アメリカのフードデリバリ大手 Grubhub(日本国内からはアクセスできない)は、ヨーロッパの同業 Just Eat Takeaway と合併することが明らかになった。Just Eat Takeaway による買収額は73億米ドルで、株式交換により2021年第1四半期に完了予定。
Grubhub の事業規模が DoorDash に匹敵するかそれ以上と目されることから、AP 通信によれば、当初、Uber が Grubhub の買収を検討していた。Uber と Grubhub の2社間協議が明るみとなった直後、アメリカの一部上院議員が反トラスト法(日本の独禁法に相当)規制当局に協議内容の精査を求めたため、Uber は Grubhub との買収交渉を打ち切ったようだ。
Just Eat Takeaway は、オランダ の Takeaway.com がイギリスの Just Eat を今年4月に買収して誕生。この際の買収額は78億米ドル。一方、Grubhub は、Grubhub のほか、Eat24、Seamless、MenuPages という3つのブランドでサービスを提供している。これらすべてのサービスを合わせると、2019年ベースでは合計顧客数は世界で7,000万人、年間受注数5億9,300万件に達することになる。配車サービスもそうであったように、フードデリバリ業界でも今後、事業統合や買収劇が数多く繰り広げられることになりそうだ。
Uber の広報担当者は、CNBC に次のように語っていた。
Uber はまだ明らかに、UberEats が利益を出すために大きくなる必要があると考えている。配車サービス同様、フードデリバリ業界は、消費者とレストランのために、その潜在能力を最大限に発揮するために合併が必要になるだろう。かといって、我々がいかなる会社のいかなる価格のいかなるプレーヤーとも、合併する興味があるというわけではない。
フードデリバリ業界は常に統合や合併の波にもまれている。
日本では LINE が今年3月、出前館に300億円を出資し株式約22%を取得した。LINE デリマと出前館のブランドが統合されるとの公算が高い。ロシアでは2017年、Uber の Yandex(Яндекс)への統合に伴い、フードデリバリ UberEats は Yandex Eda(Яндекс.Еда)へと統合された。韓国の「配達の民族(배달의민족)」と「ヨギヨ(요기요)」は共にベルリンの Delivery Hero 傘下となり事実上経営は統合。中国の Baidu(百度)は2017年、傘下のフードデリバリ「Waimai(百度外売)」を Alibaba (阿里巴巴)傘下の「Ele.me(餓了麼)」に売却した。
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