無電化地域に電力を届ける「WASSHA」、関西電力と業務提携——2022年までに、アフリカでの取扱店舗1万店・DAU20万人超を目指す

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Image credit: Wassha

東京に本社を置き、アフリカの発展途上国でキオスク店舗をネットワークすることにより、無電化地域に電力を届けるサービス「WASSHA」を展開する WASSHA(旧社名 Digital Grid)は6日、関西電力(東証:9503)と業務提携したことを明らかにした。この提携を通じて、WASSHA は2022年までにアフリカでの取扱店舗数1万店(今年7月末現在1,100店)、DAU(デイリーアクティブユーザ)20万人を目指す。なお、今回の業務提携において、出資や資本提携は伴っていない。

WASSHA は2013年の設立(当時の社名は Digital Grid)で、東京大学大学院の阿部力也教授の「電力ネットワークイノベーション(デジタルグリッド)」の研究からスピンオフしたスタートアップだ。アフリカの無電化地域の村々のキオスクにソーラーパネルや充電バッテリを設置し、LED ランタン30基、ラジオ、タブレットなどを無償でレンタル供与。店舗はこれら生活家電を村の住人に貸し出し、日々充電に来てもらうことで課金する。店舗のオーナーがスマートフォンを操作してモバイル決済することで充電ボックスからランタン、ラジオ、タブレットなどに通電されるようになっており、WASSHA の店舗からの売上回収もモバイルで実施する。

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今回の業務提携では、キオスク7,500店舗分の機材を関西電力がサポートし、WASSHA 機材をキオスクへ導入。エンドユーザが利用した料金の一部を関西電力に分配するというレベニューシェアモデルを採用する。また、関西電力とは、将来的に LED ランタンのレンタルに関するビッグデータを解析し、レンタルではなく購入が適したユーザに対する電力機器の販売、個人向けの電力レンタルではなく、地域としての電化が適した地域に向けたミニグリッドの展開等、エンドユーザの経済面での発展に合わせた各種電力サービスについても共同での実施を検討する。

今後、WASSHA ではキオスクネットワークを活用し、キオスク向けの E コマースサービス、キオスク向けの SaaS サービス、キオスクをハブにした未電化地域エンドユーザに向けた E コマースサービス等、各種サービスの展開を進めるとしている。

WASSHA は、2015年8月にシリーズ A ラウンドで東京大学エッジキャピタル(UTEC)、日本政策投資銀行、イノベーティブベンチャーファンド(NEC グループと SMBC グループによる共同運用)、電源開発から8億円、また、2016年10月にシリーズ B ラウンドで JICA(国際協力機構)から3億円を調達している。今年、中小機構が開催した「Japan Venture Awards 2019」では、「JVA 審査委員会特別賞(SDGs 推進特別賞)」を受賞した。

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