成長を続ける中国の児童向けプログラミング教育——投資は増加するも、教師不足の解決が課題

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coding classes
Image credit: Codemao(編程猫)

※本記事は提携するTechnoode「Coding classes for kids are everywhere, but they might be in trouble」の抄訳になります。

近年、中国におけるプログラミング教育がより一層盛り上がりを見せている。プログラミング教育は「21世紀の英語」とまで呼ばれ、習い事の定番となっている。

さて、プログラミング教育スタートアップは我先にと急速な市場拡大を試みた。結果、数年で倒産する企業や、教育品質を担保できないなどの諸問題が多発した。特にフランチャイズ戦略を利用した急速な店舗展開を実施した企業における、教育者としての質は疑問点を残してきた。

プログラミング教育への投資トレンド

プログラミング教育に対する大きな投資が始まったのは2017年に当局によって発表された「Next Generation Artificial Intelligence Development Plan(新一代人工智能発展規画)」に遡る。同資料では当局が「徐々にプログラミング教育に対して投資を進めていく」といった記載が見られた。その後、2018年には各VCが総額1億5,700万米ドルを約40の企業に対して実施したことが報じられている

Baidu(百度)における「Coding for Kids(少児編碼)」の検索頻度インデックスは2015年までは100を下回っていた。しかし、今では常に1000を超える指数となっている。これは、2017年から2018年には最大で3000に達した「Sharing Bikes(共享単車)」や「Online Ride Hailing(線上叫車)」に匹敵する成長度合いとなっている。

2016年創業のGeek Star(即課星球)は中国におけるプログラミング教育をリードする企業の一社。現段階で100の支社を26の地区に保有しているとされる。また、グローバル展開を進めている企業も登場しCodemao(編程猫)などが挙げられる。既に20を超える国への進出を進めている。

中国におけるプログラミング教育市場は比較的小さくおよそ1億5,000万米ドルから10億米ドルの間とされている。とはいえ、5年後には約50億米ドルまで成長を遂げることが予想されている。

フランチャイズ戦略と教育者不足

急速な市場需要にこたえるため、プログラミング教育企業はフランチャイズモデルを採用してきた。深圳の新聞社 Southern Weekly(南方周末)はそのような企業はミルクティー店舗と同じ戦略を取っていると表現している。中国では、近年ミルクティーブームも訪れており、彼らも同様にフランチャイズ戦略で急速な店舗数拡大を図っているからだ。

iyiou(億欧)の調べによれば、2018年の年末から昨年4月の間だけでも20を超える企業が倒産し、そのうち半分はフランチャイズ戦略を採用していたという。

さて、プログラミング教育における最大の課題は、教育者が不足している点にある。

山東省臨沂市でプログラミング教育を実際に教師として教えるZhou Yu氏は「誰が教鞭をとるのに相応しいのか見極めるのは難しい」と述べる。その背景には、教育免許を取得した人物は通常テクノロジーに精通していないことが多く、テクノロジー業界から転向する人物は教育をおろそかにし、テクノロジーばかりにフォーカスしてしまうからだという。

上にあげた2つを両立している教育者はほぼ皆無に等しいとされる。Codemaoのウェブサイトの求人広告では、既に教育経験やコーディング経験を必須条件とすらしていない状況となっている。

中国において最も生活水準の高い北京市におけるプログラミング教育者の賃金は月に850米ドルから2100ドルとされる。しかし、第二の都市とされる杭州市ですらIT企業の平均賃金が2,400米ドルなため、プログラミング教育の道を選ぶ絶対数も必然的に少なくなっている。

ポテンシャルとリスク

2019年はプログラミング教育企業に対する投資は比較的緩やかとなったが、それでも多くの資金が集まる分野なのは間違いない。昨年11月には、CodemaoがシリーズCにて約5,700万米ドルの資金調達に成功している。しかし、現時点でどのプログラミング教育企業も自社利益の公開に至っていない。Codemao の CEO Li Tianchi(李天馳)氏は、同社が2019年は損益分岐点に達するとしていたが、それ以来何も動きが無い状況だ。

女性向けコーディング教育プラットフォーム「CXY61(程序媛)」の CEO Chen Bin (陳斌)氏によれば、2020年はプログラミング教育企業にとって鍵となる1年間だとする。成功をおさめ、利益を上げる仕組みを整えるもしくは、多くの企業が倒産を迎えることとなると予想している。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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