起業家と「アートをシェアする」価値を信じた投資家たちーーANDART・松園詩織さん × 藤田ファンド・坡山里帆さん【Monthly Pitch公開取材】

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本稿はベンチャーキャピタル、サイバーエージェント・キャピタルが運営するサイト掲載された記事からの転載

起業家と投資家の関係はこの10年で随分と変化しました。スマートフォンシフトといったトレンドの変化、Y Combinatorなどの登場でシード投資のハードルが一気に下がり、投資サイド・起業家サイド共に大きく数が増えたことが大きな要因です。特にシード期から志を共にするような場合、その関係は十数年に及ぶこともあります。事業における最愛のパートナーたちはどのようにして出会い、成長し、そしてその後の関係はどのようなものになるのでしょうか。

シード投資を長年に渡って手がけてきたサイバーエージェント・キャピタル(CAC)では、この「投資家と起業家」の関係に注目した連載を開始します。毎月開催される「Monthly Pitch」にこれまで参加してくれたキャピタリストと創業者のお二人をお招きし、出会いのきっかけや乗り越えたハードル、関係構築のポイントなど、ここだけでしか聞けない裏話を語っていただきます。

今回のゲストはサイバーエージェントグループ出身の起業家、ANDARTの松園詩織さんにお越しいただきます。学生時代にインターンで参加したスタートアップ「アトコレ」での経験を元に、CyberZ時代にも新しい事業の立ち上げに果敢に挑戦した松園さんは自然と起業の道を歩むことになります。

しかし、彼女が選んだテーマは「アートのシェア」。説明コストが高すぎるスタートアップは投資家から嫌厭されますが、彼女の可能性を見出していた「藤田ファンド」は出身者枠から出資することを決定します。その後もGMOインターネットの熊谷正寿さんや幻冬社の見城徹さん、アトコレ創業者でそれぞれが起業家として成長した成田修造さんや中川綾太郎さん、石田健さんなど錚々たる面々を味方につけていきます。

そして今、NFTの登場で大きく潮目が変わりつつあるアート市場で次のステップに進もうとしている松園さんに、藤田ファンドの坡山里帆さんと共にお話を伺いました。(ポッドキャスト収録の一部をお送りします。太字の質問はMonthly Pitch編集部)

ー今日は本当にいい話が聞けると思うんですけれど、いわゆる投資家の方々が最も嫌う「分かりにくいサービス」ですよね

松園:そうなんです。まさに、「家で飾れないってどういうこと!?」っていうのがあるんですよね。この1〜2か月で、デジタルで資産を持つとか、たとえばスニーカーのサービスなど、ファッションをデジタル上で持つようなものが出てきて、やっとちょっと伝わり始めていますが、立ち上げ時はハテナの嵐でたいへんでした。

ー「月の土地を売ります」という話とそんなに変わらないですからね。これだけ分かりにくいサービスで、しかもアート領域でというのは説明するのがかなり大変だったと思います。ANDARTの資本政策として、どういう方々が投資家に入っているかという部分を教えてもらえますか

松園:まず、私自身がファウンダーとしてお金をかき集めるところから始めて、サイバーエージェントの同僚の高木と2人で立ち上げたところから始まっているんですが、藤田社長率いる藤田ファンドさんがまずイエスを下さったのを皮切りに、幻冬舎の見城社長、GMOインターネットの熊谷社長が最初の本当に何もないところから、「まあ、おまえがやるんだったらなんとかなるんじゃないの」という期待値のみで支援してくださったというのが正直なところだと思います。

ー坡山さんはその頃、藤田ファンドとしてのお付き合いがあったんですか

坡山:松園さんは会社の大先輩ではあるんですけど、お会いしたのはピッチを聞き、藤田ファンドとして投資を検討させていただいたところからですね。松園さんと高木さんのお二人にお会いして、という感じです。

ー松園さんは、元CyberZですよね?その頃の経験をお話しいただけますか

松園:CyberZを選んだのは、先輩に、いちばん厳しい環境を教えてくださいと聞いて回って、多く声が上がったのがCyberZだったからでした。まずは営業をやらせていただいたんですが、社内のビジネスコンテストが定期的にあり、一年目の後半にはYouTuberのマネージメントおよびPRを行い、それをマーケティングとして活用させていただくという新規事業を提案したところ、「じゃあお前やれば」って言われて。外部からのアルバイトを2、3人雇わせてもらってゴリゴリ回していました。

ーーーポッドキャストではそのほかのエピソードも語っていただいています。シード期の起業家が投資家とどのようにコミュニケーションしたのか、ぜひお聞きください。

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