インテリアコーディネートからピボット、3DCG制作SaaS「COSIC」がβローンチ——プレシリーズAで1.1億円を調達

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Image credit: Cosic

東京を拠点とするコシック(旧社名:ASHBERY)は17日、メタバースによる 3DCG 制作 SaaS 「COSIC フォトスタジオ」をβローンチした。同社は以前、好みやライフスタイルに合わせて、3D パースでインテリアを提案してくれるコーディネートサービス「KAREN(カレン)」を運営していたが、このサービスの運営を通じて、コーディネート数1,000件、家具同士の組み合わせデータ50万通り分を収集できたことから、当初から想定していたサービスへのピボットを図った。

なお、コシックではプレシリーズ A ラウンドで1.1億円を調達したことも明らかにした。このラウンドに参加したのは、フジタ、ケネディクスのほか、赤坂優氏、takejune 氏(June Taketani 氏、スマートバンク CXO)、土屋尚史氏(グッドパッチ代表取締役社長兼 CEO)、廣田朋也氏(PRECS 代表取締役社長)、阿部圭司氏(アナグラム代表取締役)。このうち、赤坂氏と takejune 氏は、2019年のシードラウンドに続くフォローオンでの参加だ。デットを含め、累積調達額は約2.5億円に達した。

コシックは2018年7月、CEO の武藤諒俊氏と COO 兼 CTO の水谷正伸氏により共同創業。武藤氏はサンフランシスコの btrax でインターン後、リクルートホールディングスで UI/UX 担当の立場から3つの新規事業の立ち上げに参画。この経験から、自らサービスを立ち上げる衝動に駆られ、会社を設立とサービスの開発に至ったという。水谷氏は、Fablic でエンジニアリングに従事し、同社の楽天による買収後、フリルからラクマへの移行に関わった人物だ。

Image credit: Cosic

COSIC は、メーカーが家具をレイアウトしたインテリアの提案写真を制作するための 3DCG プラットフォームだ。武藤氏によれば、海外の家具メーカーの多くはこうした写真を 3DCG で制作しているケースがほとんどだが、日本のメーカーでは、外注環境や人材プールの都合から、3DCG の活用が進んでおらず、スタジオなどに家具実物を持ち込んでの実写撮影に依存しているケースが多いという。

実写で撮影するには、撮影以外にも、社内での事前・事後処理に非常に手間かかる。データの準備、撮影後のチェックバックなど、全てを入れると、1カットにかかるコストは30万円前後だ。インテリアデザイナーも手配しないといけないし、家具は大きいため運搬にも労力や時間がかかり、新製品のカタログを出す前は、写真撮影のためにメーカーの社員はスタジオに泊まり込みになる。(武藤氏)

COSIC を使えば、一連の操作はパソコン上で完結でき、テンプレートを使えば、数分で間取りイメージの依頼が完了する。高精細の写真レンダリングにかかるコンピューティングリソースはクラウドを使っているため、パソコン上の別タスクの邪魔をしたり、処理が遅くなったりすることもない。4K(3840 × 2160 pixels)の静止画でも5分ほどでレンダリングが完了するそうだ。レイアウトを構成する周辺家具は3,000点が既に登録されていて、自社のオリジナル家具はコシックに依頼することで新規に登録できる。

この分野には、アメリカの Havenly、インドの Avataar、中国の Kujiale(酷家楽)といったプレーヤーが存在し、Tiger Global や Sequoia Capital といった世界的トップティア VC から出資を受けているスタートアップも少なくない。中でも、コシックがベンチマークしているのがフランス・ボルドーに本拠を置く Nfinite だろう。Nfinite は今年6月にシリーズ B ラウンドでの資金調達を実施し、累積調達額は1億2,220万米ドルに達した。

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