B Dash Camp 2023 Spring in 札幌のPitch Arenaは、商談解析AI「JamRoll」開発のPoeticsが優勝 #bdashcamp

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Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、5月24〜26日に開催されている B Dash Camp 2023 Spring in Sapporo の取材の一部。

札幌で開催中のスタートアップ・カンファレンス「B Dash Camp 2023 Spring in Sapporo」のピッチコンペティション「Pitch Arena」には約100社から応募があり、書類審査・面接を通過した10社のスタートアップが予選に登壇、このうち6社がファイナリストに選ばれた。決勝では、商談解析 AI「JamRoll」を開発する Poetics が優勝した。

Pitch Arena ファイナルラウンドの審査員を務めたのは、

  • 青柳直樹氏(メルカリ 上級執行役員 SVP of Japan Region)
  • 清明祐子氏(マネックスグループ代表執行役 Co-CEO)
  • 武田純人氏(野村證券 産業戦略開発部 主任研究員)
  • 舛田淳氏(LINE 取締役 CSMO/Z ホールディングス 取締役 専務執行役員 CPO)
  • 宮田昇始氏(SmartHR 取締役ファウンダー/Nstock 代表取締役 CEO)
  • 吉田浩一郎氏(クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO)
  • 渡辺洋行氏(B Dash Ventures 代表取締役社長)

……の7人の皆さん。

審査員の皆さん
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本稿では、ファイナリストの顔ぶれとピッチの様子をランダウンしてみたい。

【優勝】JamRoll by Poetics

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Poetics は Empath として2017年10月に創業し、6年以上にわたって音声の抑揚を元に話者の感情を解析する AI を開発してきたが、この事業を今年4月に CAC に譲渡し、社名を Poetics に改めて再スタートを図った。現在、同社がメインとするプロダクトが商談解析 AI「JamRoll」だ。Zoom、Google Meet、Microsoft Teams に対応し、AI が自動でオンライン商談を録画・文字おこし・分析する。

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JamRoll では、人間の代わりに AI 書記が商談に同席することで、商談の同席工数削減、一人当たりの月次商談数増加を実現する。また商談時の議事録作成や SFA ツールへの入力工数を激らし、オンライン商談における生産性向上に寄与する。月次売上平均成長率が27.5%を超えているという。同社は今週、 JamRoll が Salesforce と連携し、商談要約を自動で書き込む機能をリリースした。今後、音声解析 AI の API を公開する予定だ。

【準優勝】MARITIME 7 by ザブーン

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海事産業では船舶数は増えているものの船員数は減少しており、安全が求められる現場では逼迫していて、DX(デジタルトランスフォーメーション)は待ったなしだ。ザブーンでは現在は、船員労務管理をはじめとする船舶管理に必要な機能を提供している。中長期的には、海事産業全体をサポートするプラットフォームの構築を目指す。

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MARITIME 7 では船員の労働管理記録にも対応。船員法は頻繁に変更されるが、法定基準に抵触した場合はアラートで知らせてくれる。船の運用ルールは国際海事機関(IMO)で世界的に統一されているため、言語対応するだけで世界対応が可能。将来的には、船舶の中古売買、船舶保険の販売、船用品販売などでアップセルを目指す。

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投資のコンシェルジュ/WealthForce by MONO Investment

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MONO Investment は、金融投資の課題を解決するために人とロボットのハイブリッドロボアドを提供、投資家向けに「投資のコンシェルジュ」、アドバイザー向けに「WealthForce」を開発した。WealthForce は、顧客情報の管理や保有資産の分析、投資家の理解を促進するサービスだ。顧客ごとの基本的な情報を管理できるだけでなく、世帯単位での管理も可能だ。営業活動の履歴も記録し、保有資産は投資信託や株式などのプロダクトごとに管理できる。

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投資信託の中身を分解し、全ての投資信託や ETF の中身を分析することもできる。取引履歴は自動的に記録され、将来のインカムゲイン、債券の償還金・利金、株式配当金、投資信託の分配金なども予測可能だ。モンテカルロシミュレーションを使用して現在の保有資産を分析することもできる。WealthForce には、保有資産の効率的フロンティアや資産のシミュレーション、運用のシミュレーションなど、試算運用に必要なさまざまな機能が備えている。

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FAX バスターズ by batton

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受発注業務の DX が進まない理由の一つは、4つのプロセスを DX する必要があるからだ。「FAX バスターズ」は、書面(FAX や PDF や 写真など)やフォーマットがバラバラでも自動統一してデータ化できる AI 搭載の業務効率化システムだ。異なるフォーマットの書面でも自動的に認識し並べ替え、情報が整理される。

帳票をアップロードすると、文字列をデジタル抽出し、呼び名の違いによる表現の揺らぎを解消し、AI を使用して統一的な処理を行い、最終的には CSV や Excel でダウンロード可能な統一されたフォーマットになる。RPA 事業の経験を基にしており、問題を抽出して解決するプロダクトを提供していく。

WALL by SUPWAT

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SUPWAT は、製造業における研究開発・設計・生産領域において蓄積されたデータを活用し、業務プロセスの標準化を促進するプラットフォーム「WALL」を開発している。例えば、WALL が導入された包装資材メーカーのリュウグウでは、作業員が経験をもとに行っていた素材の混合や設計における従来の過程を過去の開発記録と照らし合わせ機械学習させ、研究開発工程の効率化が期待されている。

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NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)や東京大学生産技術研究所と共同で受託研究開発を行う、燃料水素電池車に用いられる水素タンクの設計では、SUPWAT がニューラルネットワークを用いた最適設計技術を提供することで開発プロセスを効率化した同社では知見や経験だけに頼らないメカニカル・インフォマティクスの活用範囲を広げるべく、事業を拡大していくとしている。

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GYMDX by OptFit

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OptFit は、ジム内に専用カメラを設置し、ジム運営を AI 化する DX サービス「GYMDX」を開発している。主な機能としては、AI 監視による自動危険検知、マシン利用率分析、リアルタイム混雑状況配信、不正入館検知など。利用者が倒れたり動かなくなると AI が検知し、管理画面に映像が配信、必要に応じて警備会社に連絡が行き、警備員が現場に急行する。

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無人のジムでは不正利用も多いが、それを検知することも可能だ。施設内のユーザ動向を AI が分析し、マシン毎の稼働状況を管理画面で把握できるため、ジムオーナーはデータに基づいた経営が可能となる。これまでに、ライザップ、東武スポーツ、東急スポーツシステム、ダンロップスポーツクラブ、日新ウエルネスなどが運営する複数のジムに導入実績がある。

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