長期滞在にリモートワーク利用、Airbnbに起こる劇的変化ーー資金はさらに10億ドルを調達

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Image Credit : Airbnb

ピックアップ:Airbnb Announces $1 Billion Term Loan

ニュースサマリー:Airbnbは14日、COVID-19に向けた対策の一環としてシンジケートローンを利用した10億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はプライベートエクイティーファンドのSilver Lakeが務め、BlackRock、Eaton Vance Corp、Fidelity Investment、T.Rowe Price Group Incも参加している(総勢20以上)。

同調達はファースト・リーン(第一順位の抵当権付ローン)で実施される。つい先日には、今回のラウンドにも参加するSilver Lake、またSixth Street Partnersから同額の10億ドルを調達していた。このラウンドはセカンド・リーン(第二順位の抵当権付ローン)と株式で構成されている。

話題のポイント:Airbnbは今月始め、COVID-19に応じて長期滞在を受け入れるホストの割合が増加していることを同社ブログにて公表していました。それによれば、全体の80%以上がロングタームでの貸し出しを許可し、その内50%が長期滞在ディスカウントを提供しています。

今まで民泊のロングターム利用といえば、ビジネストラベラーを中心とした利用者層が割合を多く占めていました。「ビジネストラベラー版Airbnb」と称される2nd Addressや、Lyricなどは急激な成長を遂げ、また、ホテルの空き部屋等をマンスリーベースで貸し出すプラットフォームAnyplaceの成長も著しく、フレキシブルにワークベースを創り出す手段として注目されている状況です。

Airbnb本体にも、Airbnb for Workと称し、ビジネストラベラーに特化したサービスの展開を進めていました。しかし、今回のパンデミックで一気に「ビジネストラベラー」の需要は減り(物理的な移動を要するビジネストラベラー)、逆に緊急で中長期にわたり居場所を確保する必要が伴う層からの需要が増したことが伺えます。

Airbnb product screenshot showing a modal window that introduces host to a tool that that helps them set up their listing(s) for longer term stays.
長期滞在を促すポップアップ

さて、同社が医療従事者向けに住居の提供を始めていることに加え、例えば米国では、大学のオンライン授業への移行で寮が一時封鎖されるケースが目立ち始めています。それに伴った一時滞在の場所として賃貸契約が生じない民泊、Airbnbのロングターム利用へのシフトが大きく始まっています。

また、ビジネストラベラーは減少傾向にあるものの、AirbnbをWork From Home環境としてロングターム利用する需要が高まっている気配を感じます。例えば東京の物件では「リモートワーク向け」といった文言が強調され始めているなど、そうした需要の可能性をコミュニティーが感じ始めているのだと思います。

元々同社は「C2C型・ショートステイ」として目まぐるしい成長を遂げてきました。そのため、全てのステイをロングステイベースと変化を遂げていくには、企業・ホスト両社にとってカルチャーが大きく変わるターニングポイントとなりそうです。

同社は先日、今までホストがフィジカルに提供してきた「Airbnb Experience」を完全オンライン型にするなど、#StayHome の流れに積極的な貢献姿勢を見せています。

同社共同創業者であるBrian Chesky氏は「冒険し、だれかと繋がり、新しい経験をし、「家」という心地よい場所を持ちたいという欲求は何があろうと普遍的かつ永続的なものです。私たちが進むべき道はこれからも変わりません」とリリースで述べており、彼らの信念は何があろうと簡単には変わらないことが伝わります。

ホスピタリティー・トラベル業界が苦しんでいる中でも、総額20億ドルの資金を集めることができる強さはこの辺りにあると感じます。

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