ディズニーやLVMHも採用:チーフ・メタバース・オフィサーとは何者か?(1)

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Image credit:NIKE

メタバースに関する話題が様々なセクターで広がっていることで、企業はますます力を入れるようになってきている。

この新しいバーチャル世界には驚くような将来性がある。Gartnerは2026年までに世界中の25%の人々が、仕事、ショッピング、教育、社交、娯楽のために1日1時間以上メタバースに費やすようになると予測している。そのためMcKinseyのレポートによる2022年だけで1200億ドル以上がメタバースに投資され、昨年の570億ドルを超えているという事実には驚くべき点がない。さらにこのレポートでは、メタバースは2030年までに5兆ドルの価値に成長する可能性があると予測されている。

分かりやすく期待が持てる数値が公開されているため、各企業はメタバースの利益を享受する自社ビジネスの関連付けようとしている。ディズニー、P&G、LVMHなどの企業がメタバース最高責任者を任命し、ナイキ、バレンシアガ、グッチなどの企業もメタバース関連の職を募集している。しかし、メタバース最高責任者とは何なのだろうか?

メタバース最高責任者は何をする人なのか?

一般的にはメタバースにおいて、企業のオンラインプレゼンスを開発・維持する責任を負うのがチーフ・メタバース・オフィサー(CMTO)である。しかし業界のリーダーたちの中には、メタバース最高責任者の必要性や定義について議論している人たちもいる。TSX EntertainmentのCMTOであるScott Keeney氏は、VentureBeatに対し次のように語っている。

「メタバース最高責任者は、ビデオゲームとWeb3のエコシステムに深い知識を持ち、メタバース空間において豊富な経験を持つ人です。技術的な知識とともに、典型的なメタバース最高責任者は市場の創造的な側面に精通し、組織のメタバース活動を推進することが期待されています。これにはUnreal Engine、Unity、CryEngine、BlenderやMayaなどの開発プラットフォームのバックグラウンドを持つ人を採用することが求められています」。

さらにKeeney氏は、CMTOは暗号通貨(資産)、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン、ゲームエンジンなどの技術的専門知識に加え、メタバース環境に関するビジョンを持っている必要があると指摘する。最終的にCMTOは、さまざまなバーチャルプラットフォームやアクセサリにおいて、組織のブランド、イメージ、ミッション、ビジョンを管理するのだという。

安定したリーダーシップとマネジメント

AppleのCEOであるTim Cook氏がある記事で認めているように、メタバースはまだ初期段階にあるため最高責任者(C職)のごく一部しかメタバースを完全に理解しておらず、今後数年間で企業全体の状況がどのように形成されるか理解できないのは当然だ。しかし、Gartnerの副社長兼アナリストであるMarty Resnik氏は、今は限定的な状況でメタバースを学び、探求し、準備するのに最適な時期だと考えている。

同じようにAgoraのメタバースとインタラクティブメディアのビジネス開発マネージャであるVanessa Mullin氏は、VentureBeatに次のように述べている。

「実験としてメタバースを扱うビジネスにとって、CMTOを採用することは必然です。C職の役割について考えるとき、特定の戦略とリソース、そして経営理念を持つように設計されています。企業がどのように前進するかは、非常に有能なリーダーがチームを正しい方向に引っ張っていくことが、多くの基盤となっています。メタバースにおいても巨大なリソースと責任は、革新的でありながら安定したリーダーシップとマネジメントを必要とするようになるでしょう」。

メタバースにある無限の機会を活用し、より広い環境のビジネスにどう適合していくかを考え、その角度を調整し、何が有効かを見出すことがCMTOの仕事だ。CMTOを雇うことで、企業はメタバースの新たなトレンドを把握し、これらのトレンドのどの側面が自社のビジネス固有のニーズを満たすのに役立つかに焦点を当てることができる。

後半につづく

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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