法律業界の適正価格をAIが計算「Bodhala」の可能性/GB Tech Trend

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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不透明になりがちな相場価格に、機械学習を活用したサービスが切り込んでいます。その中でも今回紹介する「Bodhala」は、法律業界の適正価格を提示するSaaSを展開しています。

Bodhalaは独自のアルゴリズムで、過去に発生したローファームの請求書のやり取りを分析し、レートやプラクティスエリア、クライアントタイプなどの情報を分析し、法律市場全体の価格と比較することで、企業のリーガルコストが払い過ぎかどうかを判断してくれます。

とある試算によると、企業は年間約5,000億ドルを外部弁護士に費やしていて、1時間あたりの請求率は通常価格の4倍近くで推移しているという「インフレ状態」であるとの意見もあります。コンサルサービスは定性的な要素も多く、収益を最大化するためにこうした請求がまかり通ってしまう完全な売り手市場でした。Bodhalaが解決する問題はこうした価格のインフレとサービス内容の透明化にあります。

Bodhalaのソフトウェアに請求書が入力されると「なぜ多くの弁護士が該当案件に取り組んでいるのか」「なぜ高額な法律事務所を選んだのか」「なぜ時間単位の請求書を支払ったのか」などの洞察と分析が得られるそうです。

さて、過去にリーガルテック業界で活躍したスタートアップとして、Twitchの共同創業者でもあるJustin Kan氏が創業した「Attrium」が代表事例として挙げられます。同社は書類関連などのルーティン作業をソフトウェアにやらせ、クリエイティブなワークのみを自社の法律家に担当させるという、法律事務所と連動したタイプのSaaSを展開していました。

しかしこちらは7,500万ドルの調達を経ながらもクローズしています。理由は旧態依然とした法律業界においてサービス理解が進まなかったのと、不安定な価格設定だったと言われています。BodhalaとAttrium、いずれも売り手重視の価格設定である点を解決しようという挑戦でしたが、100% SaaSに振り切っているBodhalaの方が上手くいった、ということのようです。

実際のリーガルサービスの提供は顧客によって満足度が大きく変わり、変動値が発生してしまいます。この点、価格分析をAIを用いてストレートに解決するBodhalaのモデルの方がオペレーションコストもかからずに拡大できたのだと思います。

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