1500店舗が利用する「冷凍ケーキ」ECの可能性【BRIDGE Tokyo セッション動画】

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本稿はBRIDGE Tokyoで配信したセッションの模様をお送りします。レポートまとめはこちらから

あらゆる物販(物販のみならずサービスも…)が EC 化されたかに見えたが、日本のそれはまだ1割に満たない。新型コロナウイルスが世の中に与えたプラスの側面があるとすれば、数年かかるとされる人々のマインドセットの変化を数ヶ月にまで短縮し、あらゆるデジタル化を加速していることにあるだろう。コロナ禍の追い風で、日本の EC 化率はいよいよ大台の10%に乗るかもしれない

冷凍でケーキを届ける e コマース「Cake.jp」もまた、そんな恩恵に預かったプレーヤーの一つと言えるだろう。日本中の製菓店などがケーキを販売できるこのサイトでは、サービスローンチから3年経った2020年時点での参加店舗数は100店舗程度だったのに対し、この1年ほどで1500店舗にまで爆増した。会員数も100万人の大台に乗り、製菓小売業界での存在感は確かなものになっている。

ケーキ EC で最も難しいのは、配送と顧客体験と言えるだろう。柔らかく崩れやすいケーキは、普通に宅配便で配送しようものならユーザ宅に届く頃には原型をとどめていない。代表の高橋優貴氏によれば、創業間もない頃には、パッケージを改良して破損が起こりにくいものを開発したり、破損が起こったときには即座に代替品を届けたり、苦労が絶えなかったという。

Cake.jp が「世界初のメロンケーキ職人」加藤シェフ監修のもと開発したメロンケーキは空前の大ヒットとなった。
Image credit: Cake.jp

祝い事に出されるのがケーキ。期待が大きい分、万一事故があって届かなかったら、その時のユーザの落胆は計り知れない。子供の誕生パーティーのケーキが届かなかったら子供は泣いてしまうかもしれないし、オーダーした両親にとっても悲しいユーザ体験になってしまう。瞬間冷凍の技術や温度指定できる宅配便サービスが充実したこともあって、技術的な課題は時と共に改善されているようだ。

こういったケーキの EC ならではの課題とそれを克服してきたノウハウは、潜在的な競合の参入障壁としても機能している。Cake.jp はこの分野ではトップシェアを誇り、現在では2つの自社工場でオリジナルケーキの製造・販売も手がけるほか、インフルエンサーがプロデュースしたケーキの D2C、エンタメ業界とコラボレーションしたケーキなど、事業形態も多様化させている。

ケーキを含むスイーツ市場は1.5兆円規模の GMV がありながら、長きにわたって EC 化が進展してこなかったため、デジタル化によって業界を革新した際の伸び代は大きい。高橋氏は、「もしケーキ業界を手がけていなかったら…」という質問に、バリューチェーンの改善の余地が大きい業界としてピザを挙げた。EC 界の新たな旗手は、あらゆる世の中の隙間に事業機会を見出しているようだった。

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