年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のプレイドで広報を担当されている櫻井友希代さんからご推薦いただいたのは「SoupStock Tokyo」やネクタイ専門店「giraff」などでおなじみのスマイルズさんです。
と、ここで残念なお知らせが。本企画は「外部のリスク資本を受けて積極的に成長を求める」、いわゆるスタートアップが対象だったため、ここでバトンは終了となります。
<参考記事>
- 感情をぶつけた表現が感動に繋がる: #スタートアップPR ベスト事例(1)ミラティブ【リレー】
- 社内に目を向けた情報発信で強い組織を表現: #スタートアップPR ベスト事例(2)グッドパッチ【リレー】
- 企業や個人の想いを届ける新しいPRの選択肢:#スタートアップPR ベスト事例(3)ピースオブケイク(note)【リレー】
- ミッションに紐づいた言語化が「全員PR」を促進:#スタートアップPR ベスト事例(4)プレイド(KARTE)【リレー】
ただ櫻井さんの知見でスマイルズさんの素晴らしい活動を知ることは、スタートアップPRでも大いに役立つはずですので、推薦のコメントをこちらに掲載させていただきます。
櫻井友希代さんの推薦理由:バトンが最後なので「番外編」として推薦のコメント掲載させていただきます。
なぜ私がスマイルズさんを推薦したのかというと、コンサルティング事業を含めた社内外の業態開発が活発で次々と事業やブランドが生まれており、スタートアップのいわゆる「第二創業期」にも近い環境ではないかと想像しているからです。
2017年春、自社の複業解禁の気運や流れを“社長も複業の時代!?”というタイトルとともに「プレスリリース先行」で作り出したという話を聞いたのが、スマイルズさんに注目するきっかけでした。プレスリリースを出すことによって働き方文脈での取材や講演会の機会を創出、既成事実化し、社内を巻き込むというのはある種の「力技」で、経営だけでなく各事業部や社員と、日頃の信頼関係があるからこそできる仕事だと思います。

また、スマイルズさんの今年の動きに関しては、2つ印象に残っています。一つは、創業時からスマイルズを牽引してきた遠山社長というカリスマ性のあるファウンダーに続き、クリエイティブディレクターの野崎亙さんの登壇や出版などの露出が増えたことです。
強いカルチャーを持つ企業では、社長以外の人物を立たせることがなかなか難しかったりもしますが、野崎さんが手がけられた「文喫」や「100本のスプーン」(リブランディング)などのヒットを上手に活用し、露出を増やされています。このように会社の「顔」となる社員を増やす動きは、スタートアップが第二創業期に移行した際の広報としても非常に参考になると思います。

今年印象に残った2つ目が、「100本のスプーン」というスマイルズ流の「ファミレス」業態があざみ野で行った「コドモたちとつくる公園プロジェクト」でした。
こちらは当初、「公園を作る」という目的に向かって社外の設計事務所とともに事業部内でプロジェクトが動いていたそうですが、概要を聞いた広報チームが「もっと100本のスプーンとしてやる意義を作りにいきたい、プロセス自体にそれを組み込めないだろうか」と考えて現場と議論し、結果的にプロジェクト自体のオーナーシップを広報が持って進めたそうです。
「なんか違う、うちらしくない」と横から口を出すのは簡単です。そして、人も事業も増え企業が成長していく中で、「プレイドらしさ」「スマイルズらしさ」など、その企業やブランド「らしさ」を保ち、企業の振る舞いに浸透させていくのはなかなか難しいことです。
「コドモたちとつくる公園プロジェクト」は、そのアウトプット自体ももちろん素敵でしたが、広報自ら率先して動き、社員に対して背中で「らしさ」見せたというプロセスにも共感し、たくさん学ばせていただきました。
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ということで、広報チームのリーダーシップが印象に残ったスマイルズさんがスタートアップPRのベスト事例「番外編」となりました。
いかがだったでしょうか。
スタートアップPRの重要性は最初の記事で書いた通りです。どの事例もそうですが、一方的なパブリシティ活動の最大化で評価されている企業はひとつもありません。ニュースバリューが弱く、メディアリレーションズ一辺倒の戦略では前進できない点を、さまざまなチャネル、コミュニケーションアイデア、社員協力体制を組んで突破されています。
スタートアップPR活動について悩みを持つ経営者、担当者のみなさんにとって参考になれば幸いです。
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