Airbnbがホテルでもエアビーでもない「Lyric」に1億6000万ドル出資、その提携の背景を考察する

by Taishi Masubuchi Taishi Masubuchi on 2019.5.28

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ピックアップAirbnb Leads New $160 Million Funding for Short-Term Rental Brand Lyric

ニュースサマリー:サンフランシスコ発の不動産・ホスピタリティー系スタートアップ「Lyric」は4月17日、1億6000万ドルの資金調達を公表している。出資したのはAirbnbで調達ラウンドはシリーズB。

賃貸経営者がラグジュアリーアパートメントの貸し出し可能なプラットフォームを運営。特にビジネストラベラー向けに一室丸ごと貸し出すのが特徴で、出張時の生産性向上やホスピタリティーの面を売りにしている。

話題のポイント:Airbnbにも「一室丸ごと貸し出し」な物件はありますが、Lyricはそのエリアのみに特化したサービス。競合には、以前「ユニコーン企業」にてお伝えしたSonderなどが類似サービスとなっています。

Lyricの特徴に関して、同社共同創業者のJoe Fraiman氏はSkiftにて以下のようにコメントしています。

「We’re not a hotel. We’re not an Airbnb. We basically design and operate what we call ‘creative suites,’」(Lyricはホテルでも、Airbnbでもありません。’クリエイティブスイート’と私たちは呼んでいますが、そんな空間をデザインして、作り出しているんです)。

アメニティーは高級で使い心地の良いものを用意し、現代的なビジネストラベラーが必要とする高速Wi-Fiなどを揃えた「クリエイティブスイート」という環境を作り出しています。

では、なぜ今回AirbnbがLyricへの出資を決めたのでしょうか。CB Insightが公開したデータによれば、現在Airbnbは500万件以上もの物件が掲載されています。その反面、Sonderは2万件ほど、そしてLyricも1000件ほどと公表しています。

Credit: CB Insights

ただ、Airbnbの物件は基本的に家主がそのままリスティングするためLyricやSonderのようなこだわり抜いたデザイン設計がされているわけではありません。

Lyricのサイトには企業パッションである3つのコアが掲載されています。これによると、Lyricという会社は「Design」,「Community」,「Technology」を組み合わせたコンセプトを持っています。

同社はインハウスで、部屋のデザインを担当しており現代的かつ目的に合わせることを心掛けているとしています。またデザインと同じく、インハウスのデータサイエンティストやエンジニアが「シームレスな経験」をキーワードにサービス設計を施します。ここに最後のパーツであるコミュニティーを組み合わせ、街のスペシャリティーを理解したうえで、Lyricの物件が一緒に成長していけるようなコミュニティー形成を心掛けているとしています。

つまり、AirbnbのLyricへの出資は「こだわりのある」部屋のリスティングを差別化して増やす目的意識があるのでしょう。

Airbnbがディスラプトしているホテル業界ですが、伝統的なホテルも対抗策を講じてきています。例えば、「Marriott(マリオット)」は高級ホテルとして有名ですが、Washington Postによれば、「Homes & Villas by Marriott International」と呼ばれるAirbnbライクな取り組みを開始しているようです。今のところ、米国、ヨーロッパ、カリビアン、ラテンアメリカのマリオット系列において、住居としての利用が可能としています。

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