Kakaoがライブコマース「Grip」運営を買収、話題の連続起業家の顔ぶれなど——韓国スタートアップシーン週間振り返り(11月29日~12月3日)

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本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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11月29日~12月3日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは15件で、資金総額は1,639億ウォン(約160億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • SNS ベースのライブコマーススタートアップ Grip Company(그립컴퍼니)が Kakao(카카오)から1,800億ウォン(約174億円)を調達し、株式50%を売却。利用者がリアルタイムでコミュニケーションをとり、製品販売や購入が可能。Kakao は今回の投資でコマース競争力を育て、オフライン事業者と零細事業者のデジタルトランスフォーメーションを支援するビジネスパートナーの役割を強化する。
  • オンラインP2P金融 PeopleFund(피플펀드)がグローバル投資会社から759億ウォン(約73億円)を調達。マイデータ(韓国政府が主導、情報の主体である個人が開示を要請すると、その個人に関して企業が保有するデータを個人や第三者に開示しなければならないスキーム)ライセンス獲得を基盤とした、信用評価技術の開発に集中投資する。
  • コンテンツコマーススタートアップ Culture Hero(컬쳐히어로)が130億ウォン(約13億円)を調達し、フードの隣接カテゴリであるキッチンウェア、リビング、キャンプなど複数のライフスタイル領域に事業を拡大する。
  • 人工知能(AI)最適化技術スタートアップ Nota(노타)が175億ウォン(約17億円)を調達。Nota の「NetzPreso」は、学習データだけで目的のハードウェアに最適化された AI モデルを自動的に生成する。現在ベータテスト中。調達した資金で、ソリューションを高度化する。
  • 花のサブスクプラットフォーム「Kukka(꾸까)」が90億ウォン(約8.7億円)を調達。配送物流システムを構築し、1日3,000束を韓国全土に配送可能なシステムを装備。注文から受け取りまで、24時間以内の配送が可能。
  • 車両情報サービス「Chabot Mobility(차봇모빌리티)」が80億ウォン(約7.7億円)を調達。保険推薦、中古車照会、見積発送、保険比較までオールインワンワンストップサービスを提供する新車ディーラー必須アプリだ。今回の投資金で Chabot を高度化。

トレンド分析

連続起業家の設立で注目されるスタートアップ13社

最近のスタートアップエコシステムで著しいのは、シードの段階から大型調達をするスタートアップが増えたことだ。彼らは主に強力な技術力を保有しているか、連続起業家が設立したスタートアップという特徴を持っている。

過去にイグジットで成功を経験した起業家はほとんど投資家に転身したが、最近は20~30代に最初の会社を売却し、連続起業に乗り出す若い創業者が増えている。今年は特にこのような連続起業家が設立したスタートアップの調達ニュースを多く耳にした。再起業にに乗り出したスタートアップのうち、今年大きな成果を出したスタートアップを選んでみた。

HyperConnect(하이퍼커넥트)を創業したアン・サンイル(안상일)氏は創業に2回失敗し、3番目に披露した動画チャットアプリ「Azar(아자르)」で大きな成功を成し遂げた。Azar はグローバルでの累積ダウンロード数5億4,000万件を突破し急速に成長し、今年初め2兆ウォンに近い規模でマッチングアプリ「Tinder」運営会社 Match Group に売却され、今年最もホットな買収事例を作った。

Carrot Market(당근마켓)」の代表キム・ジェヒョン(김재현)氏もコマーススタートアップを2012年 Kakao に売却し、2015年 Carrot Market を起業した。Carrot Market は8月に1,800億ウォンを調達しユニコーンとなり、時価総額は3兆ウォンに達した。地域生活コミュニティとしての立地をしっかり固める一方、世界市場への進出や CarrotPay(당근페이)など中古取引や地域自営業者が楽に取引できるように、新サービスをローンチし成長を続けている。

2,000万人が使用する金融アプリ「Toss(토스)」を作ったイ・スンゴン(이승건)氏も連続起業家だ。Viva Republica(비바리퍼블리카)の前には8つのサービスを失敗し、9つ目に披露したのがまさに Toss だ。2018年にユニコーンになったのに続き、今年4,500億ウォンを調達。最近は Tada(타다)を買収してモビリティ産業に参入、金融を超え多様な産業に拡大する韓国の代表的スタートアップに成長した。

