
Image credit: Masaru Ikeda
本稿は、Transform Africa Summit 2018 の取材の一部である。
【更新:日本時間10日13時更新】イギリスはルワンダの旧宗主国ではないため、当該表現を削除。
5月7日〜8日の2日間、東アフリカ・ルワンダの首都キガリで、4回目を迎える Transform Africa Summit 2018 が開催されている。このイベントを主催する Smart Africa には、IT 立国を目指すルワンダが音頭をとるアフリカ地域のスマート化を推進する組織で、サブサハラアフリカ(サハラ以南のアフリカ)を中心に21カ国が参加している。
ルワンダでは JICA(国際協力機構)が ICT イノベーションエコシステム強化プロジェクトを展開しているほか、神戸市とキガリ市が協力関係にあることも後押しとなって、日本からは20組織ほどの大企業やスタートアップが参加し「Japan Pavilion」を飾った。

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ルワンダ以外の地域からパビリオンを出していたのは、日本とエストニアの2カ国だけ。総勢80人ほどの日本人が参加していたので、ここでは日本は目立った存在だ。アフリカのあらゆる国で中国企業の名前を見かけるようになる中、イノベーションとかスタートアップという文脈においては、中国企業の存在は見受けられない。日本や旧宗主国のイギリスのほか(ルワンダはイギリス連邦に参加している)、イスラエルもこの国のスタートアップエコシステム牽引に一役買っているようだ。
スタートアップ・エコシステムにおける、日本とルワンダの関係

7日には、日本政府を代表して総務省総務審議官の富永昌彦氏と、ルワンダ政府を代表してICT 大臣の Jean de Dieu Rurangirwa 氏が、両政府の ICT 分野における協力関係を確認する覚書に署名した。
JICA はこれまでに、キガリ市内にの kLab(ケーラボ、2012年設立)や FABLAB(ファブラボ、2016年設立)といったテクノロジーハブの設立に資金支援をしている。これらのテクノロジーハブには100名程度の起業家や投資家が拠点を置き、その結果として、これまでに数十社程度のスタートアップを輩出している。また、ルワンダからは日本政府の奨学金制度を利用する形で、40人以上の若者が神戸情報大学院大学に留学しているそうだ。

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8日には、神戸情報大学院大学とアメリカのドローン開発大手 Swift Engineering が、ルワンダでジョイントベンチャー(JV)を創立することも明らかにされた。神戸情報大学院大学は kLab を拠点にプログラミング講座の提供をはじめ ICT エンジニアの養成を行っているが、今回の JV 設立を受けて、ドローンエンジニアの養成やドローンビジネスの推進まで、支援の幅を広げるようだ。

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ルワンダは高地に位置しており(今この記事を書いているキガリも標高1,500mくらい)、雨季の影響や首都を離れると道路の整備状況が思わしくないなどの理由から、ドローンの日常活用には高い関心が集まっている。日本のスタートアップスタジオであるミスルトウが2016年、ドローンを使った医療物流スタートアップ Zipline に出資したこともまた、この国がドローンビジネスと相性がいいことをエコシステムの関係者に再認識させた。
筆者は今週と来週、ルワンダ、ウガンダ、ケニアと、サブサハラアフリカの3カ国を巡る予定なので、この機会に各国のスタートアップシーンの現状をお伝えしたいと思う。

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