「TOKYO STARTUP GATEWAY」第9期決勝が開催——習い事送迎MaaS、尿漏れ予防マッサージツール、不用品アップサイクル支援アプリなど入賞

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Image credit: Masaru Ikeda

東京都主催のビジネスプランコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2022」のファイナルが26日、都内で開催された。新型コロナウイルス感染防止の観点から、昨年と一昨年はオンライン開催となったが、今年は3年ぶりにオフラインが追加され、ハイブリッド開催となった。

TOKYO STARTUP GATEWAY はテクノロジー、ソーシャルビジネス、地域課題解決などさまざまなジャンルにおいて、グローバルを見据えた起業家を「東京」から輩出しようというコンテスト形式のイベント。主催は東京都で、NPO法人 ETIC. が運営事務局を担当している。

9回目を迎える今回は、2022年の4月からビジネスプランを公募。1,114件のプランが全国から集まり、それらの中から選抜された10名のファイナリストによるプレゼンテーションが行われた。

TOKYO STARTUP GATEWAY 2022 で、審査員を務めたのは次の方々だ。

  • 中村朱美氏 minitts 代表取締役(京都・西院 国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋」運営)
  • 清水信哉氏 エレファンテック 代表取締役
  • 青木俊介氏 ユカイ工学 代表取締役

【最優秀賞】習い事専用シャトル運行システム「håb」 by 豊田洋平氏

副賞:トロフィー、100万円

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学研教育総合研究所が発表しているインターネット調査「小学生白書」によると、2019年現在のデータで習い事をしている子供の割は約80%だ。この子供たちの保護者が子供だった頃の30年前は約40%だったので、一世代を経て、子供が習い事に通う率はおよそ2倍に増えたことわかる。一方、女性の社会進出に伴って〝専業主婦〟と呼ばれる女性は減った。習い事の送り迎えは母親が担うことが多いが、仕事、買い物、夕食の準備といった夕方の多忙な時間帯に、子供の習い事の送り迎えを行うのは大きな負担だ。

Image credit: håb

東急に所属しながら、副業制度を利用し håb の事業を開発する豊田氏は、この問題を子供達が相乗りできる MaaS(Mobility as a Service)で解決しようとしている。サービスは地域の旅行・交通事業会社と連携し安価に提供する計画だ。塾や予備校が単独自社運営するバス送迎に比べ、その地域に住む子供達が相乗りすることになるので稼働効率の向上や送迎時間の短縮につながる。子供の家に近いところに(論理上の)乗降所を設置できるので、子供達が不審者などの危険にさらされるリスクを下げることもできる。

【優秀賞】誰にも知られずに尿もれを予防できる、漏れないサービス by 大西安季氏

副賞:トロフィー、50万円

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尿漏れは一つの国民病も言えるくらい一般化した障害であるが、QoL は下がるが、命に関わる問題ではなく人に話しにくいため、病院に出向いて診てもらう人が多くなく顕在化しにくい。調査によれば、日本では40歳以上の女性の44%、男性の18%に尿漏れの経験があるという。腰痛であればストレッチをするなど、症状を軽減したり予防したりする方法があるが、尿漏れにはそれを根本的に解決する方法が紹介されておらず、対処策として尿漏れパッドの使用などでしのいでいる人がほとんどだ。

Image credit: Aki Onishi

理学療法士の大西氏は9年間にわたり尿漏れ解決に向けた研究や活動に従事してきた。尿漏れ防止に効果がある方法の一つが骨盤底筋トレーニングだが、身体のどの部分にどのように力を入れていいか曖昧なので、実施率は5.7%にとどまっている。尿漏れのある人は骨盤底が硬いことがわかっており、大西氏はその柔軟性を高められるマッサージツールを、ものづくりスタートアップの Garage Sumida と開発中だ。また、予防のためのオンラインプログラムや啓蒙のための Web メディアの立ち上げも計画している。

