Apple に対抗できる中国発企業とまで揶揄され、かつては中国ハードウェアスタートアップの最先端企業であった Xiaomi(小米)はここ数年、Oppo(欧珀)、Vivo(維沃)、Huawei(華為)といった国内競合から猛烈な挑戦を受けている。携帯電話の市場シェアも、最盛期のトップから5位に後退した。
この凋落の要因は一面的なものでなく、サプライチェーンマネジメントからハイエンド製品の不足といった問題も関係している。ただ、オンラインに特化した同社のマーケティング戦略こそ、最大の要因だと広く考えられている。
オンラインマーケティングは成功した。しかし、それは万能薬ではない。
2010年に創業された Xiaomiは 、自社をインターネットの DNA を持つブランドと位置づけ、オタク的なポジションで顧客と関わろうとした。これは、同社のスローガン 「あなたのために生まれた、MIに熱くなれ(中国語では「為発焼而生」)」によく表れている。Xiaomi は低価格帯を維持するためにオンライン特化型のマーケティング戦略を活用し、小売店舗や従来の流通チャネル、ありふれた広告といった手法はとらなかった。
同社のマーケティングは、オンラインのフラッシュセールから熱狂的なファンコミュニティを生み出すためのソーシャルメディアプロモーションに至る。優れた仕様と手ごろな価格を特徴とするスマートフォンの普及がまだ初期の段階に、中国都市部に住む入門的なスマホユーザを取り込むのに成功したことは証明できた。
大都市に住む人々がスマホを採用するにつれて、他の中規模都市のスマホ普及率は近年、徐々に成熟化している。小規模都市や地方はインターネットの普及率も低く、伝統的な小売販売が依然主流であるが、こうした地域こそ、スマホ市場の成長に大きな役割を果たしている。
市場の変化。過去にどれほど成功したとはいえ、異なる市場に参入するのに昔ながらの戦略にこだわるのは賢明な選択ではない。
Xiaomi はいかに差別化していくか?
Xiaomi が押され気味となっている中、Oppo や Vivo といった国内の競合が、かつてXiaomi が放棄したのと同じ戦略を採用して成長している。そして今 Xiaomi は、ライバルの急伸を手助けしたオフライン特化型の戦略にシフトしつつある。
Xiaomi が初のフラッグシップストアを開設したのは2013年。当時は、より好ましい企業ブランドを構築するための PR が主な取り組みだった。現在、国内全体で47か所の「Mi Home(小米之家)」店舗を構えている(うち香港1か所、台湾1か所)。
同社は今回、オフラインに移行するのにこれまで以上に熱心だ。創業者の Lei Jun(雷軍)氏は、今年200か所のMi Home店舗を新設すると話している。今後3年で、合わせて1,000か所の類似店舗が開設されるという。
さらに同社は、流通企業その他中間事業者の取引を中抜きするために直販モデルのパイロット実験も開始した。個々の小売店は、Xiaomi のマーケットプレイスから直接注文ができる。サイトによると、Xiaomi は個々の店に対してトレーニングやインセンティブのプランも提供する予定だという。実店舗の新設と比較すると、この方法は顧客へのアクセスを低コストでできる。
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