20億円調達、建設クラウドのオクトに聞く「ANDPAD」急成長のワケーー3年で1600社導入、PMFまでの道のり

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写真右:社外取締役に就任したグロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナー・最高執行責任者の今野穣氏

クラウド型の建設プロジェクト管理ツール「&ANDPAD(アンドパッド)」を開発・運営するオクトは3月26日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、DNX Ventures、および既存投資家を引受先とした第三者割当増資の実施を公表した。今回の調達ラウンドで集める資金は20億円を予定しており、25日時点で14億円が集まっている。

また、今回の発表に合わせてグロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナーで最高執行責任者の今野穣氏が社外取締役に就任する。

オクトは前回の調達ラウンドで4億円の資金調達を実施しており、そのラウンドには、Draper Nexus Ventures(現:DNX Ventures)、Salesforce Ventures、BEENEXT、および個人投資家が参加している。

&ANDPADは、建設現場の施工管理から経営改善までを一元で管理できる建設プロジェクトの管理サービス。2016年3月にサービスリリースして以降、約1年で350社、そのまた約1年後に800社と順調に利用社数を伸ばし、今回、2019年3月時点で1600社の企業に導入されていることを公表している。また、同クラウドサービス内に蓄積された施工現場数は130万件を超え、今後、これらデータを活用した業界内の生産性向上を狙った事業展開も見据える。

オクトの社員数は現在65名体制。今回の大型調達でカスタマーサクセスの体制強化や、プロダクト開発体制の増強を実施するほか、中長期的なR&D投資なども計画する。

本誌では初期サービスの公開から4年で大型調達を実現したオクト代表取締役の稲田武夫氏にPMFまでの道のりなどのインタビューを実施した(太字の質問は筆者、回答は稲田氏)。

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オクト代表取締役社長の稲田武夫氏

大型調達を実現した。PMF(プロダクトマーケットフィット/市場最適化)が証明されたからこそのステップと考える。オクトはどのようにしてこの壁を突き破った

稲田:今回の調達でアクセルを踏むと決めた理由は、1年前のシリーズA以降の事業拡大において、SaasのKPIが順調に成長してきたこと、そしてクライアントの要望が加速度的に増える中で、対応できる組織作りとANDPADサービスの幅を広げたいと考えたためです。

なぜ成長できた

稲田:ひとえに「プロダクトの品質への信頼」による紹介獲得がキードライバーであることと理解しました。計画的な集客投資からの成功でもなく、サービスブランドによるネットワークエフェクトの好循環だったのです。お客様が増加する中で、その価値の源泉をより強力にするためにプロダクト開発に先行投資をしようと考え調達を進めることにしました。

目的・使途改めて教えて欲しい

稲田:クライアントの要望が加速度的に増える中で対応できる組織作りと、サービスの幅を広げるのが主たる目的です。

サービスの幅とは

稲田:3つほどあるのですが、まず圧倒的な顧客体験の向上があります。そのために、プロダクト・開発とカスタマーサクセスの組織作りや採用に投資をします。前述の通り、ANDPADの広がりはユーザからの紹介によるものなんです。

口コミが成長ドライバになった

稲田:はい。つまりプロダクト開発とサクセスが最大のリード施策なんです。プロダクト・開発への投資は、汎用的な機能だけではなく、業態に合わせたオプション機能の拡大を進めます。また、拠点を増やし(現在は大阪・福岡のみ)、現在月70回以上開催しているオフラインでの説明会を愚直に拡大をしていきたいと考えています。

プロダクト開発もツール的な側面であれば機能過多になって逆に体験を損ねることにも繋がる。どのような開発方針を持っているのか

稲田:二つ目の投資事項とも重なるのですが、品質向上に寄与するアライアンスによるサービス開発を進めます。ANDPADは、コミュニケーションの効率化に集中してきましたが、これからは、品質向上につながるテクノロジー投資を推進する予定です。

具体的には

稲田:施工不良の問題が社会問題化している中で、検査会社様と連携し、画像解析などを駆使して、効率的に検査ができる仕組みをR&Dしてまいります。ANDPADを活用して施工管理をしている現場がエンドユーザにとっても信頼になる、というサイクルを作っていきます。

