「CA Pitching Arena」、ジャカルタで3年ぶりのリアル開催へ——過去輩出チームの調達総額は420億円超に

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2019年5月にジャカルタで開催された、第1回 CyberAgent Pitching Arena(CAPA)で開会の辞を述べる、サイバーエージェント・キャピタル取締役の北川伸明氏
Image credit: Masaru Ikeda

サイバーエージェント・キャピタル(CAC)は12月1日、ジャカルタで東南アジアのスタートアップと投資家が参加するピッチイベント「CyberAgent Pitching Arena(CAPA)」の2022年冬版を開催する。前身となるイベント Rising Expo に端を発し、CAC が毎月国内で開催しているピッチイベント「Monthly Pitch」の国際版という位置付けで CAPA は2019年に始まった。

パンデミックの影響で、今年の夏版まではオンライン形式で開催されてきたが、東南アジアの感染状況も落ち着いてきたことで、ほぼ3年ぶりのリアル開催だ。久しぶりのリアル開催とあって、現地投資家からのイベントに対する関心も高く、80名前後の参加が見込まれているという(うち、15名程度が日本の参加)。

BRIDGE では CAPA の模様を現地からお届けする予定だが、それに先立ち、CAC の取締役 兼 中国法人の代表で、同社のアジア投資を統括する北川伸明氏に、今回の CAPA の見どころや、久しぶりのリアル開催を迎えるに至ったまでの背景、そして、今後のアジアのスタートアップの市場展望などについて話を聞くことができた。

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シリーズ A〜B ラウンド、目下資金調達中の10社がピッチ

2019年5月にジャカルタで開催された、第1回 CyberAgent Pitching Arena(CAPA)
Image credit: Masaru Ikeda

ピッチには、前途有望で目下資金調達中の概ねシリーズ A 〜 B ステージのスタートアップが10社が登壇する。具体的な顔ぶれについては、来週お届けするピッチイベントのレポートで詳述するが、このうち、4社が CAC の投資先で、残りの6社については資本関係は存在しない。以前からもそうだったが、投資先へのフォローオン投資を呼びかけるデモデイではないので、CAPA は Monthly Pitch と同様に、いわば、CAC の〝手弁当イベント〟という色合いが強い。一肌脱ぐ理由について、北川氏は次のように語った。

東南アジアも、やっとオフラインでイベントが開催できるようになり、地元の投資家もこういう機会を欲していたと聞いている。経済状況は少しずつコロナ前に戻ってきているものの、東南アジアのスタートアップの資金調達環境はまだ楽観できる状態ではないし、少なくとも来年の前半くらいまでは続くだろう。

そんな中で、なんとか資金調達をお手伝いできる場を作ろうということもあって、今回、リアルでイベントを開催しようということになった。このような状況下でも投資をしたいという投資家を、資金を求めるスタートアップにいかに効率よく出会わせてあげるか。我々にとってそれはチャレンジでもあるし、VC としてできることは地道にやっていきたいと思っている。

Traveloka のニュースに象徴されるように、新型コロナの影響を最も大きく受けたであろう観光・旅行業界でさえ、需要の揺れ戻しが追い風となって、かつての勢いを取り戻している。e コマースに至っては、外出や移動の自粛からコロナ前より需要を上回るところも少なくない。ただ、依然として、東南アジアの VC やファンドといったリスクマネーの資金源は現地以外のところ、すなわち、欧米や日本が多いため、世界的に安心な機運を取り戻すまで、調達環境の回復にはまだ少し時間がかかるのかもしれない。

イベント輩出スタートアップの調達総額は420億円を突破

ジャカルタ市内中心街のモニュメント
Photo by Rhmtdns – CC BY-SA 4.0

今回の CAPA には、インドネシアから4社、タイから3社、ベトナムから2社、シンガポールから1社が登壇する予定。人口約7億人を擁する ASEAN は平均年齢も29.1歳と、日本などの先進国などから比べても一回り以上若い。彼らの貪欲な消費が経済のキードライバーとなっていて、B2C 領域においてもスティックカーブ成長を見せるスタートアップは少なくない。欧米や日本では SaaS をはじめとした B2B スタートアップが堅調だが、B2C も相変わらず元気だという点は、この地域の特徴の一つと言っていいだろう。

2019年に始まった CAPA はオフライン1回、オンライン2回の通算3回にわたりイベントが開催され、累計29社のスタートアップが紹介された。CAPA が、のちの参加スタートアップの資金調達にどのような影響を及ぼしたか、統計的に精査することは難しいものの、イベント後の参加スタートアップの資金調達の総和は2億9,800万米ドル(現在のレートで、およそ420億円)に上っているということで、少なくとも今回ピッチ登壇するスタートアップは、この金額の記録更新に貢献することになるだろう。

今回の CAPA では、参加する投資家や起業家らによるパネルディスカッションも準備され、パンデミックの収束へと向かいつつあるであろう2022年の総括、2023年の以降の展望についても話が聞ける予定だ。スタートアップの市況が世界的にダウンターンにあるとされる中、それを反転させるきっかけとして期待されているのが東南アジアのスタートアップシーンだ。世界のユニコーンリスト上位にも、東南アジアのスタートアップが徐々に増え始めた。読者におかれても、次なるアジアのユニコーン探しの旅を楽しみにしてほしい。

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