4月にユニコーンとなった Sendbird(센드버드)代表のキム・ドンシン氏も連続起業家だ。ゲーム会社パプリカラップを売却してスマイルファミリーを設立し、B2Bメッセージングソリューション「Sendbird」にピボット、グローバル市場でも認められるサービスになった。設立開始から韓国ではなくグローバル市場をターゲットにし、海外市場で定着した韓国の代表スタートアップとなった。

Lifegoeson(의식주컴퍼니=衣食住カンパニー)の代表チョ・ソンウ(조성우)氏は、新鮮食品配達サービス「Dum & Dummerce(덤앤더머스)」を Woowa Brothers(우아한형)に売却した後、モバイルランドリーサービス「LaundryGo(런드리고)」を起業した。既存のオフラインランドリー市場をモバイルで革新するサービスで、独自のスマートファクトリーも運営している。9月には500億ウォンを調達し、サービス地域拡張とグローバル進出にも乗り出す計画だ。

韓国信用データ(한국신용데이터)の代表キム・ドンホ(김동호)氏は2011年設立した OpenSurvey(오픈서베이)を売却し、2017年韓国信用データを設立した。売上管理などを簡単にできる自営業者向けアプリ「CashNote(캐시노트)」を披露し、現在は自営業者70万社が利用するサービスとなった。今年4月と11月に合計800億ウォンを投資を調達、時価総額は8,000億ウォンと評価され、急速に成長中だ。

オンライン P2P 金融 Lendit(렌딧)の代表キム・ソンジュン(김성준)氏は、国内外出の起業経験を経て、3番目の会社である Lendit を設立した。個人的な経験で融資の不便さを感じた後、重金利融資市場に飛び込んだ。今年、オンライン投資連携金融業の認証を受け、7月には504億ウォン投資を調達、マイデータ基盤サービスを披露する予定だ。

農業スタ​​ートアップ Greenlabs(그린랩스)代表のシン・サンフン(신상훈)氏もマッチングアプリ「Amanda」運営会社 Next Match(넥스트매치)を売却し、農業分野で再び起業した。今年1月、Hashed(해시드)から200億ウォンを調達し、攻撃的な買収合併を進め、農業サービス分野の市場先取に乗り出している。Greenlabs に投資した Hashed(해시드)代表のキム・ソジュン(김서준)氏も KnowRe(노리)、Next Match(넥스트매치)を創業した連続起業家だ。今はブロックチェーン分野専門の投資会社として活動している。

Yanolja(야놀자)に買収された Daily Hotel(데일리호텔)を創業した Pillyze(필라이즈)代表のシン・インシク(신인식)氏は、栄養剤プラットフォームで今年再び起業し、シード段階で30億ウォンを調達し注目された。韓国シニア研究所(한국시니어연구)はファンダムサービス「Mydol(마이돌)」を売却したイ・ジンヨル(이진열)氏が再び起業したスタートアップだ。シニアケア市場のデジタル転換を導くという目標で設立し、10月に110億ウォンを調達した。第1世代コマースプラットフォーム「Ticket Monster(티켓몬스터)」を設立したシン・ヒョンソン(신현성)代表は、2018年にブロックチェーンスタートアップ Terraform Labs(테라폼랩스)を設立し、7月に1,400億ウォンという大型資金調達に成功した。

最近は成功イグジットを経験した女性連続起業家も続々登場している。

子供向けフィンテックサービス「Lemontree(레몬트리)」を設立したイ・ミンヒ(이민희)氏は教育スタートアップ Bapul(바풀)を2017年に売却し、Z 世代のためのフィンテックサービスを世に出した。サービスが発売される前の10月にシードで50億ウォンを調達し注目されていた。クリエイタープラットフォーム「Bigc(빅크)」を設立したキム・ミヒ(김미희)氏も2016年に設立した教育スタートアップ Tutoring(튜터링)を売却し Bigc(빅크)を起業。11月にシードで45億ウォンを調達した。LemonTree や Bigc の調達事例だけを見ても、連続起業家に対する評価が高いことがわかる。

これからも連続起業家はずっと出てくるだろう。理由は、以前は再起業を妨げていた連帯保証制度が緩和され、失敗に対するコストが減り、政府も再起業を支援するための多様な支援策を提供しているからだ。また、これまでに比べ、創業者がイグジットを肯定的に捉えており、売却に友好的でイノベーションを取り入れようとする大企業なども買収に積極的に乗り出していることも、売却後に再起業に乗り出す環境づくりに役立っている。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

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