
空飛ぶタクシーの商用化に向けて電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を進めているドイツのVolocopterは、シリーズCの追加ラウンドで3,700万ユーロ(4,000万ドル)を新たに調達した。昨年9月に5,000万ユーロ(5,400万ドル)を獲得していたため、調達金額は合わせて8,700万ユーロ(9,400万ドル)となった。設立してからの調達総額は1億2,200万ユーロ(1億3,200万ドル)である。
追加ラウンドには、ドイツの物流大手DB Schenkerのほか三井住友海上火災保険、TransLink Capital、Lukasz Gadowski氏、Btovも参加した。
2011年に設立されたVolocopterは、都市部において新型電動商用輸送機の飛行でマネタイズしたいと考えている都市型航空スタートアップの1社だ。機体はヘリコプターのように垂直離着陸できるため、滑走路や広大なスペースを使うインフラを必要としない。その代わり、シンガポールですでに第1号を公にしている都市部向け小型着陸パッド「Voloports」の利用を想定している。

主な同業他社には、2025年までに空飛ぶタクシーの商用飛行実現を目指して1億ドル超を調達したドイツのスタートアップLiliumなどがある。そのほかBoeingも「空飛ぶクルマ」のプロトタイプをローンチしたほか、Airbusは空飛ぶタクシーサービスの実験を行っている。
新たに4,000万ドルを手にしたVolocopterは声明の中で、Volocity機の早期認可取得、VoloDroneとして知られる第2世代型貨物輸送ドローンのローンチ、「業界専門家」の採用増に向けた準備が整いつつあるとコメントした。DB Schenkerが新たな投資家に加わった意味は大きく、Volocopter技術の実用化に際して、主要な業界プレイヤーとの戦略的な提携が重要な役割を果たすことになるだろう。
Volocopterの技術を導入することで、顧客にとっての物流サービスが異次元に向かう可能性があると信じています。
DB SchenkerのCEOでVolocopterの顧問にも就任したJochen Thewes氏は次のように述べている。
DB Schenkerはこれまで、複数の革新的なプロジェクトや実際の業務で自動電気自動車の走行実験を行ってきました。当社が展開する未来のサプライチェーンとVoloDroneを統合することで、迅速な配送、遠隔地への配送、環境に配慮した配送に対する顧客ニーズに対応できるようになるでしょう。
具体的なスケジュールこそ明らかにしなかったものの、Volocopterは新規株式公開(IPO)実施の可能性についても示唆した。この取り組みの一環として、前DaimlerのCEOのDieter Zetsche氏とCASソフトウェアを設立したMartin Hubschneider氏を新たな社外顧問とした。
とりわけDieter Zetsche氏とMartin Hubschneider氏を新たな顧問として迎え入れるのは喜ばしいことです。
またVolocopter会長のStefan Klocke氏はこのようにも話している。
顧問は、都市上空のモビリティで当社が世界的な大手企業になるための戦略的な関係構築や将来実施する可能性があるIPOに向けた準備で経営陣をサポートする役割を担うことになります。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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