M&Aで物流業界に参入、Visional(ビジョナル)が20年間運営のトラボックス子会社化

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Visionalグループ入りしたトラボックス

ニュースサマリ:ビズリーチなどのHR Techを中心にグループに持つVisional(ビジョナル・グループ名は英語表記)は2月25日、運送会社や荷主を結ぶサービス「トラボックス」の買収を公表した。トラボックスの全株式をビジョナルが取得するもので、買収にかかった金額は非公開。トラボックスの経営は引き続き同社代表取締役の吉岡泰一郎氏が務める。

トラボックスの創業は2000年。前年に開始した物流データプラットフォーム「トラボックス」は、荷物を運んで欲しい荷主と、荷物を運べる物流事業者がマッチングするサービス。いわゆるラストワンマイル(個人の自宅まで運ぶ物流)ではなく、事業者間の物流を手掛ける。登録されている荷物情報(運んで欲しい)は年間171万件。Visionalグループはトラボックスを傘下に入れることで物流業界の課題解決に乗り出す。

話題のポイント:昨年12月にグループ経営体制に入ったVisionalグループですが、早速新たな領域への挑戦を公表しました。物流です。私も二度見したんですが、ビジョナル代表取締役の南壮一郎さんにお聞きしたところ、本当にまっさらからの参入のようです。実は南さんが過去にトラック事業を志していたとか、そういうのはありません。

さて、サイトを見た印象をそのまま言うと「古い」。確かに2000年頃のサイトイメージです。ビジネスモデル的には例えばラストワンマイルを手掛けるハコベルなどと異なり、従量課金ではありません。潔く月額定額です。ということでいきなり大きくテコ入れするのかと思いきや、サービスについては急いでどうこうすることはない、というお話でした。

では何をどうするのか。

ポイントは20年という事業年数にありました。吉岡さんはこのトラボックスを手掛けるために、オンラインだけでなくオフラインのマッチング、つまり物流関連の事業者さんと顔を突き合わせて丁寧にコミュニティに入っていったそうなのです。ちなみに吉岡さんもこの事業をやる前は銀行マンで、トラックに乗っていたとかそういうのはありません。

つまり、そうです。Visionalとしての最初の一手は業界に信頼できる窓口を作った、というわけです。ここに新しい経営チームを集め、次の一手を模索する、と。今、バーティカル市場の課題解決は、医療や物流、教育、建設、飲食、小売、あらゆるテーマで発生しています。

私も取材していて納得感があるのは、やはり経営チーム、人です。各業界には暗黙ルールや特有の癖みたいなものが存在しています。ツールを提供しても新たなペインを与えるだけ、というのはザラです。FAXがなぜ亡くならないのか。この理屈をさらりと答えられなければならないのです。

Visionalのグループ中心はビズリーチです。こういった人材のプールはやはり強みがあるということで、現在、新生トラボックスのチームは面接で大忙し、というお話でした。

別領域での展開も気になります。今回のような打ち手がいけるのであれば、業界に精通しているプレーヤーの買収で中心的なチームを作り、グループ経営の強み(特に人材)を活かしたDX(デジタルトランスフォーメーション)の勝ちパターンみたいなのが見えてくるかもしれません。

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