まだまだ食べられる食料品を最安0円で手に入れられるサブスク「トクポチ」、クラウドファンディングを開始

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「トクポチ」
Image credit: STRK

日本は世界的に見ても食品廃棄物がかなり多い国だ。食品生産量の約3割にあたる3,000万トンが毎年廃棄されている。このうち、売れ残りや期限を超えた食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの、いわゆる「食品ロス」は日本国内で約650万トン。食費ロスを助長する理由の一つは、業界で「3分の1ルール」と呼ばれる、賞味期限がまだ3分の1以上残っている状態で一般流通から弾かれ、撤去・廃棄されてしまう悪しき商慣習によるものだ。

一方で、貧困から食べる物に事欠く人々は増えている。ホームレスの人々のみならず、コロナ禍で雇い止めや失業を余儀なくされた人々までもが、フードバンクや炊き出しには長蛇の列を作るようになった。食料品を売る店にとっては、まだ食べられる食料品を撤去するのは、売上機会を損失するだけでなく、廃棄するために費用さえかさむことになる。ならば、ルールにしたがって撤去されてしまうかもしれないが、その食料品を割引か無償に近い形で消費者に届けようというのが「トクポチ」のアイデアだ。

今日から Makuake で、トクポチのシステム構築やアプリ開発のための費用捻出に向けたクラウドファンディングが開始された。トクポチを率いるのは、滋賀県東近江市に本拠を置く経営コンサルティング会社の STRK だ。STRK の創業者で代表取締役の我時朗氏は、かつて船井総合研究所に勤務し、インターネットを活用して、メーカー、卸、小売業の業績向上を支援してきた人物。食品をはじめ小売流通に精通した人脈を生かし、前出のルールから小売店に流通させられない在庫を抱える卸会社などから品物を調達する。

トクポチは当面、コールドサプリチェーンが必要になる足の速い生鮮食料品などは避け、缶詰、レトルト、飲料、菓子や乾物、調味料、ペットフード、サプリメント、冷凍食品などから着手する計画だ。トクポチに似たビジネスモデルを掲げるスタートアップは、これまでに海外でもいくつか見られる。デンマーク発で15カ国で展開する Too Good To Go は今年に入り3,110万米ドルを調達しアメリカ進出を発表。カナダの Flashfood は累積で150万米ドル、スウェーデンの Karma は累積で1,670万米ドルを調達している。

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