AI半導体RebellionsがKTから30億円調達、大企業から戦略的投資が活発化など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(7月4日~7月8日)

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Image credit: Rebellions, KT

7月4日~7月8日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは12件で、資金総額は1,382億ウォン(約138億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • AI 半導体スタートアップ Rebellions(리벨리온)が KT から300億ウォン(約30億円)の戦略的資金調達を実施した。KT は今回の投資で、Rebellions 製品をベースにデータセンター用 AI 半導体を開発し、KT クラウドインフラ施設に導入する計画だ。
  • Planetarium Labs(플라네테리움랩스)が415億ウォン(約41.5億円)を調達した。時価総額は、3,000億ウォン(約300億円)以上に達したことが明らかになった。ブロックチェーンベースの RPG「Nine Chronicles」の開発会社で、ブロックチェーンゲームエンジンを独自開発してゲームに適用し、中央サーバーのない分散型ゲームを提供している。
  • 仮想通貨技術専門企業 Cryptolab(크립토랩)が210億ウォン(約21億円)を調達した。第4世代暗号技術である同型暗号技術源泉特許を保有するスタートアップで、この技術を基盤に具現化した製品「HEaaN」を開発。調達した資金を使って、技術の高度化と海外市場への進出を推進する。
  • 自動車アフターマーケット「Cardoc(카닥)」が140億ウォン(約14億円)を調達した。自動車修理市場でドライバーと整備業者の両方の利便性を増大するサービスだ。調達した資金を使って、自動車整備、タイヤ、自動車保険加入など、さまざまなサービスをアプリ一つで提供するスーパーアプリへの成長を目標に掲げる。

トレンド分析

大企業は、どのスタートアップに戦略的投資をするのか?

大企業が新成長動力と未来の食料確保の次元でスタートアップと手を握っている。大企業各社が CVC を設立したり、独自ファンドを組成したりして、スタートアップに戦略的投資を推進し協業に乗り出している。大企業は投資収益に集中するのではなく、自社戦略の方向とシナジーを出すことができるスタートアップに賭けている。今年上半期、積極的にスタートアップ投資に乗り出した企業の戦略を以下に挙げてみた。

KT はさまざまな分野でスタートアップに投資し、新事業拡大と競争力強化に乗り出している。 5年以内に3兆ウォン(約3,000億円)をスタートアップ発掘・育成に投入すると明らかにした。 KT は最近、AI 半導体スタートアップ Rebellions(리벨리온)に300億ウォン(約30億円)の戦略的投資を実施、AI 半導体市場に進出した。Rebellions と次世代 AI 半導体の設計と検証、大容量言語モデル分野で協業、来年 AI 半導体を披露し、他に先んじてインターネットデータセンターに適用する計画だ。 KT は Megazone Cloud(메가존클라우드)にも1,300億ウォン(約130億円)を注入、AI コンタクトセンタプラットフォームの構築などクラウド事業領域でも協業している。

KT は、物流スタートアップ Team Fresh(팀프레시)には553億ウォン(約55億円)を投入し株主2位となった。KT は昨年、物流専門グループ会社 Lolab(롤랩)を設立したのに続き、コールドチェーン物流会社の Team Fresh に戦略的投資を進め、デジタル物流事業の拡大を図っている。

CJ Group もグループ会社と協力するスタートアップに投資している。CJ ENM は、高級 e コマース Must It(머스트잇)に200億ウォン(約20億円)の戦略的投資を進め、コマース事業以外のエンターテイメントコンテンツ制作などを通じてシナジーを出す計画だ。 20~30代の顧客層を持つ Must It と40~50代の顧客層を持つ CJ ENM のコマースチャンネル「CJ ONSTYLE(CJ 온스타일)」間の相互協力によるシナジーを期待している。

BeMyFriends(비마이프렌즈)は CJ から224億ウォン(約22億円)の投資を受け、クリエイターエコノミー領域で CJ のグループ会社のさまざまなプロジェクトやインフラと連携して協業を進めている。BeMyFriends は、クリエイターがファンダムプラットフォームを構築できるグローバルサービスを提供しており、CJ のエンターテイメント領域でシナジーをもたらすと期待されている。 CJ Freshway(CJ 프레시웨이)は、食材流通スタートアップ Market Boro(마켓보로)に403億ウォン(約40億円)を投資するという大きな賭けに出た。この投資は昨年発表した DX 戦略の一環として、将来の食材流通市場の先取に向けたものとみられる。

Lotte Group(롯데그룹)は、全グループ会社がスタートアップ買収や投資を通じ、競争力を確保する戦略を取っている。同社は3月、 Socar(쏘카)に1,832億ウォン(約180億円)の戦略的投資を進め、持分13.9%を確保して株主3位となり、昨年には自動運転スタートアップ 42dot(포티투닷)にも250億ウォン(約25億円)を投入した。また、Lotte Chemical(롯데케미칼)を通じて、次世代バナジウムバッテリースタートアップ Standard Energy(스탠다드에너지)にも650億ウォン(約65億円)を賭けるなど、モビリティ分野のスタートアップへの投資に積極的だ。このほか、Lotte Group は NFT 事業本格化のため最近、Blocko(블로코)に50億ウォン(約5億円)を投入した。

Shinhan Financial Group(신한금융그룹、新韓金融グループ)は4月、リモデリングスタートアップ Apartmentary(아파트멘터리)に100億ウォン(約10億円)の戦略的投資を進行した。この投資を通じて、インテリア需要者のための割賦金融などの金融サービスと、グループ内のデジタルヘルスケア事業と連携したシニア顧客向けのカスタマイズインテリアパッケージの開発など、多様な分野で協業に乗り出すという計画だ。Shinhan Financial はスタートアップ投資のための3,000億ウォン(約300億円)ファンドを組成し、さまざまなアクセラレーションプログラムなどを通じてスタートアップを育成・発掘している。

このほか、SK E&S は Parking Cloud(파킹클라우드)の持分47.13%を確保し、エコフレンドリーなエネルギーソリューション事業のためのインフラを確保、また、SKT はモバイルゲーム会社 Haegin(해긴)に投資し、AI、メタバース、web3 など未来事業の競争力強化に乗り出している。また、防衛産業企業の Hanwha Systems(한화시스템)は全く異なる分野の Musicow(뮤직카우)に投資、デジタルプラットフォームの新事業力を確保した。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

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