Twitchで合法化する「映画同時視聴」、新たなライブエンタメの可能性

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Image Credit:Twitch

ピックアップ:Twitch expands Watch Parties so we can view Prime movies and TV shows together remotely

ニュースサマリ:配信プラットフォームを運営するTwitchは4月9日、Amazon Primeの映画とテレビ番組を一緒に視聴できる「Watch Parties」のβ版を米国向けに開始すると発表した。まだ作品全てがWatch Partiesの対象ではないが、Amazon Originalやスター・トレック、セックス・アンド・ザ・シティなどの人気作品を含んでいる(対象作品リストはこちら)。今後、世界中のAmazon PrimeメンバーにWatch Partiesを利用可能とする予定だ。

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Image Credit:Twitch

話題のポイント:ライブ配信は比較的新しいエンタメとして「インタラクティブ」を武器に発展してきました。話せる話題を中心において、それについて配信者も視聴者もそれぞれが発言をし、共通体験を深めていく。質疑応答や発表ではなく、一緒に楽しむ側面が強いのがライブ配信の特徴です。

「1 vs N」として表現されることの多いライブ配信ですが、VTuberの雑談配信やラジオアプリ「SPOON」を見ていると、コメントに返答する形で配信者を中心に会話が連鎖していることに気付きます。配信者が自由に返信する中で、返信内容に関するコメントが飛び交い、それにまた返信する。配信者が話の流れを紡ぐことで知らず知らずに視聴者間を繋げているからこそ、ファン固有のマナーが生まれ、熱狂できるコンテンツに昇華させているのでしょう。

この外骨格を維持できれば、話題に据えるものに制限はありません。より配信者のパーソナリティを表現できるものを選べば良いわけです。現状、ゲームや作業風景、私生活の垂れ流しなどコンテツは多岐に渡ります。

その中に作品の「同時視聴」というジャンルが存在します。海外では「リアクション」と呼ばれてアニメ、映画を開始時間を合わせて視聴者と一緒に見るというものです。1万人に近い人達と同時に映画を見る体験はより高揚感を高めてくれます。少し前のTwitterを知る人に向けて例えると、「バルス祭り」でサーバーダウンさせる時と同じような一体感です。

しかし、これまでは著作権侵害を避けるためにユーザ体験がベストではありませんでした。合法的にしようと思ったら配信者と映画の2つの画面を用意する必要があり、スマホユーザは置いてきぼりです。過半数以上がPCよりもスマホで視聴する現代において、2画面必要な体験はそれだけでユーザを失う結果となります。

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Image Credit:Korone Ch. 戌神ころね

Twitchが今回始める「Watch Parties」では、上記の通りすでに顕在化していたニーズを汲み取る意味合いが強いと考えられます。

配信プラットフォームのライバルであるYouTube Gaming Live(Google)、Mixer(Microsoft)、Facebook Gamingはコンテンツを扱っていません。権利関係を調整できる立ち位置にあるAmazon傘下のTwitchだからこそ実現できた荒技です。

ただし、Twitchで配信をする人の大半はゲームです。あくまで視聴者は ”ゲームをする” 配信者のファンであってややニーズからはズレた印象があるのは否めません。

Twitchの目論見として、ゲーム配信者でも映画の同時視聴で人を呼べると踏んでいるのか、はたまたYouTubeとライセンス契約を結ぶ前段階と考えているのかは定かではありませんが、「映画に特化した配信者を生み出そうとしている」としたら面白いなと思います。

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Youtubeで「同時視聴 映画」と検索した一覧

映画は嗜好品だからこその深みがあり、見る人によって行間の捉え方が異なります。今は特典映像として監督、出演者の副音声を収録されていることがありますが、”自称” 映画評論家の人達が映像とともに自分視点の解説をするというのは新しいエンターテイメントなのではないかと思います。

また、配信者を通して、作り手は有効なフィードバックを得ることができるようになります。これまでのインターネット上にあるフィードバックといえば、レビューが主流でした。もちろんレビューも素晴らしいのですが、断片的な情報であるためシーンごとの感情の起伏を時系列で追うことはできません。現状、Amazon Primeにも視聴者の離脱傾向などの結果以上のフィードバックシステムはありません。

配信の強みは盛り上がりのような数値にしづらい項目を、視聴者と関係を築く過程で取得できる点にあります。ついツッコミたくなる点、つい笑ってしまう点、つい感動してしまう点を共有してこそ同時視聴の体験は高揚するのです。

TwitchがAmazonに買収されてからまもなく6年。ここに来て分かりやすいシナジーを発揮してきました。この動向を受けて他社がどう動くのか、今後も目が離せません。

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