もはや何度もプロンプト入力するのも不要、指示出し一発で仕事を完遂してくれる「Auto-GPT」とは

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CC0 Публичен домейн via Pxhere

Microsoft、Google、Baidu(百度)が相次いでジェネレーティブ AI アプリケーションを発表したのは今年3月のことだ。 誰もがまだ新機能を使いこなそうとしている中、アメリカのゲーム開発者 Toran Bruce Richards 氏が3月末、Github で実験的に「Auto-GPT」を公開し、1~2週間で多くの技術者から、ChatGPT を打ち破るかもしれないツールとして注目を集めた。

Auto-GPT は GPT-4 モデルの AI アプリケーションだが、GPT-4 に勝手に仕事をさせることができる。何度もチャットボックスでプロンプトをを与える必要はなく、仕事内容を伝えれば、AI がニーズに合わせて自己開発を続けるのだ。

Web サイトの構築から、フィクション小説の執筆まで

Sully という Twitter ユーザが、Auto-GPT にゼロから Web サイトを作る手伝いを依頼し、その一部始終を動画に収めた。 Sully氏は、少なくともインデックスページがあるシンプルな Web サイトであること、ログインやアカウント閲覧機能があることなど、構築したいサイトの要件を5つ挙げただけだ。

また、Bootstrap フレームワークを使ってコードを書きたい、などの希望も伝えた。すると Auto-GPT は、Sully が提示したニーズに合った Web サイトをオンラインで作成したし始めた。AI は、ログイン機能やアカウント閲覧機能のページを Google 検索して、自らコンテンツをデザインしてくれたのだ。


AI 専門家の Christen は、Auto-GPT が論文研究、プログラミング、小説執筆に驚くほどよく仕事をし、まるで別の AI 革命を目撃しているようだと指摘する。まず、論文研究の場合、Auto-GPT に論文の具体的なテーマを与えると、ノンストップで Web 上の関連データを集めてきてくれる。

これによって、学者がそのような些細な作業に費やす時間を減らし、より複雑で画期的な作業に費やすことができるようになる。プログラミングに関しては、Auto-GPT は Pythonでスクリプトを書き、それを実行し、その結果を分析するのを助けてくれる。

Auto-GPT に小説の草稿を渡せば、それを分析し、ストーリーを改善する方法を提案し、仕上げてくれる。中小企業向けにAIアプリケーションを構築している業界専門家 Jay Scramber 氏も、「Auto-GPT は1時間ごとに画期的なものを開発しているようだ」と絶賛している。

Auto-GPT はどのように動作するのか?



Web サイト「OpenAI Master」によると、Auto-GPT が自発的なのは、AI が行うことを「思考」「推論」「批判」の3つに分けているためだという。Auto-GPT は、誰かが課題を与えると、まず「何をすべきか」を考え、次に「どうすべきか」を推論し、最後に自分の有効性を批評してプロジェクトを完了するために前進するという、この3つの作業を取り入れるのだ。

つまり、Auto-GPT は GPT-4 を使って実行すべきタスクを生成し、それに優先順位をつけ、必要な情報を Web で検索し、正しい方向に進んでいるかどうかを確認する。しかし、多くの人がテストした結果、Auto-GPT の欠点は、アイデアを作るタスクのほとんどが、かなり硬直的でバリエーションが少なく、あまり複雑なタスクを与えると行き詰まってしまうことだと分かった。それに今のところはまだ、英語でしか使えない。

Auto-GPT を使うには、OpenAI APIキー、Pinecone APIキー、Python が必要だ。作業対象となるロールを定義し、目標を詳細に設定すれば、仕事を自分でこなしてくれる。しかし、必ずしもうまく行くわけではないので、人間の介入が必要になることはあるだろう。いずれにせよ、指示を出す時間を短縮し、機械が勝手に仕事を進めることができるのは、Auto-GPT の大きな強みだ。

複雑なタスクには向かないが、論文の調査やニュースの執筆のために、テーマに応じたデータをたくさん集めたり、比較的簡単なプログラムを完成させたりすることはできるだろう。

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