James Riney氏と澤山陽平氏、50億円規模の新ファンド「Coral Capital」を組成——500 Startups Japanは解散へ

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左から:大櫃直人氏(みずほ銀行 イノベーション企業支援部 執行役員 部長)、澤山陽平氏(GP, Coral Capital)、James Riney 氏(GP, Coral Capital)、小林京太氏(三菱地所 新事業創造部長)
Image credit: Masaru Ikeda

<5日15時更新>

500 Startups Japan の1号ファンドについて、LP や投資先に対するフォローアップを Coral Capital が引き継ぐのではなく、澤山氏と Riney 氏の2人が 500 Startups Japan と Coral Capital の両ファンドの GP を兼任する形となる。これに従い、一部内容を修正した。

ベンチャーキャピタリストの James Riney 氏と澤山陽平氏は5日、都内で記者会見し新ファンド「Coral Capital(コーラルキャピタル)」を立ち上げると発表した。Riney 氏と澤山氏が、GP(ジェネラルパートナー)を務める。これに伴い、500 Startups Japan の日本チームは解散し、GP を含む5人のメンバーはそのまま新ファンドに移籍する。Coral Capital は 500 Startups Japan のときと同様、東京・大手町の Global Business Hub Tokyo を拠点に活動を続ける予定。

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新ファンドは50億円規模で、LP には、500 Startups Japan 時代からのLP である、みずほフィナンシャルグループ、三菱地所、孫泰蔵氏、千葉功太郎氏らに加え、新生銀行、J-POWER(電源開発)らが新規投資家として名を連ねる。これまでの 500 Startups Japan の LP や投資先に対するフォローアップは、Coral Capital が引き継ぐ。これまでの500 Startups Japan の1号ファンドの LP や投資先に対しては、澤山氏や Riney 氏 が 500 Startups Japan の GP としてフォローアップを続ける。

Image credit: Masaru Ikeda

今回、500 Startups Japan の2号ファンドではなく、Coral Capital としてファンドを立ち上げた理由について、Riney 氏と澤山氏は、500 Startups がその名の通り、「世界中で数多くのスタートアップに投資する」ビジョンであるのに対し、日本では「社数を絞って集中的に投資した方が良い」方向へと環境が変化し、戦略が乖離してきたためだと説明している。

500 Startups Japan が 500 Startups から独立」とする報道も一部では見られるが、500 Kimchi500 Tuktuks500 Durians をはじめとする地域特化マイクロファンドと同様、500 Startups Japan もまた、500 Startups から独立した存在だった。市中のフランチャイズビジネスと同様に、各マイクロファンドはある種の加盟料のようなものを本部に収める代わりに 500 Startups のブランドが使えるわけだが、資金調達や投資判断は各ファンドの GP に委ねられている。

2017年7月、500 Startups の顔とも言える Dave McClure がセクハラ問題で第一線から退いたことは、少なからず世界的な 500 Startups のプレゼンス低下に影響をもたらしたことは否定出来ない。そんな中で、各地域特化マイクロファンドが〝加盟料〟と引き換えに 500 Startups の名前を冠し続けることの意味も低下しつつあり、今回の Coral Capital の組成は、その象徴的な動きの一つと言えるだろう。

Image credit: Masaru Ikeda

500 Startups Japan は2015年に設立(1号ファンドの組成は、2016年2月)。過去3年間で43社に合計約11億円程度の投資を実行し、投資先の累計調達額(500 Startups Japan からの出資以外を含む)は150億円を突破した。これまでに、ツナグ・ソリューションズが買収した Regulus Technologies(関連記事)、アメックスが買収した Pocket Concierge、非公開1社がイグジットを完了している。新生 Coral Capital は、今後も 500 Startups 本体とディールフローの共有などで相互に協力するとしている。

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<以降、5日14:30追記>

一方、500 Startups は日本のカントリーマネージャーを募集しており、筆者の元にも就職斡旋会社から、複数の案内が寄せられている。500 Startups としては、本部直轄の日本部門を立ち上げるか、以前と同じ形で 500 Startups Japan を立ち上げる意向があると見られる。

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