サブスクで多拠点住み放題のアドレス、投資型クラファンでの申込額が上限の9,990万円に到達

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ADDress の投資型クラウドファンディング募集ページ
Image credit: Ecrowd

定額制で全国の家に自由に住める多拠点コ・リビングサービス「ADDress」を運営するアドレスは26日、同社がコミュニティラウンドにおいて、投資型クラウドファンディングで上限いっぱいの9,990万円を調達したことを明らかにした。日本では法令の定めにより、投資型クラウドファンディングによる調達額は1億円未満、投資家一人が投資できる額は同一会社につき1年間に50万円以下とされており、イークラウドではプロジェクト単位の募集額上限が9,990万円に設定されている。この募集が終わる27日までは、キャンセル待ちのみ受付されている。

今回の投資型クラウドファンディングは24日19時30分に開始され、開始46分後の24日20時16分には、当初目標額の3,000万円に達したことが明らかになっていた。応募合計が上限9,990万円に達したのは26日の正午頃で、このラウンドに参加した個人投資家は495名。今回のラウンドは資金調達よりも、ユーザをステイクホルダーに迎える意図があったそうだ。アドレスはこれまでにシリーズ C ラウンドと、ブリッジファイナンスやエクステンションラウンドを複数回実施しており、調達額はいずれのラウンドについても開示されていない。

アドレスは2018年、ガイアックスの新規事業部門出身で、シェアリングエコノミー協会の理事を務める佐別当隆志氏により設立。佐別当氏はアドレスを始める以前、シェアハウス Miraie や Airbnb 物件の運営を手掛けていた。アドレスでは現在、空き家などの有休物件を賃貸で借り受け、ADDress のブランド名で全国の270ヶ所以上にシェアハウスを展開しており、ユーザは利用頻度に応じた定額料金で施設をサブスク利用できる。施設には家守(やもり)と呼ばれる現地管理人がいて、彼らを通じユーザは地域と繋がりを持つことも可能だ。

26日、東京・渋谷で開催されたコミュニティイベントで話すアドレス代表取締役の佐別当隆志氏
Image credit: Masaru Ikeda

一概には言えないものの、投資型クラウドファンディングは、調達額が大きくない割に事務手続や投資家の議決権管理が煩雑であるため、ベンチャーキャピタルなどからのシード資金調達以前のフェーズで利用されることが多かった。アドレスが26日に都内で開催したコミュニティイベントで、佐別当氏は、このタイミングで投資型クラウドファンディングを実施した理由には、ミドル以降のステージのスタートアップにも使えるよう機が熟してきたこと、今回彼らが利用したイークラウドのようなインフラが整ったことなどを挙げた。

佐別当氏はまた、ミドル以降のスタートアップの資金需要に応えられるようになってきた投資型クラウドファンディングの状況を強調、将来、投資型クラウドファンディングの募集額上限が引き上げられることに期待感を見せた。参考までに、投資型クラウドファンディングの募集額上限は、アメリカでは約7億円、イギリスでは約12億円に設定されているそうだ。アドレスでは今回応募した個人投資家に対し、200株から1,000株を割り当てる予定(1株500円)。現在は未公開株であるため市場取引はできないが、アドレスでは IPO を目指すとしている。

<参考文献>

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