組織づくりで得た「何があっても人を信じるな」の真意ーータイミー小川嶺氏・スタートアップの組織論

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タイミー代表取締役の小川嶺氏

本稿はベンチャーキャピタル、サイバーエージェント・キャピタルが運営するサイト掲載された記事からの転載

創業2年で100名以上の組織を作り、20億円を超える出資を集めて成長中のスタートアップ、それがタイミーだ。彼らが提唱する「ワークシェア」の概念は、今、まさに変わろうとしている働き方のトレンドを掴み、大手コンビニや飲食チェーンなどを中心に全国へ拡大しつつある。(BRIDGE編集部注:本稿はタイミー代表取締役の小川嶺氏にスタートアップにおけるカルチャー作りについて聞いたインタビュー記事の転載になります。質問はサイバーエージェント・キャピタル編集部、回答は小川氏、です)

最初は失敗したタイミーのカルチャーづくり

現在の体制規模は?

小川:現在(※2020年5月時点)はアルバイトなども含めると140名ほどの規模になりました。特に今年は新卒採用も実施して新しく20数名が参加してくれています。

一気に拡大すると課題も出てくると思いますが

小川:マネージャー層が優秀なので、一任しています。結局、何かしら一人で自立できる人しかスタートアップという場所にはこないと思うんです。もちろん更に大規模な組織になれば困ったことも出てくるのかもしれませんが。

自律的な組織づくりに必要なカルチャーですが、いつ頃から着手しましたか

小川:渋谷に移転したぐらいの時ですね。サービス開始してから1年後ぐらいです。成長している多くの企業を拝見していると、やはりミッション・ビジョン・バリューがはっきりしてて、会社に入った人たちは同じような共通言語を使うし、こういうものはやはりよいなと。それで20人ぐらいの規模の時に一回作ったんです。ただ、全然しっくりこなくって。それで一旦やめて、50人ぐらいの規模になった時、もう一度作り直したという感じですね。

タイミー、3つのValue

■High Standard : 当たり前の目線を高く
若さや勢いはそのままに、常にハイクオリティな仕事を。全員が即戦力でコアメンバー、業界トップを維持するために学び成長し続ける

■Super Flat : 年齢/役職関係なく
最高の結果を出す人は、年齢や役職など気にしない。誰に対しても率直、謙虚であるべき。

■Yatteiki : 走りながら考える!
業界の先駆者である私たちにとっては、全てがやってみなければわからないことばかり。当たり前のことも泥臭くやりながら、常にチャレンジし続けよう。

最初の挑戦はなぜ失敗した

小川:(最初に作った時は)経営陣ももちろん参加はしていたんですが、知り合いのクリエイティブをやっている方に依頼して作ってもらったものを叩く、という方法でした。特に社員全員をヒアリングして、そこから導き出したんですがそれがよくなかった。

今回は役員などは除いて、実績出してる人を3人ぐらいピックアップして、どうして彼らは実力を出せたんだ、なぜ彼らに仕事を任せられるのか、そういう分析を事細かくしてみたんです。最初の方法は全員に聞いてしまった。でもそうじゃないんです。みんなが認める結果を出してる人を選んで、その共通点を見つけだしてミッション・ビジョン・バリューを導き出す。あまり誰もやってない方法なんですが、すごくいい方法だと思ってますよ(笑)タイミーに入った人が自分はどういう人になればいいのか、そういうイメージしやすいロールモデルを作る。経営陣が作るとそこが乖離する可能性があるんです。あくまで社員の視点で作ることが大切だと思ってます。

カルチャーは作ってからが勝負という声もよく聞きます

小川:月次の報告会などで各エリアのマネージャーが成果を発表する時間があるんですが、冒頭の挨拶で自分が必ず伝えるようにしたりしてますね。あと、やっぱりMVPを決めて表彰するんですが、みんなそれを目指して頑張るのでわかりやすいですね。取れなかったりすると、やっぱり悔しそうな顔をするんですよね。次は自分が取るぞ、と。

あとツールとかももちろん活用しています。同じパーカー着たりとか。ただ、そういうのは組織文化を作るため云々ではなく、社員の自主性に任せておくべきかなと。

人を信じるな、自分を信じろ

小川さんはいわゆる「学生起業家」です。組織づくりで迷うこともあるのでは

小川:解けない問題ってないじゃないですか。考えることを否定しているから解けないわけで、ずっと考え続ければ必ず答えに辿り着くと思ってます。私、将棋好きなんです。詰将棋とかホント最高でずっと考えてられる(笑)

周囲にも優れた経営者たちがいます。助言を求めたりは

小川:他人の(特に同年代の)経営者を鵜呑みにする、というのはやはりしないです。彼らのアドバイスを聞かないというのともちょっと違ってて、自分が目指す経営者像はやはり孫(正義)さんだったり、藤田(晋)さんだったり、南場(智子)さんだったりするんです。例えばあした会議の仕組みとかはめちゃくちゃ参考になりますし。あと、藤田さんからの言葉で「何があっても人を信じるな、自分を信じろ」っていうのがあるんです。

確かに会社には自分よりも経験のある歳上の方がいるので、どうしようかなと思った時、やっぱりあっちを信じたり、となる自分もいるんです。そこを全部こう、自分が全ての責任を負うんだっていう覚悟で自分で決めろ、と。

自分たちのスタイルを作る

小川:それにタイミーって平均年齢で20代の若い会社なんですね。だから基本的になんでも自分たちで作っていくんだという意識があるんです。もちろんティール組織だったり色々な組織論を検討したりはしました。でも結局、そのどれかにハマるんじゃなく、必ず問題は発生しますからそこから導き出す方が正しいと思うんです。

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