広がる食品トレンド「Clean Label」ーー期待される天然着色料市場に「パン酵母」で挑むPhytolon

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Image Credit: Phytolon

ピックアップ:Food colorant startup Phytolon closes $14.5 million Series A led by DSM Venturing

ニュースサマリー:イスラエル拠点、天然食用色素を開発する「Phytolon」は7月、シリーズAラウンドで1,450万ドルを調達した。オランダのDSM Venturingがこのラウンドのリード投資家で、Trendlines Agrifood FundとCibusFundが参加した。米バイオ技術提供のGinkgo Bioworksは技術支援による出資を実施するとしている。

話題のポイント:健康意識の高まりや食品偽装の事例増加に伴って、地域を問わず天然成分と生産情報が明確な原材料の表記をした食品の購買意欲が高まっています。例えば近年注目を集めている「Beyond Meat」や「Impossible Foods」、国内では「DAIZ」などの植物由来・加工肉の市場投入が進んでいることも、消費者意識の変化の兆候のひとつと言えるでしょう。

この中にあって近年の食品トレンドの一つになっているのが「Clean Label」です。

英国拠点の食品研究機関「IFIS」にこのClean Labelについて整理した記事があるのですが、この言葉そのものは特に法的・規制要件があるわけではなく、解釈に一定の幅があるものの、共通の認識として人工添加物や防腐剤が(少)ない食品を指す言葉としています。日本においても健康的な食品に対する意識は世代を問わず高い傾向にあり、2012年に内閣府の消費者委員会が実施したアンケートによると、食品を買う際に6割の人が「効果・目的」、「原材料、内容成分」を重視しているという結果が出ています。

中でも多くの人が気にする成分の一つが「食品添加物」です。ご存知のとおり保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもので、各国で科学的根拠をもとに安全性を判断して企画と基準が決められています。

しかし、人は常に合理的に判断できるわけではありません。国が検証と調査をもとに安全と公式に発表していたとしても不安な気持ちが購買行動を変えてしまいます。特に「合成」と名の付くものには敏感です。今回取り上げたイスラエルのスタートアップ「Phytolon」はこういった合成懸念を払拭すべく、酵母を使用した微生物由来の天然食品着色料を開発することでこの課題を解決しようとしています。

同社の技術的なポイントをまとめると次のとおり。

  • 従来の果物や野菜から作る天然着色料とは異なり、Phytolonはパン酵母を発酵させることによって赤と黄色の「ベタレイン色素」を作ることに成功したそうです。2色を組み合わせた黄色から紫色までの幅広い自然な色は代替肉、乳製品、冷凍製品、スナックに使用することが可能です。
  • これまでの天然着色料は入手の観点などから高価なものでした。Phytolonの開発する微生物由来の天然食品着色料は、合成着色料と比較するとまだ高いものの、従来の競合と比較すると安価である点が特徴です。
  • さらに、ワイツマン科学研究所からライセンス供与された技術をベースに、酵母が発酵するにつれて食品着色料に適した色を生成するように遺伝子調整をしています。これにより従来の植物由来の食品着色料よりも熱に対する安定性が向上し、ケーキなどの高温調理過程で色が崩れない点も特徴的な優位性です。

調査会社MarketsandMarketsでは、食品添加物である天然着色料と香料の市場規模が2025年までに65億ドルに拡大すると試算しています。Phytolonは現在、欧州・米国の規制当局の承認を待ち、2023年には市場に製品を投入することを目指しているそうです。

via AgFunder News

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