要が高まる背景がある。

ちなみに今年初め、半身不随の母親をなかなか医者に診てもらえなかった女性が、遠方の病院まで出向き4,500人民元(約7.4万円)を支払って診断してもらったという話が、中国の Weibo(微信)上で「中国の医療現場が歪んでいることの象徴」として論議を呼んだが、この女性は後に医護到家からモバイルアプリを使った診断サービスの終身利用権を授与されており、巷ではこれが医護到家のステマではないかとの憶測が飛び交っている。事実の程は定かではない。

【3位】Deepshare(中国)

副賞:G-Startup Worldwide Global Finals への招待など。

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Deepshare は、日本でも CircuitGrowth Link などのソリューションで実現されている、モバイルアプリ・デベロッパのためのディープリンク分析ソリューション。SDK をモバイルアプリに導入することで、ウェブサイトとモバイルアプリとの往来、どのページからどのページにランディングしたか、分析することが可能。

2014年12月に ZhenFund(真格基金)から100万ドルを調達し、昨年末、Deepshare ソリューションをローンチした。


このほか、ファイナリストに残った残り上位7チームは次の通り。

  • Bemalas(マレーシア)… マレーシア発のチャット・コマース/デジタルコンシェルジュ・サービス(関連記事
  • 十一維度(中国)…ガジェット・クリエイターがアイデアを投稿、他ユーザから賛同を募り、3Dプリンティングで製作できるプラットフォーム。
  • mOculus VR Production Toolkit…Oculus Rift を Autodesk Maya の 3D 環境に接続可能にするプラグイン。
  • Zoom Offices/房大弁公(中国)…スタートアップ向けに1日単位で、オフィスや会議室をレンタルサービス。
  • 買鄰信息(中国)…IoT デベロッパ向けに、容易にクラウドに接続できるモジュールやパーツを提供。IoT デベロッパがサービスのコア部分に集中するのを助ける。
  • Teenker/庁客(中国)…フリーランサーのためのマーケットプレイス。ウェディング、アート、フィットネス、写真撮影などを提供するフリーランサーと一般消費者をつなぐ。
  • 毎天派(中国)…80后(パーリンホウ)と呼ばれる、1980年代以降に生まれた30代の女性をターゲットにした、ファッションやショッピングの話題を扱うモバイルアプリ。

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