バーチャルアーティストが24時間ライブ、メタバース「Sensorium」が描くAI主導の新世界

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ニュースサマリ:AIによるバーチャルアーティストが集うメタバース「Sensorium Galaxy」の開発を進める「Sensorium」は8月10日、サイト内にライブストリーミングチャンネルを公開した。同社が開発するオリジナルのバーチャルアーティストが出演する「Empyreal Parties」がライブで24時間ウェブ配信されており、視聴ユーザーはSensoriumのバーチャルアーティストNatisa Sitar、Kàra Màr、NinalisらがDJとしてパフォーマンスを披露している会場「Meteor Vortex」に参加することができる。

Sensoriumのバーチャルアーティストのひとり、Kàra Màrは昨年にアルバム「Anthropic Principle」をApple Music、Spotify、SoundCloudにて公開している。人工知能によるコミュニケーションは人間との自然な会話も可能にしており、昨年、VentureBeatなどのジャーナリストと会話した内容を公開している。

話題のポイント:ゲームにおいて、オープンワールドは「Grand Theft Auto」シリーズから認知されるようになり、かつての人気ゲームが最新作に取り入れるほどの主流ジャンルとなりました。攻略手順を強制しないゲーム設計上、目標達成には人の手によらない賢いNPC(Non Player Character)の存在が欠かせません。Q&Aでコメントを返すだけでなく、プレイヤーの進捗に合わせて言動を変える必要があるのです。この体験の精度はゲームに没入できるかに関わる大きな要素となります。

達成目標が存在しないオープンワールドにおいても同じことが言えるでしょう。他プレイヤーとの会話や交流が魅力的だからこそオープンワールド、あるいはメタバースではプレイヤー人口の多さに期待値を持ってしまうのです。

Sensoriumの戦略はAIにあります。今回発表した24時間年中無休のライブストリームでは、Sensoriumが開発したAIアーティストがパフォーマンスをしているのですが、AI主導のDJキャラクターが会場を盛り上げているだけでなく、流されている音楽自体もSensoriumとAI音楽生成プラットフォーム「Mubert」が開発したGenerative Music Engineによって作曲された独自の曲になっており、リアルタイム作曲、DJミックスも同時にこなします。

メタバース空間でアーティストがライブをする事例はこれまでにもありました。FortniteでTravis Scottが実施したライブを皮切りに、Robloxで行われたLil Nas Xのライブ、日本のスタートアップではVARKが手掛けるバーチャルライブ、ホロライブやにじさんじを筆頭にVtuberなどがパフォーマンスを提供しています。

一方、人間によるパフォーマンスに比べて、AIによるバーチャルアーティストには時間や数の制約がありません。楽曲などのライブパフォーマンスはもちろんですが、会場で交わされるコミュニケーションも無限大です。いつでも、だれでも、どこからでも人がいる「盛り上がり」を担保しつつアクセスできる状態を作れます。

Sensoriumが開発するAIによる遺伝的アルゴリズムと強化学習を組み合わせて実装されたAIアーティスト、NPCとの自然な会話は昨年に披露されています。

彼らが存在すればメタバースのナビゲートに加えて、個性を持ったコミュニケーションを繰り返すことで友達のような存在にも成り得ます。友達とライブやクラブで遊ぶ体験に近くなれば、オープンとクローズドな空間が共存している心地よい場所になり、会場の人数などでアクセスを躊躇うこともないはずです。Sensoriumが提供するワールドはまだまだオープンワールドと呼べる規模ではないものの、AIを軸にした開発戦略は規模が拡大した時でも対応できる要素を兼ねそろえているように思えます。

音楽とメタバースで世界を広げ続けるSensoriumですが、今年に入ってからアート業界との業務提携、Play-to-earnの戦略カードゲームの発表が続いています。AI駆動のバーチャルヒューマン、アーティストの存在が次世代メタバースの鍵を握るのは間違いなさそうです。

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