新興国への攻勢強めるStripe、パキスタンのSafepayに出資

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ピックアップ:Pakistani fintech Safepay raises seed funding from Stripe, others

重要なポイント:パキスタンでBtoB向けにデジタル決済サービスを行うSafepayは米国Stripeが主導するシードラウンドで7桁ドルの資金調達を行った。Stripeは昨年ナイジェリアのフィンテック系スタートアップPayStackを約2億ドルで買収するなど新興国も含めた市場拡大を推進しているため、同社が南アジア地域のフィンテック企業への投資を行ったことは注目に値する。

詳細な情報:パキスタンのカラチを拠点とするフィンテックスタートアップSafepayは、オンライン決済プラットフォームを世界数十カ国で展開するStripeの主導するシードラウンドで資金調達を実施した。具体的な金額は明かされていないが、米ドルで7桁の額であることは公表されている。同ラウンドにはベルリンを拠点とするGlobal Founders Capital、米国を拠点とするHOF Capital、Soma Capital、Mantis Venture Capitalのほか、パキスタンのVCであるFatima Gobi Venturesが参加した。

  • Safepayは同国国内の企業を対象に統合的なデジタル決済ソリューションを提供する企業。2019年にベータ版のサービスをローンチし、国内の300を超える加盟店を集めたが、その約1年後の昨年度にサービスは一時的に停止された。同社はこれをサービス拡充のために国内の金融パートナーや同国中央銀行との間での調整が必要なためであると説明しており、適切な取り決めが行われ次第サービスは再開される。
  • 今回調達した資金は、モバイルウォレットや銀行口座、クレジットカードなどの枠組みを超えた同社のデジタル決済インフラストラクチャ拡充へ向けたエンジニアリングチームの拡大と強化、そして法規制遵守のための取り組みに充てられる。
  • Stripeによる新興国のフィンテック系スタートアップへの投資は今回が初めてではなく、これまでにもフィリピンのPayMongoやナイジェリアのPayStackへ出資している。ナイジェリアのPayStackは最終的に昨年10月に約2億ドルでStripeが買収し、Stripeのアフリカ市場参入への足がかりともなっている。

背景:SafepayはY Combinatorによる2020年度夏季のアクセラレータープログラムに参加し、同プログラムを卒業したパキスタン初のフィンテックスタートアップとなった。パキスタンのテック系スタートアップはこれまで海外からほとんど注目されてこなかったが、昨年12月の終わりには同国のデジタル融資プラットフォームFinjaが900万ドルの資金調達を実施。

今年の1月には今回Safepayの資金調達ラウンドへも参加しているGlobal Founders Capital主導によるB2B向けeコマースサービスBazaarのシード資金650万ドル調達と、ここ数カ月の間に海外のVCや投資家が参加する大規模な資金調達が続いている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

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