予約台帳のトレタが12億円の資金調達、事業拡大に「他社買収も選択肢」

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予約台帳サービスのトレタは9月30日、Eight Roads Ventures Japanをリード投資家とする第三者割当増資を実施したと発表した。今回のラウンドに新たに参加したのはリード以外にはNTTドコモ・ベンチャーズ、三井住友海上キャピタルの2社。これに既存株主であるフェムトグロースキャピタル、WiL、アイスタイルキャピタル、セールスフォース ベンチャーズの4社を加えた合計7社となっている。調達した資金は総額12億円で、払込日や出資割合などの詳細は非公開。

これに合わせてリード参加したEight Roads Ventures Japanの日本代表であるデービッド・ミルスタイン氏が社外取締役に就任する。

トレタは2013年12月のサービス公開以来、順調に獲得店舗数を伸ばし、2016年9月時点で7000店舗に導入されている。また、導入店舗の細かなテーブル・席管理が可能になることから飲食店舗のウェブ席予約を実現しており、単なる導入店舗数の積み上げによるビジネス以上の可能性を見出している。

7000店舗に拡大したトレタ、予約台帳サービスから飲食店の経営プラットフォームへ【FOODiT】

今回の調達で同社は開発体制の増強、および営業・サポート・マーケティング体制の強化を図るとしている。

さて、創業期(いや、その前から)ずっと注目してきたレストラン予約台帳サービスの本命が10億円越えの調達を実施した。株式公開のタイミングが数年内という噂もあり、次回の大型調達は公開時になるかもしれない。(※情報開示:私の家族は過去、トレタと仕事上の契約関係にあったことを開示しておきます)

順調な店舗獲得を続ける中、気になるのが今後の成長戦略だ。ということで、同社代表取締役の中村仁氏にいくつか気になるポイントについて聞いた。

まず、売上の拡大策だ。予約台帳サービスの導入スピードについて中村氏は、やはり営業力と比例すると話していた。これに対して追加サービスなどのアップセルをかけることで数字を伸ばす。この辺りは正攻法だろう。

気になったのはウェブ予約だ。トレタのモデルが秀逸なのはウェブ予約を受け取った際、店舗側で紙の台帳を使って管理していた席の在庫状況をデジタル化したところにある。これによって店舗にあるテーブルや席を効率よくお客さんに提供することができ、結果として店舗の売上に貢献することができる。

中村氏は現在、導入店舗の2割ほどがウェブ予約に対応しているといい、こちらもやはり成長傾向にあると教えてくれた。

「僕らはもともと大量の予約管理に忙殺されている飲食店さまの課題を解決するためにサービスを開発したこともあって、予約が集中する「繁盛店」さまの契約を多く獲得できているんですよね。使い勝手とか機能とかサポートとか、ありとあらゆる面で繁盛店のためにサービスが最適化されている。で、そういう繁盛店さまがトレタを使って目覚ましい成果をあげると、そこからクチコミで導入が広がっていく。その結果として今の拡大があるのだと思っています」(中村氏)。

一方でウェブ予約はぐるなび、食べログ、Rettyなどのグルメ媒体が入り口として必要となる。トレタはあくまで店舗側の席在庫管理と繋がった「受付」システムであり、お客さんを受け入れるにはトレタに対応したメディアが必須なのだ。

そこで次の質問、トレタはこういったグルメ媒体を買収する可能性があるのか、という点について尋ねてみた。トレタはそもそもレストランの集客から経営改善までのプラットフォームを思想として持っている。グルメ媒体に関わらず、フード系IT業界には多種多様なサービス事業者が存在しており、買収という選択肢は未公開企業の段階でも十分考えられる。

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トレタが公表している飲食店向けサービスマップ(クリックして元記事へ)

「事業の拡大のための手段として、買収は確かに選択肢の一つではあると思います。予約だけでなく他の業務領域や、国内だけでなく海外など、さまざまな角度から理想を共有できるパートナーがいれば、積極的に仲間を増やしていきたいと思っています」(中村氏)。

言葉を選びながら回答していたが、中村氏の表情を見る限りではまんざらでもなさそうな雰囲気を感じた。

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