中国国営メディア、Toutiao(今日頭条)のAIニュース配信を名指しで非難

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中国共産党の機関紙である人民日報は、好ましくない情報が溢れるエコールームを作る可能性があるとして、アルゴリズムが生成するニュースプラットフォームを非難するオプエド記事を掲載した。そこでは、ニュースアグリゲータの Toutiao(今日頭条)が名指しされている。

34歳のエンジニアであった Zhang Yiming(張一鳴)氏が設立した Toutiaoは 、ユーザデータや閲覧習慣に基づいて記事や動画のお勧め情報を提供している。2016年時点で、同アプリには1億7,500万の月間アクティブユーザがおり、1日あたり平均76分を費やしているという。設立後5年になる同社の企業スローガンは、「あなたの気になるニュースこそがヘッドライン」だが、特集記事が非難しているのはそのようなバリュープロポジションである。つまり、耳障りの良いコンテンツだけを消費していると、人はそれ以外の見方や馴染みのない種類のニュースを目にすることがなくなり、結果として、隔離されフィルターのかけられたバブルにまみれるという論調だ。

Toutiao は、その急成長により最近注目を集めている。同社の時価総額は8月に20億米ドルを調達した時点で220億米ドルに達した。中国の Twitter とも呼ばれ、ニュースを友人とシェアすることもできるプラットフォーム Weibo(微博)の8月における時価総額は200億米ドルだった。Toutiao は、出前サービスの Meituan(美団)や配車アプリの Didi(滴滴出行)とともに、次なるBAT(中国における3大インターネット企業の Baidu=百度、Alibaba=阿里巴巴、Tencent=騰訊)になると目されている。また、同社は BAT からいかなる資金調達も受けていない魅力ある中国インターネット企業の1つでもある。

昨年12月に Caijing(財経)との間で行われたインタビューの中で、Toutiao はニュースプラットフォームであってアウトレットではないこと、従ってメディアとは役割が異なると Zhang 氏は述べている。

Zhang 氏は次のように述べている。

メディアと企業の違いとして、メディアは価値を持たなくてはならないですし、人々を教育し、主張を伝えなくてはいけません。私たちはそのような仕事をしていないため、メディアではないのです。(中略)それでは Toutiao の価値は何かと問われれば、配信の効率性を向上させ、情報に対するユーザの需要を満たすことが一番重要だと言えるでしょう。

人民日報が中国のネット企業を非難するのは今回が初めてではない。7月には、Tencent(騰訊)で爆発的な人気となった携帯ゲーム「Honour of Kings(王者栄耀)」を槍玉に挙げたことから、同社の株価は4.44%も下落して、2,085億香港ドル(267.1億米ドル)もの時価総額が失われた。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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