Twitch の共同創業者 Justin Kan 氏の新しいスタートアップ Fractal は12月30日、ゲーム用非代替トークン(NFT)のマーケットプレイスを開始した。Kan 氏は GamesBeat のインタビューで、「ブロックチェーンのデジタル台帳の透明性と安全性を利用してユニークなデジタルアイテムを認証する、ゲーム NFT を販売するための理想的なマーケットプレイスを作りたい」と語った。
NFT がもたらすファンダムの未来
Fractal は、 Aurory、Caveworld, Genopets、Mini Royale、Nyan Heroes、Panzerdogs, Portals、Photo Finish、Solchicks、Syn City、The Sandbox など、ブロックチェーンゲーム会社などパートナー企業の商品をローンチしようとしている。
Fractal のプレイヤーは、パートナーゲームのゲーミング NFT をスタジオドロップから直接、または他のプレイヤーからリセール市場で購入することができる。10日前にマーケットプレイスを最初に発表して以来、Fractal の Discord チャンネルは107,000人以上のフォロワーを持つまでに成長したと、GamesBeat とのインタビューで Kan 氏は述べている。
多くの支持を得て、人々がかなり興奮していることに心を打たれた。だから、積極的な目標を立てて、クリスマス・イブに発売することにしたんだ。(Kan 氏)
NFT は、ゲームをマネタイズする新しい方法として急成長し、Mythical Games、Dapper Labs、Sky Mavis、Animoca Brands などのスタートアップが、この機会に資金調達をすることがブームになっている。
Google Trends を見ると、NFT は2月に盛り上がり始め、デジタルアートや NBA Top Shotなどの関連 NFT 販売が軌道に乗った後に急騰していることがわかる。Dapper Labs では、これらの NFT の売上と再販が7億8,000万米ドルを突破した。3月には、アーティスト Beeple の NFT デジタルコラージュが、クリスティーズで6,930万米ドルで落札された。NFT の売上は、第1四半期に12億米ドル、第2四半期に13億米ドル、第3四半期には「Axie Infinity」などのゲームが軌道に乗り、なんと107億米ドルに達した。
NFT のゲームへの挑戦
しかし、富裕層への道は簡単ではないだろう。大企業は規制当局の裁定を待ちながら、傍観者として動きをためらっている。Ubisoft は先週、「Ghost Recon Breakpoint」の長年のプレイヤーに NFT アイテムをプレゼントし、NFT プラットフォーム「Quartz」をローンチした。しかし、Ubisoft は、「Stalker 2」の NFT を発表した GSC Game World と同様に、厳しい返事をもらった(GSC はその後 NFT を取り消した)。しかし、Com2Us、Zynga、Jam City といった他の大企業は、面白さを求めて NFT に邁進しているという。
Kan 氏は、自分の会社は同じように否定的な反応に見舞われてはいないという。
我々はマーケットプレイスを構築しており、一般の人々を我々の Discord に招待している。誰もコミュニティやゲーム会社から搾取されているように思いたくないのだ。これはコミュニティのプロジェクトなのだ。(Kan 氏)
Kan 氏のような NFT 提唱者は、ブロックチェーンと Web3 によって、ゲーマーとゲーム会社が、マーケットプレイスや配信などのために30%の手数料を取るプラットフォーム所有者に依存することから解放されると考えている。サイドチェーンは、Ethereum のような遅いチェーンの取引ペースを速めることができ、環境への影響も軽減することができる(Ubisoft は、Tezos チェーンは環境負荷をビットコインのトランザクションの100万分の1にまで減らすことができると述べている)。
その上、ゲーマーは自分のギアを永久に所有し、不要になったら価値あるものとして転売することができる。これは、ゲームの既存のモデルを破壊する可能性のある「Play-to-earn(遊んで稼ぐ」全体のムーブメントに拍車をかけている。そして、そのディスラプションの一部は、Fractal のような新しいマーケットプレイスの出現であると、Kan 氏は言う。
私たちは皆に、ユニークな雪の結晶のような NFT を与えているのだ。我々はこれをスノーフラクタルと呼んでいる。この NFT を1つでも持っていれば、早期販売にアクセスできるようになる。(Kan 氏)
Kan 氏は、適切なゲームデザインによって、開発者とプレイヤーの双方にとって公平な NFT ゲームが生まれると考えている。
Kan 氏は、環境への影響を重要視しており、自身が「バーニングマンオタク」であることから(編注:バーニングマンは、、アメリカ北西部の人里離れた荒野で年に一度、約1週間に渡って開催されるイベント)、気候変動対策のために多額の寄付をしているのことだ。彼は、低コスト(1セント以下)と低インパクトのトランザクションに焦点を当てたブロックチェーンエコシステム「Solana」を使用している。
(後編に続く)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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