スマホの次、パラダイムシフト本命は「ブロックチェーン」ーー取引所が儲かる理由と次の展開(前半)

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本稿は、福岡で開催中の B Dash Camp 2018 Spring in Fukuoka の取材の一部だ。

スマートフォンという大きなパラダイムシフトが発生したのが今から約10年前。2007年のiPhone登場をビッグバンとしてその後のアプリ経済圏、世界的なモバイルインターネットシフト、ソーシャル、シェアリング、オンデマンドエコノミーの勃興など、PCインターネットビジネスの「変化」が数多くここから生み出された。

やがてサービスが飽和に近づき、暇つぶしのゲームからテレビ、古物の売買からタクシー配車、昼メシの配達までなんでもできるようになるといよいよ「その次」を探し始めることになる。

IoT、ARやVR、ライブコマースなどなどアイデアは星の数ほど出てきた。しかしどれも大きな波であるものの、スマートフォンインターネットを凌駕するにはやや物足りなかった。

そんな時に忽然と、しかしながら水面下ではゆるやかに成長していたのがブロックチェーン技術による新しい世界観だ。これまでのインターネットになかったコピー不可のユニークなデータ、コミュニティによるネットワーク、非中央集権。どこかの誰かに決められていた権利は個人の手に渡り、大資本の思うがままだったリソースはコミュニティによって分散化された。

大きな構造の変革がある一方、考えるべき項目が多すぎて全体像はまだまだ曖昧だ。スマートフォンが出てきた時と同様、この「次のパラダイムシフト」に対する疑問もまた多い。

福岡で開催中の招待制カンファレンス「B Dash Camp」の壇上で語られた話題の中に、いくつかヒントが隠されていたのでそれをきっかけにこれから何が起こるのか、少し考察をしてみたいと思う。

セッションにはDAS CapitalのディレクターでAnyPay代表取締役の木村新司氏、gumi代表取締役の國光宏尚氏、メタップス代表取締役の佐藤航陽氏、GMOコイン代表取締役の高島秀行氏が登壇し、モデレーターはB Dash Venturesの渡辺洋行氏が務めた。

暗号通貨取引所という「儲かる」ビジネス構造と収束

コインチェックで発生した盗難事件とその対応/コインチェックサイトより

国内の暗号通貨市場を語る上で避けて通れないのが昨今のトラブルだ。

コインチェックが受けたNEM盗難被害事件は同社の返金対応で徐々に収束に向かいつつあるが、騒動が大きくなったのはここで動いた金が想像のはるか斜め上をいく規模だったことも影響しているだろう。

登壇したGMOコインの高島氏の話によると、取引所が扱うアルトコイン(ビットコイン以外の暗号通貨)は手数料が比較的高く、2〜3%が設定されているそうだ。特にこれらのアルトコインを多く扱っていたコインチェックは12月の取引流通総額が4兆円に届きそうな金額だったため、相当の収入があったとみられている。

また、高島氏はこれ以外にも暗号通貨黎明期に「仕入れた」暗号通貨を資産として保有している可能性もあり、これらの爆発的な値上がりも含めた複合的な要因で取引所が大きな収益を得ることになったのでは、と説明していた。

しかしこれをきっかけに監督官庁である金融庁も監視を強化し、登壇したGMOコインを含む複数社に対して業務改善命令を出す事態に発展しているのも周知の事実。

ではこの激しいアップダウンの後に何が待っているのだろうか?壇上では大きく規制の方向性とブロックチェーンの可能性について語られていたので、後半ではそれら2点を中心に彼らの言葉を借りて整理してみたいと思う。(後半につづく)

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