イスラエル発パスワードレス認証技術開発Secret Double Octopus、シリーズBで1,500万米ドル調達——日本進出で、ソニーFV、KDDI、GBらから

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Image credit: Secret Double Octopus

企業に対し、職場でのパスワード排除を支援するイスラエルのスタートアップ Secret Double Octopus は、シリーズ B ラウンドで1,500万米ドルを調達した。この投資は、企業が新型コロナウイルスの影響でリモートワークの導入を余儀なくされる中、セキュリティ侵害のリスクが高まるシナリオを想定してのものだ。

2015年に設立された Secret Double Octopus は、パスワード管理が甘いという以前からの問題を解決することを目指している。実際のところ、すべてのビジネスデータ被害の81%はパスワードの漏洩が原因で、2019年のデータ被害1件あたりの平均コストは約400万米ドルと報告されている。このリスクに対処するために、Secret Double Octopus は企業がパスワードを完全にバイパスすることを支援し、従業員がアプリや他のプラットフォームへのログインを「touch and go」というシンプルなプロセスで認証できるようにする。

同社のそう呼ぶ「Octopus Authenticator」という製品は、Office 365、AWS、G Suite、Salesforce、WordPress、Box、HubSpot、SAP など主要なエンタープライズアプリケーションのほとんどに連携可能な多要素認証システムだ。オンラインとオフラインの両方で動作するこの単一の認証機能は、ワークステーション、ネットワーク、VPN へのアクセスにも使用できる。

ユーザはモバイルデバイスでプッシュ通知を受け取り、それをタップしてログイン開始を確認、指紋など生体認証で最終確認できる。

新型コロナウイルス流行前から、従業員が複数の複雑なパスワードを覚える能力に頼らず、セキュリティを強化する方法を模索していた企業は少なくない。パスワード管理アプリ「1Password」は昨年11月、エンタープライズ特化事業の拡大でより強固な立場となるべく、同社の14年の歴史上初となる資金調達で2億米ドルを調達した。今年初めには、1Password の競合 Dashlane が1億1,000万米ドルを調達、ビジネス市場も視野に入れている。

Secret Double Octopus 競合の Trusona は数ヶ月前、Microsoft の投資部門 M12 や Kleiner Perkins などの大物投資家から2,000万米ドルを資金調達した。当時、Trusona は、パスワードレスログイン技術を求める企業からの「前例のない需要」を資金調達の主な理由として挙げていた。

Secret Double Octopus の CEO 兼共同設立者である Raz Rafaeli 氏は、セキュリティ強化と従業員の生産性向上を同時に実現したいと考えている企業にとって、「パスワード管理に関連する手間とコストをなくすこと」がこれまで以上に重要であると述べている。

同社はこれまでに750万米ドルの資金調達を行っており、セキュリティに対する意識が高まっている現在の状況をうまく活用できるよう、今回の資金調達では、ソニーフィナンシャルベンチャーズ、KDDI、グローバル・ブレインを新たな投資家として迎えた。

最近、アメリカとイギリスのサイバーセキュリティ当局者は、何百万人もの人々が自分のデバイスを安全でないネットワーク上で使用しクラウドベースの企業ネットワークに接続していることから、国家の支援を受けたハッカーやオンライン犯罪者が新型コロナウイルスによる混乱を利用していると警告した。脆弱なパスワードが認証プロセスで以前から重要な役割を果たしてきたことを考えれば、この連鎖からこのような問題を取り除くことで、クレデンシャル盗難、フィッシング詐欺、ID 窃用、中間者攻撃などの悪質なスキームから、(企業の)外部や内部の脅威を最小限に抑えることができるだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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