大型イグジットが増加、迅速なイグジットに必要なものとは?——韓国スタートアップシーン週間振り返り(5月17日~5月21日)

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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5月17日~5月21日、韓国のスタートアップが調達した資金総額は1,622億ウォン(約157億円)に達した。

主な資金調達

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調達額200億ウォン(約19.4億円)以上

  • 会社員の匿名コミュニティ運営「Teamblind(팀블라인드)」がシリーズ C ラウンドで416億ウォン(約40.3億円)を調達。今回の投資は、コロナ以降の「Blind(블라인드)」需要増を期待する投資で Teamblind は資金を活用して、2025年に NASDAQ 上場を早める計画。
  • AI 半導体企業 DeepX(딥엑스) が210億ウォン(約20.3億円)を資金調達。ディープラーニングアルゴリズム軽量化技術を保有する同社は、累積調達金額261億ウォン(約25.3億円)を記録。調達資金は、市販チップを開発するために活用する。
  • シェアオフィス運営 Sparkplus(스파크플러스)が SK Telecom と Mirae Asset Group から200億(約19.4億円)ウォンを調達。今回の投資で累積調達額600億ウォン(約58億円)の同社は、企業のリモート勤務をサポートするプラットフォームで、今後、不動産総合運営会社への跳躍を目指す。

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調達額100億ウォン(約9.7億円)以上

  • デジタル総合物流企業 Logispot(로지스팟)が150億ウォン(約14.5億円)の戦略的資金調達。企業に最適の輸送方法を提示する同社の企業顧客は700社以上、貨物車10万台のネットワークを運営。
  • アーティストコンテンツ提供「Wonderwall(원더월)」運営の Knowmerce(노머스)が100億ウォン(約9.7億円)を調達。俳優、ラッパー、シンガーなどのアーティストが提供する200以上のオンライン授業を提供し、アーティスト製品も販売。
  • コンソールゲームと XR コンテンツ開発会社 EVR Studio(이브이알스튜디오)が100億ウォン(約9.7億円)を調達。メタバース事業開発、事業を多角化、上場準備進行を計画。

その他の調達

  • デジタル資産管理サービス運営会社 Quarterback Group(쿼터백그룹)が65億ウォン(約6.3億円)を調達。運用資産規模は1,800億ウォン(約174.1億円)突破。
  • スマート農場ソリューション企業 Firmmit(퍼밋)が10億ウォン(約970万円)を調達。2025年までに世界15カ国30支店設立の目標。
  • Paranenergy(파란에너지)が10億ウォン(約970万円)を調達。資金は余剰太陽光エネルギー取引サービス高度化、広報などに活用する。

調達額非公開

  • 9 to 6(나인투식스):機能性シューズ・インソールマッチングプラットフォーム「Walking Master(워킹마스터)」を運営。
  • Pozalabs(포자랩스):AI作曲ソリューションの開発スタートアップ。
  • Allt(올트):消耗品産業資材流通サービスを運営。
  • Live Anywhere(리브애니웨어):済州(チェジュ)、江原(カンフォン)、ソウル、南海(ナメ)など全国30地域1,200軒の月極宿泊施設のレコメンドサービスを運営。
  • Holostanding(홀로스탠딩):保証金なしで一人暮らし部屋を手に入れられるサービス「Zaliving(자리빙)」を運営。

M&A

  • Styleshare(스타일쉐어):ファッションコマースプラットフォーム「Styleshare(스타일쉐어)」運営の 29CM が Musinsa(무신사)に3,000億ウォン(約291億円)で買収。株式100%を取得。
  • YLP(와이엘피):貨物輸送仲介企業 YLP が SK Telecom Mobility の子会社 Tmap Mobility に790億ウォン(約76.5億円)で買収された。YLP は100%子会社化。

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トレンド分析

Image credit: StyleShare

今年に入ってから、毎月のように大型スタートアップ EXIT のニュースが聞かれるようになった。HyperConnect がグローバル企業の Match Group に買収、Kakao がファッションプラットフォーム「ZigZag」を買収、Kakao Entertainment がウェブトゥーンサービス「Tapas Media」や Web 小説プラットフォーム「Radish」を買収、最近では Musinsa が StyleShare を買収というニュースもあった。

M13 の世界のスタートアップ EXIT 事例分析によると、スタートアップが EXIT するまでには平均で7~8年かかると言われている。HyperConnect の設立が2014年、Zigzag の設立が2015年、Tapas の設立が2012年、Radish の設立が2016年であることから、韓国国内のスタートアップ事例に当てはめても適切であると考えられる。

分析結果によると、EXIT スピードを加速させる変数がある。それは、幹部経験のある創業者がいるかどうかである。幹部経験のある創業者は、EXIT で33%早く成功し、EXIT 前の資金調達は34%少ないと言われている。

経験者が多いほど EXIT のスピードは速くなる。役員経験のある創業者が1人以上いる企業は、EXIT まで平均9年かかるのに対し、2人以上いる企業は6.4年で EXIT を経験する。この分析をすべての EXIT 事例に当てはめることはできないが、2010年に大学生のスタートアップとして始まった StyleShare が、さまざまな試行錯誤を経て10年以上かけて EXIT に成功したことから、創業者の経験が急成長にどれだけ重要かを推測できる。

また、リーダーシップ経験のある経営者は、資金調達を低く抑えたまま EXIT に至るとも言われている。スタートアップは平均5~6ラウンドの調達を行い、EXIT 時を含めて3億8,800万米ドルを集める。それに比べて、経験豊富なファウンダーが複数いる場合は、調達は3億6,600万米ドルに留まることがわかっている。迅速な EXIT と少ない資金調達は、投資家を惹きつけるだけでなく、株式の希薄化を抑え、投資収益率を向上させる(約2倍)。

事業運営を経験した人材は、スタートアップが経験する試行錯誤を減らす役割を果たす。そのため、大企業で活躍していた経営幹部クラスの人材がスタートアップに呼ばれるケースも少なくない。しかし、初期のスタートアップが C レベル人材(上級職)をフルタイムで雇用することは、資金やネットワークの不足から事実上困難だ。だからといって、あきらめる必要はない。投資会社やパートナーとのネットワークを継続的に維持し、会社の成長に合わせて人材を少しずつ増やしていく戦略をとれば、思いがけない EXIT の機会を得ることができるのではないだろうか。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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