サマーウォーズの扉を開くアバター「エモモ」、ミラティブが公開ーー「10億ドル積まれたってこれは売らない」

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鳥肌がたった。やはりこの世界観は相当ヤバイ。前回同様まずは動画からだ。

サマーウォーズやアバター、最近ではレディープレーヤー・ワンなど。マトリックスなんていうのもあった。人は時折、願望として「別の世界」への憧れを持つ。それは空想や小説、映画の中の物語だったはずだ。でも今日、ミラティブのチームが公開したものはその「第三世界」と現実をつなぐことになるかもしれない。

必要なのはスマートフォンひとつだ。

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ゲーム実況のライブ配信アプリ「Mirrativ」を提供するミラティブは8月1日、誰でもアバターをつけてゲーム実況が可能になるライブ配信機能「エモモ」をβ版として公開した。配信するユーザーは自分自身の分身をゲーム世界に登場させ、ゲームをしながら視聴者と一緒にライブ実況のコミュニケーションを楽しむことができる。

エモモと呼ばれるアバターは髪型、目、口、輪郭、服、体型などを自由に設定でき、あらかじめ指定した感情が配信者の声に連動して動く仕組みになっている。Mirrativでゲーム実況を配信する際には視聴画面にその分身を置くことができる。なお、口は配信者の声に応じてリップシンクしてくれる。

iPhone Xで実装された「アニモジ」のように、特殊なインサイトカメラを必要とせず、Mirrativが現時点で稼働する端末であれば利用可能。なお、現在この機能に対応しているOSはiOSのみで、一部ユーザーから抽選で段階的に開放される。Android版については8月上旬のリリースが予定されている。利用したいユーザーはここからエントリーができる。

ゲーム世界+アバターのインパクト

ここまで聞いて「いや、にじさんじあるっしょ」と思った読者の方は一部正しい。私もそう思った。実際、このバーチャルYouTuberの界隈はActiv8のキズナアイをはじめ、前述のにじさんじ、「ときのそら」所属のカバーが2億円を調達するなど、日増しに市場の熱気が感じられるようになっている。

しかし多くは配信機材やカスタマイズに制限があるなど、自分が分身を作るというよりは「分身してる誰かを見る」というアプローチが多い。エモモは逆だ。憧れの誰かを見るアイドル思考ではなく、「自分も」変身して仮想世界に飛び込めるハードルの低さを用意した。

もちろんこの構想もfacebookが先行している。OculusのSpacesがまさにそれだ。没入世界で自分はアバターとなり、時間と場所「時空」を超えてコミュニケーションができる。ーーただこれも没入するためのヘッドセットが必要になる。

一応、書いておくがセカンドライフは早すぎた。

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そしてエモモにはMirrativがある。先日リリースがあったバトルロワイヤル「荒野行動」では配信9カ月で100万の配信があったそうだ。ゆくゆくはこの全てのコミュニケーションに分身した自分で参加できることになるのだろう。

全て自由のフリー配信とは違い「ゲームを実況する」という明確なルールがあることでTwitchは一気に拡大した。もしこの楽しそうな世界に「分身」として参加できるなら、そこに行ってみたいというユーザーは潜在的にいるだろう。ミラティブが開こうとしている扉の価値はまさにそこにある。

10億ドルでも売りませんーー世界で戦えるサードプレースを作る

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ミラティブ代表取締役の赤川隼一氏/筆者撮影

ミラティブ代表取締役の赤川隼一氏の「Mirrativ」を最初に取材したのは2015年8月。あれから3年が経過した今、彼らはディー・エヌ・エーという親元を離れ、スピンアウトという形でスタートアップした。

赤川氏のストーリーはネットに沢山あるのでそちらに任せるとして、やはり期待されるだけのことはある。一通りデモを見たあと、私はTwitchがAmazonに買収された約10億ドルを挙げて売却の可能性を聞いたが、ほぼ即答で「ない」と返ってきた。相当に手応えを感じているのだろう。

実際ゲームやアニメコンテンツなどの文脈で日本が強いのはご存知の通りだ。そこに降って湧いてきたようなバーチャルYouTuberの熱気は間違いなく追い風になっている。では、赤川氏はどういう未来像を持っているのだろうか?彼がリリースに寄せている文章が相当にエモいのでその一文を借りる。

「自由な21世紀を生きる私たちは、もっとしがらみや歴史、そして「これまでの自分」からも自由になりうるのではないでしょうか。身体、という重力からも。あるいは、ある責任感を持って現実社会の中で自分の役割を果たそうとしている人にこそ、時には「いつもと違う自分になれる」場所も必要なのではないでしょうか。さらには、本当につらい現実に向き合わなくてはいけない時。そんな時にこそ「自分の存在が認められる」場があること、自分を認めてくれる相手がいること、それを信じられること、その連鎖が、勇気や救いになる——そんなこともあるのではないでしょうか」(リリース掲載/赤川氏コメントより)。

ミラティブのチームには「サマーウォーズを作る」という掛け声があったそうだ。「中の人」の魂がキャラクターとリンクしていれば、別に訪れる場所はリアルである必要はない。ゲーム世界というとややネガの印象を持つ人もいるかもしれないが、多様性の時代、そこは入り口のひとつに過ぎない。

さらなる可能性はグローバルだ。冒頭にも書いた通り、SFの世界ではグローバルコンテンツの方が「分身」を求めていることがよくわかる。さらに言えばTwitchの実績と分身/アバターとの掛け合わせの可能性に期待を感じないわけにいかない。

「そこには、きっと、それぞれがなりたい自分を表現して、お互いの好きなことをきっかけにわかりあえるような、現実とは違う世界=「サードプレイス」が広がっていくと信じています。そして、そのサードプレイス、居場所の存在が、それぞれの現実の世界にも前向きな力を与えると信じています」(リリース掲載/赤川氏コメントより)。

まだ副業のメンバー含めて30名前後のミラティブ。「メルカリ後」、日本からスタートアップとして彼ら同様、グローバルに展開する事例として続いて欲しい。

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