メンタルヘルスケアに挑戦する3つのスタートアップ:こころとからだ、テクノロジーができること(2)

Image Credit : Alma

本稿はコーポレートアクセラレーターを運営するゼロワンブースターが運営するオウンドメディア「01 Channel」からの転載記事。

(前回からのつづき)スタートアップのデータベース、Crunchbaseを紐解くと、今年11月までにメンタルヘルス領域(ヘルスケア領域でメンタル中心にサービスを提供している未公開企業)で資金調達を実施している企業は約200社ほどにのぼります。

今年に最大規模の調達を実施したのはカリフォルニア拠点のLyra Healthで、1月に2億3,500万ドルの資金調達を 完了しています。 2015年設立の同社は企業従業員向けのメンタルヘルスケアサービスを提供しており、Zoomやモルガン・スタンレーなどの顧客を抱えています。

メンタルヘルスケアの分類としてはセルフケア、遠隔相談、プロバイダー向けのデジタル化ソリューション、従業員など企業向け、AIなどを活用したパーソナライズ・ログ自動化支援などが挙げられます。

前回の記事ではメンタルヘルスケアについて、現在の世界的な状況と食の意外な関わりについて明治さんのインタビューを元に整理しました。本稿ではグローバルで展開するメンタルヘルスケアのスタートアップ、特に主な領域で資金調達をしているケースをいくつか取り上げたいと思います。

セラピストのマッチング「Alma」

Almaは消費者向けと事業者向け両方に事業を展開

2017年設立の会員限定のメンタルヘルスケア・プラットフォームを提供するのが「Alma」です。まず、消費者向けには無料のオンラインディレクトリを用意しており、登録された8,000名のメンタルヘルスケア・プロバイダーから自分のスケジュールとニーズにあったセラピストを見つけ、Almaの窓口を通じて適切なマッチングを受けることもできます。

また、事業者向けにはメンタルヘルスケアに関わるプロバイダが民間診療を提供するために必要なツールを提供し、保険や請求、予約管理、患者の紹介などのバックオフィスや、ケアのための遠隔治療のソフトウェア、臨床医コミュニティへのアクセスを通じた教育などのサービスが受けられます。8月には1億3,000万ドルにのぼるシリーズDラウンドの資金調達を 公表しました。

AIチャットボットでセルフケア「Woebot Health」

Image Credit : Woebot Health

次に紹介するのは、ボットによるセルフケアです。Almaと同じく2017年創業のWoebot Healthは。AIを活用したリレーショナル・エージェント「Woebot」を中心としたチャットボットを展開しています。認知行動療法(CBT)や対人関係療法(IPT)、弁証法的行動療法(DBT)などのメンタルヘルスケアにおける臨床試験済みの治療アプローチにAIを組み合わせているのが特徴で、自然言語処理(NLP)と組み合わせることで、チャットボットでありながら自然な会話を提供し、数日で個人に最適化されたケアサポートをできるそうです。

この背景にあるのがセラピストの人手不足問題です。前回の記事でコロナ禍におけるメンタルヘルスの問題を抱える人たちの数が大きく増加したことを書きました。一方、メンタルヘルスのケアができるセラピストは育成が必要であり、その需要増に追いつくためにはテクノロジーの力が必要になっているのです。セラピストの免許取得を支援するMotivo Healthなどのケースもありますが、Woebot HealthはAIによる効率化で解決しようとしているわけです。

同社は今年3月に製薬大手バイエルAGのインパクト投資部門からの戦略的投資で950万ドルの資金調達を 公表しています。

アプリを持ち歩くだけでAIがメンタル評価「HealthRhythms」

HealthRhythms

Woebot Healthと似たようなアプローチがHealthRhythmsです。メンタルヘルスケアにおけるセルフケアサービスの多くは日々の睡眠や運動、社会的関与など日常活動の情報収集を要求します。前回の記事で明治の山田成臣さんにお話を伺いましたが、彼もまた、セルフケアのために生活習慣を変えることは難しいのではと指摘していました。

そこでHealthRhythmsはスマートフォンアプリを使い、スマホに搭載されているセンサーを通じてメンタルヘルスに関する行動を測定し、かつ、これをAIによって評価するというアプローチを採用しました。このプラットフォームを使うことで、メンタルヘルスをケアするために必要な介入を容易にするとしています。

コロラド大学の医療組織「UCHealth」とパートナーシップを締結しており、関連する12の医療機関等を通じて200万人にリーチできる機会を得たそうです。今年2月にはシード系のGSR Venturesなどから1,100万ドルの資金調達にも成功しています。こころとからだをテーマにした連載、次回はからだ、特に女性の体について整理してみます。

次に続く:フェムテックが抱える課題:こころとからだ、テクノロジーができること(3)

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