「WeChat(微信)の未来はEコマースにある」——中国最大のSNS、Eコマース化に向け「ミニプログラム(小程序)」をローンチ

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WeChat(微信)の顔認証決済
Image credit: TechNode/Shi Jiayi

※本記事は提携するTechnode「WeChat mini programs: the future is e-commerce」の抄訳になります。

Tencent(騰訊)が運営する中国最大のSNSアプリ「WeChat(微信)」は1月7日、広範なマーケットプレイスの創造を目的とした「ミニプログラム(小程序)」の実現に向け、一連のアップデートを実行した。Tencent のビジョンを基に行われた同アップデートにより、WeChatは、Alibaba(阿里巴巴)、JD.com(京東)、Pinduoduo(拼多多)などの他の E コマースプレイヤーと直接的に競合する立場へと移ったと捉えることができる。

新しい変化としては、顧客レビュー方式やブランド保護・輸送ツール、さらに顧客保護プラットフォームなどが挙げられる。これにより、WeChat 上のアプリケーションはよりオンラインマーケットプレイスに近しいモデルへと変化している。

中国のテックインベスターポッドキャストを運営する James Hull 氏は、Technode(動点科技)のインタビューに対し以下のように回答している。

WeChat は確実にオンラインマーケットプレイス構築のための新機能を加えていっています。彼らは以前にも、E コマースへの参入を試みていたことがあるため、そう考えるのは何ら不思議ではありません。

日の出を迎えるE コマース

Wechat のミニプログラムは、Wechat というスーパーアプリ内で提供される軽量のアプリケーションのことで、ユーザーはミニプログラムのためだけにアプリストアでアプリをアップデートしたり、ダウンロードしたりする必要はない。ミニプログラム提供プロバイダ Jisu App(即速応用)のレポートによれば、昨年8月時点で、既にWeChat 内では240万件以上のミニプログラムが存在しているという。

Tencent の第3四半期の業績報告によれば、昨年9月時点で、WeChatの月間アクティブ・ユーザは12億人に上る。比較として、同時期の Alibaba の E コマースアプリの月間アクティブ・ユーザは6億3,900万人である。また同社のレポートによれば、2019年前半の Jisu のアプリを用いた WeChat のミニプログラムで、オンラインショッピングのトランザクションが占める割合は既に3分の1ほどに達している。

以上の数字を考慮すると、WeChat は広告だけでなく、膨大なユーザデータやエコシステムを活用することで、非常に高い成長ポテンシャルを持った E コマースプラットフォームの構築を実現する可能性があると考えられる。

Eコマースに特化した新機能

中国の広州市で開催されたイベントのキーノートスピーチで、「WeChat Open Platform(微信開放平台)」の副執行役であり、同ミニプログラムの責任者である Du Jiahui 氏は、同アップデートに関し以下のように発言している。

2020年のミニプログラムに関する Tencent の目標は、開発者らの独自ビジネスアプリ構築を支援していくことである。

さらに、彼はミニプログラムのなかで、以下のような E コマースフレンドリーなアップデートを準備しているという。

  • E コマースのミニプログラム内で販売される商品の発見を促す検索機能の向上
  • 販売事業者が彼らの商品を検証でき、消費者が本物を判断するのに役立つブランド保護プラットフォームの導入
  • 消費者が商品の配送情報をトラック可能な、販売事業者向け配送サービスの展開
  • 異なるミニプログラム間の注文管理を統一し、不正請求に対処するための売買プラットフォームの設置

さらに、We Chatは開発者らに対し「ライブ配信」「商品 QR コード」「商品画像判別技術」の3つモジュールを追加で提供する見込みで、これらの機能は顧客のエンゲージメントをより向上させると期待されている。

ライブ配信 E コマースは2019年、中国で大きく飛躍し、現在その市場価値は4,400億人民元(約6.9兆円)に及ぶと推定されている。昨年11月11日の独身の日(光棍節)に行われたショッピングイベントでは、Alibaba のプラットフォーム「Taobao(淘宝)」のライブ配信販売が合計200億人民元(約3,100億円)の売り上げを生み出した。

ChinaSkinny のマーケットコンサルティングアナリスト Sheryl Shen 氏によれば、WeChat が現在より「E コマース× 小売」にフォーカスした新機能を充実させるのは、E コマース領域における新しいビジネスモデル構築に向けた必然的な選択だという。昨年の独身の日のデータを見れば、ライブ配信機能の追加がトラフィック及び収益の増加に繋がるということは明らかだというのである。

Tencent の C2C への野望がついに動き出す

Shen 氏によれば、Tencent は WeChatの利益を上昇させることで、財政を安定化を試みているのだという。同社の主な収入源はゲームであることは周知の事実だが、実は一昨年2018年に中国政府によって新規ライセンスの付与が中断されてしまっており、同社は新しい活路を見出す必要性に迫られているのである。

2019年初頭に、新しいEコマース法案が施工されて以降、中国 C2C マーケットは徐々に変化している。同法案は、大多数のオンライン販売事業者に対し、規制当局により認可取得を要請するもので、特に輸入ビジネスを実施する販売事業者や、WeChat 内の小規模事業者らに大打撃を与えた。WeChat がミニプログラムを行う要因は、彼ら小規模事業者らに活路を与えるためでもある。

Wechat は1月初めに行われたイベントの中で、2019年にミニプログラムを通して発生した合計トランザクションは800億人民元(約1.2兆円)を超え、前年の160%成長を達成したと発言している。Alibaba の5.5兆米ドル(約605兆円)という桁違いの実績に比べれば未だわずかではあるが、WeChat の膨大なユーザベースの活用が功を奏せば、Alibaba に対する大きな脅威となり得るだろう。

【via Technode】 @technodechina

【原文】