元IBM BlueHub・元AWSの浜宮真輔氏が01Boosterに参画、アクセラレータの技術支援・投資機能を強化へ

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有楽町「SAAI」のバーカウンターで。左から:浜宮真輔氏、鈴木規文氏(01Booster 代表取締役)、合田ジョージ氏(01Booster 取締役)
Image credit: Masaru Ikeda

この人もまた、大企業によるスタートアップ支援の〝顔〟の一人となった人物だ。浜宮真輔氏——2015年から IBM のスタートアップ支援部門「BlueHub」の運営を3期にわたり担当、2018年からは Amazon Web Services(AWS)に舞台を移し、スタートアップ事業開発部門に籍を置いた。コロナ禍でリアルのスタートアップイベントの数は減ったもの、事あるごとに時の上司である畑浩史氏(AWS Japan スタートアップ事業開発部本部長)と共に、彼の姿を目にした読者は少なくないだろう。

その浜宮氏が新たな境地へと身を移すこととなった。行き先は、三菱地所と共にコワーキングスペース「SAAI」を有楽町で運営し、数多くの大企業のコーポレートアクセラレータを運営する 01Booster(ゼロワンブースター)だ。01Booster には現在、アクセラレータ部門が2部門のほか、教育プログラム運営部門などが存在するが、これまで主に代表取締役の鈴木規文氏が見てきたスタートアップ投資に特化したチームを整備し、浜宮氏はそのチームの長に就任する。

浜宮氏は BRIDGE の取材に対し、01Booster へ参画することを決めた理由を次のように語った。

スタートアップをテクノロジーの側から見てきて、エンジニアをどうサポートしていけばいいかわかってきた。そうすると、テクノロジーの次は、ファイナンスとか、デザインとか、サポートしたい部分が出てくる。さらにサポートできる範囲を広げてみたかった。

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左から:鈴木規文氏(01Booster 代表取締役)、浜宮真輔氏、合田ジョージ氏(01Booster 取締役)
Image credit: Masaru Ikeda

大企業のコーポレートアクセラレータ運営を請け負う会社は増えているが、鈴木氏は、元来アクセラレータは受託するものではなく、自らも投資してスタートアップを共に育てるべき、と考えてきたと言う。事実、01Booster はバランスシートの中から、アクセラレータに参加したうち30社程度に投資を実行し、2社のイグジットを出している。これまで鈴木氏が経営の傍ら投資活動を行なってきたが、その機能を浜宮氏が中心となって担う形になる。将来は独立したファンドを組成する可能性もあるそうだ。

コーポレートアクセラレータが浸透するにつれ、大企業側に出資の興味が薄れてきたのも事実。なんか、アクセラレータが育成イベントみたいになってきてしまっている。資本を入れてスタートアップを育てるというのが本来なので、そこへ原点回帰してみたいと思っていた。(中略)

欧米の論文などを読むと、コーポレートアクセラレータはエコシステムを創出するツールとされていて、全ての大企業に必ずしも受け入れられるものではないが、そこから何を果実として得るか、再定義していきたい。(鈴木氏)

これまでに 01Booster が募集した各社のコーポレートアクセラレータには累積で5,700社からの応募があり、そこから採択されて実際に支援したのは500社ほど。また、01Booster ではイントレプレナー(企業内起業家)や大企業の新規事業開発なども手がけているため、「小さな会社ながらも事業機会には恵まれている」と鈴木氏は強調。浜宮氏がチームに加わり、テクノロジーを含めた多角的な視点でスタートアップを見出すことが可能となるため、年間10社程度にシード出資していきたい、と当面の目標を語った。

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