VTuberプロダクションのPictoriaが、3Dモデリングのオンライン講座「Unite Spice」を始めた理由

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Image credit: Pictoria

東京に拠点を置く Pictoria は、バーチャル YouTuber(以下、VTuber)「斗和キセキ」や「蒼乃ゆうき」のプロデュースで知られる VTuber プロダクションだ。昨年には、XTech Venturesやエンタテイメント系モバイルアプリ大手のイグニス(東証:3689)のほか、デットファイナンスを含め総額1億円を調達している。

Pictoria は今年5月から VTuber のモデリングのオンライン講座「Unite Spice」を開始した。受講者が授業料を払う有償講座にもかかわらず、1回目に開いた5月の回には16人が参加し盛況を博した。この反応を受けて、同社では今後も講座を定期的に開催し、主軸事業の一つに育てていきたいという。

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VTuber プロダクションは、その名の通り VTuber を内製することが多く、指導することはそのノウハウを外部に持ち出すことになりかねない。創業者で CEO の明渡隼人(あけど・はやと)氏に Unite Spice を始めた動機を聞いてみた。

2D の VTuber(2次元の平面イラストを基にしたキャラクタ)で言えば、カバーのホロライブ、いちからのにじさんじなどが活況を呈していて、ファンを集め投げ銭などでマネタイズを図り活況だ。

一方、我々がいる 3D VTuber の世界には、バンバン稼いでいるところはまだ無い。その一因は、2D よりも 3D の方が制作の難易度も高く運用にもコストがかかるから。3D VTuber でもファンがお金を払い、作者の収入につながるサイクルを作りたい。

Pictoria のオンライン講座は、3D VTuber のファンが 3D VTuber を生かしたコンテンツを作り出せるようにするのがコンセプト。音楽でいうリミックス、半ば UGC 的にファンが自分の好きな 3D Tuber をベースにコンテンツを作ることで、「モデリングやプログラミングをストイックに勉強してもらうのではなく、楽しんでいたらスキルが身についていたという体験を作り出したい(明渡氏)」そうだ。

5月の第1期では、Slack を通じて講座でのやりとりが交わされた。
Image credit: Pictoria

3D モデリングの講座では実況中継などで知られる ZEN 氏が講師を務め、ポリゴン数の少ない  3D モデルの斗和キセキを、受講者が思い思いの形で完成させることを目指す。完成したローポリ版のの斗和キセキは UGC ながら、運営者である Pictoria が公式の UGC として認める予定だ。

Pictoria ではファン自らが 3D VTuber の制作スキルを身につけることで、ファン層がさらに厚みを増し、そこから作者に利益還元されるエコシステムの醸成を目指したいとしている。次回の 3D モデリング講座は7月16日23時59分に申し込みが締め切られ、7月19日から9月6日の約1ヶ月半にわたり8回の講義で構成される予定だ。

<参考文献>

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