アウトドアレジャー予約サイト「そとあそび」を買収したアカツキが目指すライブエクスペリエンス事業のこれから

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左から:そとあそび創業者兼取締役の山本貴義氏、アカツキ代表取締役の塩田元規氏、そとあそび代表取締役中島裕氏
左から:そとあそび創業者兼取締役の山本貴義氏、アカツキ代表取締役の塩田元規氏、そとあそび代表取締役中島裕氏

2016年06月13日、アカツキはアウトドアレジャーの予約サイト『そとあそび』を運営するそとあそびの株式を取得し、子会社化することを発表した。同時に、アカツキでライブエクスペリエンス事業を開始することも発表している。

「そとあそび」は、山本貴義氏が2004年に創業したサービス。10年をかけて日本各地のアウトドアレジャーを紹介していき、ファンを集めていった「そとあそび」は、2014年2月に元ガイアックスの中島裕氏が経営に参加し、代表取締役社長に就任。有限会社だった運営母体を株式会社化した。

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そとあそびは、アウトドアレジャーのキュレーションにこだわって運営してきた精神はそのまま受け継ぎ、事業として成長させていくことに挑戦。2015年7月には、B Dash Venturesが運営するファンドを引受先とする第三者割当増資により、2億円の資金調達を実施した。

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資金調達から約1年。そとあそびは、アカツキの子会社となった。アカツキといえば、「シンデレラナイン」や「サウザンドメモリーズ」などのゲーム開発・運用を手掛けてきたことで知られ、2016年3月には東証マザーズへと上場を果たしている。

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アウトドアレジャーとゲーム。一見、距離がありそうに映る両社は、どういった経緯でM&Aへと至ったのだろうか。アカツキ代表取締役の塩田元規氏は、「そとあそびを見て、一緒にやりたいと思った」という。

目指す領域で共感した

塩田氏「アカツキが目指すのは、ワクワク体験をつくること。新規事業でいろいろと開発を進めていて、中にはアウトドアレジャーの領域もありました。色々とリサーチをしていたところ、アウトドアに特化している「そとあそび」を見つけて。調べてみたら、過去にお会いしたことのある中島さんが社長をされていたので、メッセージを送りました」

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これが、2016年4月の話。塩田氏からメッセージを受け取った中島氏は、ちょうど次の資金調達に向けて動いているタイミングだった。塩田氏との最初の打ち合わせで、かなり前向きに一緒にやっていくための話が進んだそうだ。

中島氏「塩田さんから連絡をもらったのが、ちょうど次の調達に向けて動いているタイミング。ウチとしても、この先サービスを成長させていくために、必要なことは何かを考えているところでした。アカツキと一緒にやるのは資本だけではなく、他にも色々と足りないものを補うことができる話、そう感じました」

2人は事業的なシナジーを感じたことはもちろんだが、なにより目指している方向が同じことに共感。

塩田氏「サービスからもにじみ出てはいたんですけど、思いをもって良いサービスを作ってきたことを強く感じました。また、業界全体を良くしていこうという意思をもってサービスを運営している点に強く共感して。アカツキが大切にしたいことと重なることも多かったので、最初の段階でかなり意気投合しましたね」

中島氏に続いて、そとあそび創業者の山本氏と会ったときにも、目指す領域が同じだったことに共感。話はさらに加速した。

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山本氏「社会に続いていくサービスにするには、本質に近いサービスでなければいけません。アカツキは、そこを大事にしながら、企業として成長も続けている。私が話をもらったときに感じたのは、2014年に中島さんと組んだ時と同じ。これは一緒にやらないほうがおかしい、早いうちから一緒にやれるといいと考えました」

カルチャーがフィットした両社

会社が目指す方向性で共感した両社は、一緒にやることになり、M&Aへと至った。契約が締結した翌週には、そとあそびはアカツキのオフィスへと移転をしている。このことからも、かなりのスピード感で動いていることがわかる。

M&Aが行われた後、異なる会社が一緒になることで摩擦やズレが生じてしまうことは多々ある。だが、アカツキとそとあそびは「ずっと一緒にやってきたかのような一体感がある」と塩田氏は語る。

塩田氏「不思議なくらいカルチャーフィットしています。僕は同じフロアに居るので、メンバーの様子を眺めているのですが、ストレスなくコミュニケーションしている様子が伝わってきます。移転日には、社内イベント的なものを開催して、「そとあそび」の話をしていたら、山本さんが号泣してました」

山本氏「自分が大切に育ててきたサービスのことを真剣に考えてくれる人たちが、こんなにたくさんいるんだって感じたら嬉しくなっちゃったんですよね」

アカツキでは、8月19日を「そとあそびの日」とし、会社の休日とするという。

塩田氏「強制はしないけれど、社員にはこの休日を使って「そとあそび」を利用してアウトドアに行ってほしいですよね」

こうしたことがきっかけとなって、アカツキの社員にとっても「そとあそび」の存在が嬉しいもの、身近なものへと浸透していくのかもしれない。

ライブエクスペリエンスを社会に浸透させる

そとあそびが実行することは、大量に溜まっている「やったほうがいいことリスト」を順番に消化していくこと。これまでリソースが足りていないため対応できていなかったことに着手していく。

中島氏「プランの数の充実、エリアの充実、サイトの改善などやらなくてはならないことは山程あります。それらをしっかりと積み上げていきます」

「積み上げつつ、成長曲線はやんちゃに伸ばします」と3人は語ってくれた。アカツキの子会社となったことで行われるのは、「そとあそび」のブランドを確立させていくこと。スマホのユーザ体験を設計するためのノウハウを持つアカツキが、スマホのマーケティング等を駆使しして、「そとあそび」のブランディングを行う。

「そとあそび」が大事にしてきたことを、アカツキのノウハウを活かして、より多くの人に伝えていく。アカツキ全体では、「そとあそび」がテーマとしてきたアウトドアレジャーだけではなく、より広い範囲でサービスを提供していこうと考えている。それが、「ライブエクスペリエンス事業(以下、LX事業)」だ。

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アカツキがこの先中長期で目指すのは、リアルライフ領域への事業進出。LX事業は、その第一歩となる。「LX」の領域には、アクティビティ、旅行、インバウンドなど、リアルな体験の機会を提供するサービス等を含む。

LX事業におけるサービスは、さまざまな体験を通じて人々に感動を与えることを目指し、「そとあそび」は、LX事業のうちのひとつのブランドとして今後は成長を目指していく。

塩田氏「アカツキとしては、LXを世の中に浸透させたいと考えています。旅行やアクティビティなど縦割になっていない、ワクワクする体験を提供する横断的な新しい産業を作っていくというメッセージを込めています」

アカツキは、今後もM&Aについても積極的に検討していくという。そとあそびがそうだったように、アカツキ社内で立ち上げ中の新規事業であっても、相性の良い会社であれば、積極的にM&Aをしていく。塩田氏いわく、その際に重要になるのが、抽象度の高いレイヤーで共感できるか、5年スパンで事業のことを考えられているかということ。

塩田氏「足元にある視線を、高く上に持っていくことは難しい。上から考えていくことが重要なんです。そとあそびは、目線を高く持っていたチームでした。5年スパンで事業を見ると、意思決定は変わります。アカツキは、そういう高い目線を持ったチームと一緒にやっていきたいと思っています」