急拡大する緊急事態通知アプリ「Citizen」、米国での抗議活動の影響

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画像出典:Citizen

ピックアップ:Why Citizen has become the unofficial social network for protests

ニュースサマリー:米国で拡大する抗議活動の影響で、ユーザーの近隣で起こったデモ情報や警報、火災などの緊急事態情報を通知し、市民の安全を守るアプリ「Citizen」のインストール数が急増している。Sensor Towerのデータによると、前週比633%の増加となる約44万人のiOSとAndroidユーザーがCitizenのアプリをインストールし、さらに6月2日の1日だけで約15万人がインストールした。これは5月の平均インストール数の約12倍となる。

詳細:Citizenは、警察や消防署などの無線通信情報をデータ化し、GPS情報に基づいて近隣にいるユーザーに緊急事態の発生を通知するアプリ。現在進行中の緊急事態を地図で確認したり、ユーザー自身が動画やコメントを投稿することも可能。

  • Citizenは2017年にニューヨークにてローンチ。現在は、ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコ、フィラデルフィア、ボルチモアなど全米18の都市で利用でき、年内には30以上の都市への進出を目指すと、同社CEOのAndrew Frame氏は語っている
  • 2020年3月には、Goodwater Capitalから2,000万米ドルの出資を受けたことを発表。Crunchbaseによると、同社は現在シリーズBで6,000万米ドルを調達している。同社はCB Insightsが6月に発表した「50 Future Unicorns」にも選出される有力株である。
  • 同社CEOのAndrew氏は6月5日に、「Black Lives Matter」と題した同社オウンドメディア記事にて「Citizen」の目指す世界について下記のように語っている。

不正を透明化する動きは以前からありましたが、それを加速させたいというのが私たちの切なる願いです。Citizenは、個人やコミュニティにリアルタイムで出来事を共有する力を与えます。情報とライブ映像は力です。リアルタイムでの撮影は、議論の余地のない真実の記録です。私たちは世界をより安全にするため、今後も透明性を加速させていきます。

背景:Citizenは6月3日、抗議活動の拡大と同社アプリのインストール数急増の背景について、Recodeの記事において下記の声明を発表している。

市民はCitizenを利用して、リアルタイムでの警告やライブ放送を通じて自分の街で何が起こっているのかを認識し、安全な状態を維持しています。外出禁止令の更新情報をキャッチしたり、他のユーザーが投稿する動画を見たり、抗議活動のライブ映像を投稿するためにアプリをチェックしています。

執筆:理沙子(Risako Taira)/編集:平野武士・岩切絹代

 

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