CTMOの出番はいつのタイミング:チーフ・メタバース・オフィサーとは何者か?(2)

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Image credit:Starbucks

どの段階でCMTOが必要になるのか

(前回からのつづき)Mullin氏は、最初からメタバース関連のチームを雇う必須があると考える一方、CMTOの出番は後になるかもしれないと提案する。

「まずは、小さなメタバースの先行部隊があれば十分だと思います。ビジネスに最適なものをテストし、使い、研究する人です。足場を固め『確率的質量関数』を確認したら、ロードマップを管理・実行するメタバース・オフィサーを雇えばいいのです」。

一方、ビジネスの一部をメタバースに移行することが優先事項である場合、すでにメタバース最高責任者を任命しているだろう。メタバースのどのようなユースケースが自社にとって最適かを見極めるのがCMTOの仕事だと、Keeney氏は語る。

「RobloxやFortnite、Decentralandのようなプラットフォーム上に銀行を作るのは意味がないかもしれません。CMTOはメタバースで対話したり、関与したり、取引を支援する新しい方法を考え、そこでビジネスを展開するためのツールを構築しなければならないからです」。

Journeyの創設者でCMTOのCathy Hackl氏は次のように述べている。

「バーチャル世界の一部では仮説をテストしたり、ブランドが目的とするものをどうやって実現できるかテストすることができます。さらにそれをプロトタイプとして個人的に行うことができるのです」

メタバース・プラットフォームを大量採用するにはまだ何年かかかる。しかしながらあなたが独自のメタバースを構築するのであれば、今すぐ正しい方向にガラクタを動かし始めることができる人が必要だ。

P&Gは今年、BeautySPHEREというデジタルプラットフォームを立ち上げ、1980年代の人気テレビ広告をビデオゲームに再構築した。ナイキはバーチャルなスニーカー会社を買収し、現実の本社をモデルにした世界を作り上げた。スターバックスはコーヒーをテーマにしたNFT(nonfungible tokens)を導入し、顧客ロイヤルティプログラムと連動を始めている。

メタバースに早期参入する必要性

Gartnerは、2024年まではメタバースにおける大規模な採用の直接的な機会は限られると予測している。一方の市場は、長期的に高い価値を持つアプリケーションやユースケースを模索し実験し始めている。今日のメタバースの状況は、メインストリームには程遠いだろう。この分野への投資があったとしても、Gartnerはメタバースが成熟すると見積もっているのは2030年だ

しかし、メタバースが完全に成熟した時、自社のビジネスがメタバースのプレーヤーになることを望んでいるなら、メタバースチームを構築し、さらにはCMTOを任命する必要がある。そしてその時は今なのだ。Keeney氏はメタバースの初期段階が重要だと主張する。

「ドットコムの時代を思い出してください。誰もがそれに熱中し、それが未来であることを知り、急速に加速していったのです。そして、実際に構築され、その後、徐々に私たちの生活を支配するようになりました。メタバースもそのような段階に入っていると思います。今、私たちは、人々がメタバースについて問い、魅了されるような段階にきているのです」。

CMTOを雇用することで、自社のビジネスは顧客よりも先にメタバースに進出する長期的な戦略に投資することになる。メタバース関連の業務を監督するエグゼクティブは、製品、マーケティング、ビジネス開発、パートナーシップ、ポリシー、法務など、多くの部門と接していくことになるだろう。

社内横断的な視点は、周辺視野と戦略を統一する能力を持つ人を必要とする。メタバースが目新しいものでも、独立した存在でもなく、ビジネスのあらゆる要素に触れる確立されたパラダイムとなる未来を垣間見ることができるだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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