ウィスキー版 StockX「Spiritory」希少モルトを株式のようにトレード

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Spiritory

ピックアップ:Spiritory – die neue All-in-One-Plattform für Whisky-Liebhaber, -Sammler und -Investoren

ニュースサマリ―:2022年、ドイツ拠点のスタートアップが立ち上げたスピリッツのマーケットプレイスが「Spiritory」だ。スピリッツを買いたい人は提示されている価格で購入するか、もしくは希望する購入価格を入札し、売り手の承諾を待つことができる。双方の価格が一致すれば取引は成立する。取引が成立したら売り手はSpiritoryに商品の情報を送り、出荷ラベルを受け取って直接取引先に送る仕組み。なお、発送元の商品が偽物かどうかについてはSpiritoryが独自に開発したボトル認証ソフトウェアによって確認するとしている。

重要なポイント:どのような目的でウイスキーを手に入れたいかは人それぞれ様々な理由がありますが、Spiritoryが提供したいのはボトルを投資目的で扱えるようにすることです。設立わずかということで情報が少ないのですが、Spiritoryが扱うのはウイスキー、ワイン、スパークリングワインなどで、ここに株式市場のような取引システムを提供することで新たな流動性を高めようという狙いです。つまり、スピリッツ版「StockX」というわけです。

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株式以外に投資目的でやり取りされる資産は多くありますが、希少なウイスキーのベンチマークであるナイトフランク・ラグジュアリー投資指数によると、2021年時点で過去10年間のリターンは564%を記録しているそうです。これは、過去10年間の前年比リターンが毎年およそ18.9%であったことに相当します。

S&P500の同期間のリターンは340%で、前年同期比の平均リターンは約14.4%だったので、ウイスキーはS&P500を上回っているだけでなく、高級ワイン、美術品、ビンテージカー、コイン、切手など、他のオルタナティブ投資より高い数値となっています。この成長は今後も続くという試算もあり、2021年の世界のウイスキー市場の規模は580億ドルから複合年間成長率(CAGR)約6%で2026年までに約850億ドルになると推定されています。

このレポートによると、市場規模拡大を牽引しているのがごく少数のトップエンドボトルではないことは特筆すべき点として挙げられます。数百ドルから数千ドルの中級品が、ウイスキー価格を引き上げているのです。中国やインドのコレクターが、特にプレミアムやスーパープレミアムクラスの需要をさらに押し上げているようです。銘柄はシングルモルト・スコッチ・ウィスキーの他に、日本、アメリカン、アイリッシュなどがありますが、近年では日本のウイスキーはスコッチよりもリターンが大きくなっているようです。

一昨年、300万円という価格で売り出されたサントリー「山崎55年」ですが、今年6月にはオークション大手サザビーズに出品され、1本60万ドル(約8,100万円)で落札されました。これは予想を10〜20万ドル上回る高値だったようで、世界での評価の高さを証明した結果といえます。このような背景から現在は発送サポートがドイツに留まるSpiritoryですが、目の付け所はよいのではないかなと思いました。

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