なるほど。最後の投資方針はどのようなものになる

稲田:データを活用した業界全体への貢献です。巨大産業である建設業界の人材不足・生産性向上の問題は、大きな社会課題です。ANDPADには現在130万現場が存在し、写真は1日に新規に6万枚の施工写真がアップされており、非連続に施工データが蓄積されています。

建設現場の見える化ができつつある

稲田:これまではコミュニケーションコストを削減するためのツール提供でしたが、これからはこのようなデータを活用し、ユーザの活動情報、施工情報、会計情報を通じた業界全体の効率化につながるサービスを開発してまいります。

もう少し具体的に教えて欲しい。効率化ツール以外の事業を立ち上げるということか

稲田:まだ具体的にお話できる範囲は狭いですが、我々は、「建設業界の働くを幸せにする」というミッションを持った会社です。巨大産業である建設業界の人材不足・生産性向上の問題は、大きな社会課題だと考えています。

建設業界の人材不足は多方面から聞こえてくる

稲田:ANDPADがあったから、現場に関わる人が楽になって、関係性がよくなっていくという価値提供をしたいんです。業界の中で、最も人手不足や採用難で苦しんでいるのは、小規模の建設会社や建材流通会社です。施工管理だけではなく、ANDPADがヒト・モノ・カネの部分で、御貢献できるようなサービス展開をしていこうと思います。

最近、ANDPADで業務をICT化していることを人材募集サイトに記載してくださる建設会社も出てきています。若い就労者が増えるきっかけになれるのは嬉しいですよね。

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オクトが開発提供する&ANDPAD

話をPMFに戻したい。サービスリリースから約4年ほどの過程でどのような壁があった

稲田:我々は2015年4月からサービス開発を始めて、2015年9 月にANDPADの前身であるReformPad (リフォームパッド)のリリースを迎えました。

当初は、リフォーム業界向けにサービスを作ったのですが、意外にもニーズはオフィス施工や新築注文住宅にありました。そこで2016年3月にANDPADにサービスを変更しプロダクトを作りかえています。

シードで資金調達したのはその頃

稲田:はい、2016年の10月にシード投資を受けるまで、プロダクトが全く使ってもらえなかったり、職人さんにスマホの使い方を教えたり、思いもよらない機能要望があったりと、PMFに苦労していましたね。

1.5年で3回プロダクトをゼロから作り変え、社員数人でMRRも300万円程度でした。でもこの経験があったからこそ、インダストリークラウドをやる上で「業界への貪欲な学習」と「貢献心」が組織の思想として重要であることを深く理解しました。

オクトの特徴に丁寧なオンボーディングがあった

稲田:ANDPADのオンボーディングの方針は、リアルな場での説明機会の最大化です。一見非効率に見えますが、リアルな設定を増やすことに、お客様との関係が強化される実感を持っております。我々は、できるだけ、社外ユーザに向けた説明会をご導入企業様と共に実施しています。クライアントによっては数十回にわたり説明会を実施しており、現状で月平均全国で70回以上の操作説明会を開催しています。

結果的に口コミという武器を手にした

稲田:我々のプロダクトは、契約社だけでなく、協力会社のユーザも含めて使っていただくことで高いメリットが出るサービスでした。よって、その頃は、営業兼カスタマサクセスとして、業者様への説明会も実施しながら、DAUとチャーンレートを確認する作業を重ねてきました。

リアルな場で使う目的と使い方をきちんとオンボーディングして行くと、初期3ヶ月の利用度が上がり、むしろ協力会社のユーザ様の方に喜んでいただけるというFACTを見つけたんです。

業界内のペインをひとつひとつ解決して積み上げた結果、PMFを迎えた

稲田:社内ではよく、業界課題の解像度を上げようと話しています。我々は、建設業界に共通する「現場コミュニケーション」という課題と向き合っていますが、業界全体の大きペインの中に、各業態に分けて見るとさらに小さなペインがあふれています。

非住宅の大型現場、リフォーム現場、新築注文住宅の現場、分譲住宅の現場など、それぞれの現場管理の仕方は違います。我々のプロダクト開発は、業界の解像度を上げ、学習し、深ぼっていくごとに、強みを増していきました。今回の調達により、プロダクト開発組織を拡大し、より現場を理解し「痒い所に手が届く」プロダクトを目指してまいります。

ありがとうございました。

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