【優秀賞】撮る→つなげる資源活用プラットフォームTrashLens by 山本虎太郎氏

副賞:トロフィー、50万円

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日本のゴミのリサイクル率は20%とされるが、この値には燃焼させて熱を得るサーマルリサイクルが含まれるため、実際の資源再利用はもっと低いのが現状だ。子供の頃からゴミを分別し資源化することにこだわりを持つ山本氏は、環境スタートアップのピリカで3年間にわたりインターンのエンジニアとして機械学習やアプリ開発に従事した経験を持つ。中高生の頃、家と学校ではゴミの分別ルールが異なっていたことから、スマートフォンでゴミを撮るだけで、ゴミの分別情報を表示するアプリを思いついた。

Image credit: Tokyo Startup Gateway

一方、リユースやアップサイクルを推進する事業者は近年増加しており、ゴミの分別だけでなく、こうした事業者をうまく活用できるアプリに仕上げることゴミを減らせる可能性があるとの考えから「TrashLens」のアイデアに行き着いた。不要なものを撮影するだけで、フリマアプリだとどれくらいで販売できるか、リサイクルシップだと買取価格は低いが即座に回収してるか、などを一覧比較し処分方法を決めることができる。来年4月にβテストを開始し、8月の正式ローンチを目指している。

【メンバーシップ賞】子どもたちの“対話力”を伸ばすオンライン読み聞かせ YOMY! by 安田莉子氏

副賞:トロフィー

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親たちは忙しい時、子供たちの面倒を十分に見ることができない時がある。本を読んで子供に聞かせてあげることができれば理想的だが、ついつい、手間のかからないテレビやネット動画、ゲームなどをあてがってしまうこともあるだろう。こうした受動的なメディアにばかり接することは、情緒の醸成や思考回路の開発につながらず、コミュニケーションの機会さえ失ってしまう可能性がある。そこで代表の安田氏をはじめとする大学生5人で始めたのが、オンラインで絵本を読み聞かせるサービス「YOMY!」だ。

Image credit: Yomy

YOMY! では出版社や絵本作家らと手を組み、現時点で120冊の絵本が参加している。ただ絵本を読むだけでなく、随所に子供が発話しやすくなる要素も取り入れられ、適切な質問をすることで、子供が答えやすい雰囲気を作ったり、子供が発言したことに対して情報を付け加えることで新しい言葉の習得に繋げたりするなど、年齢に応じた体験を提供できるように注力している。同社ではサービスを通じて、子供たちの対話力を構成する3つの力——読み取る力、考える力、表現する力——を伸ばすことに力を入れている。

【Tokyo Innovation 賞】障害を抱えた子どもがありのままの自分を好きでいられるように by 坂田莉心氏

副賞:トロフィー

Image credit: Masaru Ikeda

現役高校生の坂田氏が取り組むのは、心身の障害を抱えた子供たちに、抱えている障害と同じ容姿・特徴を持った人形を手作りしプレゼントする活動「my doll」だ。市販されている人形は、商業的理由から健常者の容姿を形取った画一的なデザインしか存在しないことが多い。自分と同じ障害をモデル化した人形をもらうことで、障害を持つ子供は自分自身のことw前向きに捉えられるようになる。また、人形という側面から、多様性を受け入れる社会形成に一石を投じる効果を期待できる。

Image credit: Masaru Ikeda

坂田氏は兄が知的障害を抱えており、世の中の多様性と包摂性(D&I)が高まることを期待してこのプロジェクトを始めた。これまでに全国のダウン症、発達障害、自閉症など7種類の障害を持つ子供たちに、合計15体の手作り人形を配布してきた。人形は子供達に抱いてもらいやよう、抱き心地を追求したやや大きめのものとなっている。現在は自費のみでの活動だが、クラウドファンディングを計画しており、審査員からは寄付を募るとよい、との意見もあった。アパレルメーカーなどに余った生地の提供なども求める計画だ。


入賞には至らなかったものの、ファイナリストに残った他の参加者は次の通り。

  • 社会全体の内省を支援するAI搭載プラットフォーム by 隆祐人氏
  • 一瞬の思い出を、一生の宝物に!完全オーダーメイドの月齢フォト by 樽本理子氏
  • 再生可能エネルギー中心時代を実現するエネルギーデータマップ by 出戸克尚氏
  • 悪者キャラが永遠に輝き続けることができる世界の創造 by 吉田南翔氏
  • あの日の会話を”思い出す”のではなく、”再生”する by 吉原嘉唯氏
Image credit: Masaru Ikeda

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