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本稿は、6月28〜30日に開催されている、IVS 2023 KYOTO の一部。
28日、京都市内で開催されている「IVS 2023 KYOTO」の最後のセッションに、サッカー元日本代表で、スタートアップへの投資も行っている本田圭佑氏が登壇し、新たに立ち上げたファンドの投資戦略と、その運営チーム組成に向けた展望について披露した。PIVOT プロデューサーの国山ハセン氏をインタビューに迎えたファイヤーサイドチャットには、直前まで本田氏登壇の事実は伏せられていたにもかかわらず多くの人が集まり、このエンジェル投資家の新たな挑戦に耳を傾けていた。
2016年から KSK Angel Fund として活動を始めた本田氏の投資先はすでに国内外ですでに約200社に達し、うち半分程度が日本国内のスタートアップだという。最近では、外食産業で初めてとなるゴーゴーカレーが本田氏のファンドから出資を受けたニュースは記憶に新しい。2018年には、ハリウッドスターの Will Smith 氏と共に、社会問題に特化した1億米ドル規模のファンド「The Dreamers Fund」を創設し、日本の資生堂などから出資を受けている。
昨秋発表の XPV Circle Fund の文脈を踏襲した新しいファンド「X&Circle(エックス・アンド・サークル)」には、世界的 DJ の Steve Aoki 氏やコメディアンで俳優の Kevin Hart 氏、そして、本田圭佑氏が創立メンバーとして名前を連ねているが、現在もこの活動に加わるメンバーと交渉しているという。本田氏曰く「世界でも影響力のあるインフルエンサーらが運営する VC」で、彼らインフルエンサーが投資に加わることで、投資先の成長に最大限に寄与することを目指す。
Hart 氏と本田氏の関係で言えば、昨年、Hart 氏が設立した Hartbeat Ventures が、本田氏のファンド運営メンバーなどが関わる XPV グループから支援を受けることが明らかになっている。X&Circle のもとで、Aoki 氏はインタラクティブエンターテイメント、Hart 氏はライフスタイルインクルージョンなどを投資スコープに設定しているのに対し、本田氏は X&Circle のサブファンド「X&KSK(エックス・アンド・ケイスケ)」として、日本からデカコーン(時価総額100億米ドル)を目指すスタートアップに特化して投資するという。
日本政府は「スタートアップ育成5か年計画」の中で2027年までにユニコーン(時価総額10億米ドルのスタートアップ)を100社輩出することを謳っているが、本田氏は、より高みを目指すデカコーン候補にベットしていく心意気のようだ。アメリカのスタートアップは国内市場だけでデカコーンを作れるが、日本のスタートアップは広範なインフラビジネスを除いて、国外に事業機会を求めることがデカコーンになる上で必須条件であるとし、必然的に、AI など先駆的分野で、世界市場で戦える可能性のあるスタートアップに出資することになるだろう、と語った。
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