フィットネス版Netflix「Playbook」ーーパッションエコノミーの流れを掴む動画市場

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Image Credit:Playbook

質の高いコンテンツを持つ個人が、プラットフォームの制約にできるだけ縛られずサービスを提供できるパッション経済の流れが加速しています。自らサービス内容を考え、市場展開できるほどの熱意ある個人事業主を指す「マイクロ起業家」の活躍です。なかでもフィットネス市場の機運が高まっている印象です。2020年はLululemonが鏡型フィットネス器具「Mirror」を5億ドルで買収するニュースが報じられたり、Appleが「Apple Fitness+」を立ち上げたりと、市場を賑やかせています。

在宅フィットネス市場の成長は、冒頭で紹介した個人をエンパワーメントするトレンドと重なり、「在宅フィットネス + マイクロ起業家」の流れを生みそうだと感じています。その中でも期待されているのが今回紹介する「Playbook」です。同社は10月14日に930万ドルの調達を発表しました。6月に300万ドルのシード調達を達成したばかりで、投資家からの注目も集めています。

Playbookはフリーランストレーナー(“フィットネス・クリエイター”)が、動画フィットネス教室をサブスク型で提供するための支援ツールです。決済・動画配信・スケジュール設定・アクティビティ分析などの各種機能を提供。ソフトウェア利用料としてクリエイターから手数料20%を取る形のSaaSモデルとして展開しています。

同社は、フィットネスクリエイターたちのコンテンツを集約し、月15ドルもしくは年99ドルの利用料でユーザーを獲得。Netflixと同様のサービス形態で集客支援をある程度自社で行っています。視聴数に応じた収益分配が行われる一方、クリエイターが発行したオリジナルURLを踏み、自分たちのファンがサブスク加入をした場合、手数料を抜いた残り80%全額が手元に渡る仕組みとなっています。こちらの方が取り分は大きいです。

Netflixモデルと、個人が提供するフィットネスプランを上手くミックスしているのがPlaybookの特徴です。多くのコンテンツの中から好きなクリエイターがいれば、そのまま個人のコミュニティに入れる動線を作り出しています。

パンデミックの影響で、ジムの営業が苦しくなり、別の職を探す必要も出てきたトレーナーたちを救える、社会的な意義もあるプラットフォームがPlaybookと言えるでしょう。日本でも「MOSH」のような個人ビジネス支援プラットフォームが登場していますが、未だPlaybookのような領域特化の機能を持ち合わせたサービスは登場していません。

在宅フィットネスサービスは過去あまりヒットしていない日本ですが、コロナの影響で生活習慣とジムの経営スタイルが見直されつつある今、個人のトレーナーを応援する動画配信アプリは大きなチャンスを掴めるかもしれません。

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