世界中で生まれる、新型コロナ蔓延状況追跡アプリの数々——アプリ同士の協調とデータ連携が今後の課題

SHARE:
アプリ「COVID Symptom Tracker」

新型コロナウイルスの感染症例や死亡者が世界的に増加しているため、官民双方が感染拡大を追跡し抑制するための新たなソリューションに取り組んでいる。ここ数日だけでも、人々が現在の健康状態を報告し、変化があればそれを更新し、科学コミュニティのためにより多くのデータを生成できるよう設計された協同プロジェクトが、少なくとも2つ現れた。

しかし、基本的には同じことをしようとする複数のアプリは、努力の重複につながる可能性があり、政府や NGO のような中央集権的な組織が主導するより協調的なアプローチの方が、少なくとも地域レベルではよりよいアプローチになるのではないかという疑問が生じている。

「Let’s Beat COVID-19(新型コロナウイルスに打ち勝とう)」

Let’s Beat COVID-19」は、ロンドンを拠点とするコンサルタント兼循環器専門医で、100万人以上の医師を結びつけて臨床例を議論する知識共有ソーシャルプラットフォーム「MedShr」創設者 Asif Qasim 氏が率いるボランティアチームによって、急遽設立された非営利ベンチャーである。Let’s Beat COVID-19 の Web アプリは、新型コロナウイルスに感染し医療ケアや入院が必要になる可能性がある人、新型コロナウイルス感染者と接触したことがあるものの未症状の人、軽度の症状がある人、すでに感染している人が、イギリスの各地域でどれくらいいるかを把握するためのアンケート調査である。

このアプリは、現在の新型コロナウイルスの症状など、一連の質問を通じてユーザを案内する。

アプリ「Let’s Beat COVID-19」

また、家から全く出ていないのか、必需品を求めて外に出ているのかなど、隔離の度合いについても掘り下げている。

アプリ「Let’s Beat COVID-19」- 隔離レベルの登録画面

さらに、このアプリはユーザに既往症についても質問するので、リスク要因を顕在化するのにも役立つ可能性がある。

アプリ「Let’s Beat COVID-19」- 既往症情報の登録画面

アンケートの最後に、ユーザに対し、今後症状が出始めた場合に状態を更新するためのコードをメモしておくよう求める。

アプリ「Let’s Beat COVID-19」- 症状更新のためのコードが表示

Let’s Beat COVID-19 は今のところイギリスに限定されているが、まもなくアメリカでも開始される予定。このアンケートに回答し、友人や家族にも回答を促すことで、医療機関が今後数週間から数ヶ月間のサービス需要を予測するために必要なデータを得ることができるというアイデアだ。

同組織は次のように述べている

世界中の医師や看護師が新型コロナウイルスの患者を助けるために懸命に働いている。彼らがサービスを計画し、危機を回避するために必要な情報を持っていないという話を聞いている。

Let’s Beat COVID-19 は、得られた情報を利用して地域毎に状況がどのように変化しているかを把握し、次に何が起こるかを予測しようとすると述べている。

新型コロナウイルスの症例数が各地域で増加しているのか減少しているのかを知ることで、地域の病院や医療サービスの準備が整い、より多くの命を救うことができるだろう。

「COVID Symptom Tracker(新型コロナウイルス症状追跡アプリ)」

一方、ロンドンの2つの病院とボストンに拠点を置く民間のヘルスデータサイエンス企業 Zoe のコラボレーションは、Let’s Beat COVID-19 と同様の目標を達成することに設定されている。「COVID Symptom Tracker」はネイティブのモバイルアプリ(Android 版 / iOS 版)で、「流行のスピードを遅らせ」「早期にリスクのある人を特定する」ために、ユーザに対し毎日自己報告を行うことを症例している。

登録プロセスでは、ユーザはメールアドレスなどの個人情報を提出する必要があり、データをすべての関係者と共有することに同意する必要がある。しかし、データは商業目的で使用されないと宣言している。

アプリ「COVID Symptom Tracker」の登録手順

Let’s Beat COVID-19 と同様、COVID Symptom Tracker はユーザに、現在の健康状態と新型コロナウイルスの検査を受けたかどうかを尋ねる。

しかし、ここでの大きな違いは、ユーザが毎日自分の状態を更新して、まだ健康なのか、何らかの症状が出ているのかを確認するよう求められることだ。重要なのは、データが最新であることを保証することであり、これはウイルスの症状を理解したり、ウイルスがどのように広がっていくかを追跡したりするという点で、医療専門家にとってより価値のあるものとなっている。

アプリ「COVID Symptom Tracker」の登録手順 – 健康調査

COVID Symptom Tracker はわずか3日で構築され、現在、24時間以内に100万ダウンロードを達成する勢いだ。3月25日には、イギリスで最もダウンロードされたアプリの一つとなった。

この研究は、キングス・カレッジ・ロンドンの遺伝疫学教授であり、1万5,000人の一卵性双生児と非一卵性双生児を対象とした3年間の科学プロジェクト「TwinsUK」のディレクター Tim Spector 氏がリードしている。COVID Symptom Tracker は実のところ、TwinsUK に参加する双子たちに自宅で検査できるキットを送るコロナウイルス研究の一部として始まり、後にそれがデータ収集の方法として(自宅検査キットを除いて)誰もに開かれることになったものだ。

Coronavirus COVID-19 Global Cases by the Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at Johns Hopkins University (JHU)

ここ1ヶ月間以上にわたり、非常に多くの追跡アプリが現れている。中でもジョンズ・ホプキンス大学は、WHO、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)、中国 CDC(中国疾病予防控制中心)からのデータを使ってインタラクティブなオンラインダッシュボードを立ち上げ、現在確認されている新型コロナウイスの症例、死亡、回復の状況を世界に示している。しかし、Let’s Beat COVID-19 と COVID Symptom Tracker は、何百万人もの人々からのリアルタイムデータを使って、時代を先取りし、この先何が起きるのかを見極めようと努力している。

シンガポールでは、政府が市民のスマートフォンの位置情報を取得し、新型コロナウイルスに感染した人が近くにいたかどうかを確認できる「TraceTogether」というアプリを開発した

アプリ「TraceTogether」

スマートフォンが、新型コロナウイルスの感染拡大に対抗するための大規模なデータセットをクラウドソーシングするための、信じられないほど便利なツールになり得ることは明らかだ。そして、すべてのアプリが同じ目標を達成しようと努力しているわけではないが、Let’s Beat COVID-19 や COVID Symptom Tracker などのアプリは、その意図はほぼ同じくしている。同じことをしているアプリが多すぎると、どれを使うべきかユーザを混乱させてしまうので役に立たない。そして、人々が2つのサービスにまたがって健康プロファイルを更新したり、最新の情報を保ったりすることはまずないだろう。クラウドソーシングデータは新型コロナウイルスの発生を追跡し、計画を立てる上で有用な手段となり得るが、より協調したアプローチが必要である。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

----------[AD]----------